表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/37

0章 良くある終わりと始まり

思いつきの転世ものです。異世界は今まで考えてこと無かったです。

なるべく早めに連載していくので読んで頂けると幸いです。

(作者名を別の「銀輪」さんと混ざらないよう「銀輪。」に変更しました。)


「短い人生お疲れ様でした。充実した生を全うできたでしょうか」


 見たことあるやつだこれ。

 目の前ではなんか神々しい感じの美女が話をしている。

 周囲は真っ白で、狭いのか広いのかも分からないただの空間が広がっている。

「不幸にもお亡くなりになりましたが、これから新たな人生が始まります」

 目の前の美人さんは、優しく微笑みながら話をしている。

「――転生ってやつか」

「そうそれです! …………あなた誰ですか?」

 俺のつぶやきに即反応した美人が、そこで初めて俺の存在に気付いたようだ。

「我が名は悠太・古川! 神をも打ち倒し、 魔王すらも従える! 破壊者にして救世主である!」

 現実離れした状況に、思わず普段のノリが出てしまった。まあ、良いだろう。

「……あんた、マジで頭大丈夫?」

 美女の口調が明らかに変わったな。これが素なのだろうか。

 俺に心を開いてくれたようで何より。

「今日の死亡者リストはそこのギャルで最後のはずですが…」

 美女が指さした先には、俺の学校で有名なギャルがいた。南雲美紀子。

 おしとやかとは無縁のキツイ顔だが美人で間違いない。グラビアアイドルも泣いて逃げ出すナイスバディと最新の流行で全身固めたオシャレイズムで校内の男子のダントツ人気を誇る女だ。女子の人気は言わずもがな。彼女の今一番の流行は古川いじめ。残念ながら校内に古川という苗字は一人だけ。

 その南雲は状況に追いつけず、茫然としている様子だった。

「あ、あたし…… 死んだの?」

 茫然としながらも絞り出した質問がそれだったようだ。

「ええ、死にましたよ。トラックに惹かれてズバーッと死にました」

 説明雑だなっ。

「そ、そんな……、なんで……」

「左右確認せずに道を渡ろうとするからですね。今後は交通安全気に付けましょう」

 死んだ後で今後もくそも……。あ、転生するのか。

「まあ、生前の行いが悪かったあなたは、元いた世界には転生できませんけど。罪人は罪を償うために、もっと過酷な世界で世のため人のために働いてもらいます」

 女神っぽい美女の説明では、生前の行いが悪かった人間は宿命を背負って別世界へ飛ばされるらしい。

 日本人がよく知る地獄ってやつは、そっちの世界だろうか。

 その世界では人類は発展しておらず、凶暴な生命体たちがのさばっているらしい。

 異世界ってやつだな。実在したのか。どんな世界だろうか。

「あ、あたし悪いことなんて!?」

 それを聞いて焦った南雲が弁明を始めようとしていた。

「ダウト! 被害者がここにいます!」

 阻止。どの口が言うのか。男子をけしかけてさんざんな事してくれたじゃないか。

 まあ、気にしてなかったけど。

「う、うっさい!」

 本物かどうかわからないが女神(?)みたいなのを相手にして嘘など通じると思ったのだろうか。

「うるさいので、ここでの口論はやめてください。全部知ってるので嘘はダメですよー」

 といいつつ、どこかから取り出した資料をパラパラめくってる。

「あ、これは陰湿ですね」

 知っているというか、今読んでるよね。それ。

「うぅ……」

 南雲は観念したのか反論はなかった。

「地獄でレッツ更生! って感じですね」

「ですよねー」

 同意しておく。

「ねー」

 合わせる女神(?)みたいなやつ。意外とノリがいいな。

 と思ったら、ジト目でこちらを見てきた。

「…………で、結局あなたは何でここにいるんですか?」

 不審者を見るかのような目だ。解せない。

「え、俺も死んだからここにいるんじゃないの?」

 俺が持っている最後の記憶が事実なら死んだ気がする。

「え~? さっきも言いましたけど今日の死亡者リストはそこのギャルだけで……んん?」

 美女はさっき見ていた謎の資料を最後までめくって目を細めた。

「どうしたんですか?」

 資料を熱心に見ているので気になって聞いてみた。

 資料の最後、つまり南雲の最期を確認しているのだろう。

 ということは、俺の生前最後の善行を見ているに違いない。

 記憶が確かなら、俺からカツアゲしたばかりの南雲がトラックに退かれそうになり、俺はとっさに飛び出し、南雲を庇うように覆いかぶさったのだ。結果的には両方死んでしまったようだが。

「ぷっ」

 美女が急に噴き出した。

「?」

「無駄死にウケるんですけどぉ! プププ……。助けに飛び出したのに一緒に潰れてるんですけど! ギャル助かってないし! 突き飛ばすとかあるでしょぉぉ。オタクが出しゃばるからプププ。 しかも死ぬ予定なかったのに何で死んでるんですかープププ。こんなの初めてー!」

 大声を上げて笑い続ける女神(?)。

「え……」

 南雲は想定外の事態に間抜けな声を漏らした。

 目が合ったがスルーしておく。

「うっせー! 無駄死にとか言うなよ! とっさに思いつかなかったんだよ!」

 こいつ、俺の善行を一笑しやがった。これはもうあれだ、絶対女神とかそういう奴とは認めない!

