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清純派でいることに疲れたので、これからはビッチで通そうと思います  作者: きえう
2-4章 失敗だらけの楽しい日々でした
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第8話「アルビン様は御乱心されたようです」

 さて。

 女の子はそんな感じで。

 けっこう育成途中で引き取られることが多いのだが。


 男の子の場合。

 即戦力としての働きを期待されているがために、孤児院定年の12歳ぐらいまでは居座ることが多い。


 そのうちの一人。


 孤児の中では一番年長の、11歳の少年ラッセルは。

 ひんぱんに。

 アルビンとケンカをしている。

 らしい。

 この2人はものすごく仲が悪いのだ。


 争いの声が聞こえる。


「カエデは僕の奥さんになるんだ!」

「はっ。もうその席は売り切れちゃってるから。カエデちゃんはこのアルビン様の隣で寝とるんじゃ!」


 ……なんだろう。

 ありえない会話が耳に入ったのだが。


「そんなの知るか! カエデは僕が好きなんだ! そう言ってくれたんだ!」

「ぶぶー。好かれてませんー。カエデがセックスするほどに好きなのはこの世で僕一人だけなんですー」


 子供相手に何言ってんのこの人!?


「……あ、あの、アルビン。ちょっといいですか?」

「カエデか。僕も話があったんだ」


 私とアルビンは教会裏の倉庫へと移動して。

 そこで。

 先ほどのケンカについて問いただす……前に、アルビンから釘を刺された。


「あの、カエデ。あんまり子供たちと仲良くしないでほしいんだけど」

「え、なんでですか?」

「だってほら、あの子たちって明らかにカエデのこと好きだし。夫としてはちょと不安になるとゆーか」

「はあ?」


 え。

 えええー。

 まさかこの人、12歳に満たない相手に本気でケンカしてる!?


「ほら、最近の子供ってちょっと早熟だし。カエデはカエデで、子供のことが好きすぎる気がするし」

「そ、それはギャグじゃなくてマジの話なのでしょうか?」

「うん」

「相手は子供なのですよ!?」


 私は混乱した。


 ああ。

 アルビン。

 昔はこんなにバカじゃなかったのに。

 いつのまにこれほどまで。


「あ、あの……何か私に至らないところがありましたか? そこまで夫を不安にさせるような不貞行為を働いた覚えはないのですが」


 いや。

 厳密には覚えがあるけど。

 アルビンを守るために義父のズリエルに抱かれたけど。

 ううう。

 仮にそうだとしても。


 11歳児を相手にまじめに嫉妬されるほどのことをしでかした覚えはない。


「ほら、だからさ。ここは一つ。カエデは僕の嫁だーって、みんなの前で宣言とかしてみない?」

「してみません」

「なんならこっそりあの子たちに見つかる場所で、性的な意味でのプロレスごっことか……燃えるよね!?」

「燃えませんよ! マジ顔で何言ってるのこの人!?」


 これが寝取りか、などと、一人うなずくアルビン。


 いやいや。

 子供相手に寝取りをたくらむなよ。

 いくら目線を合わせるにしたって限度があるだろう。


 ……貴族、でなくなったからなあ。

 プライドを構成している権力がゼロになったせいで卑屈になっているらしい。


 ちょうど処女を失った時の私みたいな感じか。

 ええっと。

 あの時に私がかけてほしかった言葉は。


「あの……私はアルビンのこと、何があっても好きですよ。ちゃんと最後までとなりにいますから」

「そ、そうなの? 貴族じゃなくても?」

「当たり前ではないですか」


 いや。

 そりゃー私はたしかに、金持ちと権力者が大好きで。

 今のアルビンはそうではないけれど。


 イケメンだし。

 好みの性格だし。

 それとはぜんぜんまったく関係なく。


 私は一度この人、と決めて以降、その相手を変えたりはしないタイプである。


 何年も行方不明とかならばともかく。


 毎日いちゃいちゃできている以上、浮気をする余地などはどこにもない。


 強いて言えば、まあ。

 夫がいる身にもかかわらず、しょっちゅう告白は受けているし。

 なんなら3回ほど。

 襲われかけたこともあるけれど。


 私は強い。

 ふつーに迎撃できた。

 この領地のトップであるカルラ様が女性である以上、私を権力でどうこうできる人間もほとんどいないわけだし。


「だから、安心してください。私はアルビン一筋です。ずっとそばにいます」

「カエデ……わかった」


 アルビンは私をぎゅっと抱きしめて。

 キスをして。

 そのまま胸を……といこうとしたので、そこは拒否して我慢してもらい。


 ちゃんと家でにゃんにゃんと。

 なんやかや。

 世の中の時間は平和に流れていた。


 それからはアルビンも普通になり。


 私が子供と仲良くしていても嫉妬しなくなった。


 何回か私の胸を触ったクソガキを蹴り飛ばしたことがあるけれど……うん。

 まあ、あれぐらいは。

 いいか。

 子供のやることだから見逃せよとも思うけど、しつけという意味ではやむをえまい。


 なぜアルビンが偉いのかを理解できないおバカな子供たち。

 カルラ様が保護と予算とを与えているのは。

 あくまでも『元貴族』であるアルビンに対してなのだと理解できない子供たち。

 なのだが。


 現実は理解できる。

 私や周囲がアルビンを立てて接し。

 彼が子供を蹴飛ばすのを叱らないことで、徐々にそういうものなのだと認識することができた。


 うむうむ。

 これをさぼるとロクなことにならんからな。

 金持ちや権力者の子供であれば自由に育てて能力を上げるべきだが。


 貧乏人の子供がそのようにふるまえば。

 殺される。

 だけだ。

 どれほど人類平等を叫んだとしても、金持ちから金を奪えば強盗傷害である。

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