「ええと、古川悠太……古川……ふる……あったあった」

 五十音整理かよ。

 また美女がどこからか資料を取り出した。

 今、何もない空間から取り出したよな?

「ふむふむ……」

「何読んでんだよ」

 もうこいつに敬語は不要だ。

「これ? これは死んだ人間の人生をまとめた資料よ。死後の対応を決めるために必要なの」

 資料を読むのに集中していたからか、こちらがため口になったことに気づいていない。

 というか向こうも敬語を忘れている。

「ぷふっ」

 読みながらところどころ笑ってやがる。

「あなた、変だとは思ったけど、これは重症ね。中学生にもなって精霊王って…」

 憐れんだ目でこちらを見てきた。

「やかましい。一人でこっそり楽しんでるだけなんだからそっとしておけよ」

 最近は人前ではあまり言わないようにしていたのだが、この調子だと全部書いてありそうだ。

 恥ずか死にしそうだ。死んでるけど。

「んん? ちょっと待って、運命の強制力を超えって……えっ!?」

 最後まで読み終えた美女がバッと顔を上げこっちを見た。

「ちょっと待ってあなた……、なにそれ!? 怖いんですけど!?」

 いきなり引き始めた。

 俺の黒歴史がそんなにやばかったのか?

「よく見るとチョー怖い!? ヤダヤダヤダヤダ! さっさとここから出てってよ!」

 なんかガチで引いている感じだ。ぶるぶる震えながら距離を取ろうとしている。

「出てけって言われてもどうすりゃいいんだよ」

 思わずあきれてしまった。

「あ、そっか!」

 急に素に戻って両手を叩く美女。

 こいつ大丈夫か?

「ここから出ていけぇぇぇ!! 転世!!!」

 美女が両手を掲げ叫ぶと真っ白な空間に金色の光が満ち始めた。

 じわじわと空間が金色に染まっていく。

「え、おい、俺も転生されるのかよ!?」

 さっきの話だと罪人は異世界に転生させられるが、それ以外の人間は元の世界で生まれかわるハズだ。

「あ」

 まっちがえたー。みたいな顔をしている。

おい。

「やり直せよ!」

「ムリムリこれ止められないもの!」

「じゃあせめてあれだよ! 転生する主人公がもらえる特殊能力とか特別な武器とか!」

「えー、そんなマンガみたいなベタなのあるわけないでしょ!?」

 口走った俺が言うのもなんだが、この女神的な女、マンガ読んでんのかよ。

「あるかないかは聞いてない! よこせって言ってんだよ!」

「ええ!? 仮にも女神相手になんて態度!?」

「うるさい! 間違えて別世界に送ろうとしたのはお前だろ!?」

「だってだってー」

 バタバタやってるうちにどんどん世界は金色になっていく。

 そう言えばこいつ、さっきの引き方、何故か俺ににビビってる様子だったな。

「調子乗ってると本気出すぞ?」

 試しに声を低くして言ってみた。

「はいぃぃ! 差し上げます! ご希望のものなんでも差し上げます!」

「できるんじゃん!」

 何にビビってるのかわからないが、脅しは効いたようだ。

 しかし、ここが正念場だ。得られるものによっては転生後の世界での生き方が大きく変わるハズ。

「これから行く世界には魔法とか魔術とかってあんの?」

 タイムリミットがどれだけあるか不明だが、転生が完了する前にケリをつけなければ。

「た、確かあったと思いますぅ!」

「ならそれを使うための魔力とかが溢れてくるような能力で!」

「かしこまりましたぁ!」

 言うと同時にこちらに手をかざして何かをする女神(?)。

 今ので何か特殊能力が身についたのだろうか。

「あたしは!?」

 この土壇場で南雲が参加してきた。

 確かにこいつも異世界へ転生する以上必要だ。てかこいつが本来の転生者だ。

「あ……」

 わっすれてたー。みたいな顔をしている。おいっ。

「とりあえず同じのを……」

 女が南雲に手をかざすのと同じくらいのタイミングで、世界を覆う金色の光が光量を増した。

 何も見えなくなり、何も聞こえなくなる。足元の感覚もなくなり、立っているのか落ちているのかも分からない。

 転生が始まった。

続きます。

なるべく早めに更新したいです。

よくある話かもしれませんが、面白いなと思ったらご評価お願いします。

創作意欲になると思いますので。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