表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
清純派でいることに疲れたので、これからはビッチで通そうと思います  作者: きえう
2-4章 失敗だらけの楽しい日々でした
69/122

第4話「超こわい女」

「ああ、あれがカルラ様の家だよ」

「…………」


 でかっ。


 いや、歩いてる途中からわかってはいたけれど。

 間近で見るとなおでかい。

 丘の上にある見晴らしのいい平地をまるまる使った超豪邸である。


 掃除が大変そうだ。

 メイド泣かせ。

 学校の敷地は広大なものだが、それでも生徒一人のために用意された住居として見ると異常な広さである。


 ファビオの家やアルビンの実家なんかも大きかったけど。

 これは次元が違う。

 倍ぐらい。

 なにより恐ろしいのは、学校通いなんて至極どうでもいい用途にこれだけの資材が使われているということだ。


 こんな場所があるのか。

 いやはや。

 お金持ちってすごいなあ。


 私が感心している間にアルビンが呼び鈴を鳴らし、そこで案内を待った。


 と。

 その時。


『にげてー!』

『すぐにげてー!』


 久しぶりに妖精さんが私の中から飛び出てきて。

 逃亡をうながした。


『……妖精さん?』

『ここ、うんめいのしゅうちゃくてんー。はいったらでられないー』

『ちょーきけんー。しんじゃうー。マスターのかこぜんぶあわせてもー、ぶっちぎりでさいあくのききー』


 ずいぶん長期間、私の中にひきこもっていた妖精さん2匹。


 あれれ?

 彼らはこんな容姿だっただろうか?

 なんだか、薄暗いというか。

 最初に洞窟で出会った時のようなキラキラオーラが消えて、どことなく汚れたような雰囲気になっている。


『すまない、妖精さん。今回は逃げられないんだ』


 だから。

 というわけではないけれど。


 ここで引くのはむりだ。

 妖精さん。

 その助言は頼りになるものだし、すがりたくもなるけど。


 こういう場面でうなずくのであれば。

 それは。

 もう妖精の奴隷と、変わらないではないか。


「…………いらっしゃいませ。カルラ様がお会いになります。どうぞこちらへ」

「はい」

「案内ありがとうございます」


 私とアルビンは初老の執事さんに導かれて、屋敷の階段を進み。

 そして。

 カルラ嬢が待つという貴賓室の前に立った。


『だめー!』

『にげてー!!』


 私は部屋に入った。




 カエデ・シラカワの死亡が確定しました


 残存初期ポイントが100を超えています

 コンティニューしますか?

 →はい


 シミュレーション発動中……失敗

 状況が詰んでいます

 破滅の運命により、カエデ・シラカワの死亡は不可避です

 抵抗しますか?

 →はい


 破滅妖精の運命操作に抵抗しています……成功! このまま続行しますか?

 →はい


 状態異常に「衰弱」が付加されました


 抵抗の代償として、吸運妖精と結縁妖精の力が徐々に減少していきます


 抵抗をやめることで解除可能です

 破滅妖精のマスターを弱らせることで解除可能です

 他の妖精からの助力を得ることで解除できる可能性があります




「どもども、カルラです」

「……お久しぶりです、カルラさま。わたくしめはかつては男爵家の嫡男であったアルビン、メサイヤ。今はただのアルビンです」


 うやうやしく礼をするアルビン。

 その前に。

 私たちが亡命を頼む領地のトップである、カルラ・ブロッコリー公爵令嬢が立っている。


 カルラは。


 すさまじい美少女だった。

 はじめて見た。

 私と比べて、ありとあらゆる点において上を行く女というのを。


 ダークブラウンの艶やかな長い髪。

 豪華絢爛なドレス姿。

 肌きれい。

 唇はふっくら。

 スタイル抜群で目もぱっちり。

 やや悪戯っぽい顔立ちの、少女のあどけなさを残したウルトラスーパーな美女。


 この外見に、加えて。

 世界に3人しかいないという公爵家の跡継ぎであり。

 頭がよくて。

 若くて。

 健康で。

 魔力が強くて。

 権力も統率力もあって。

 なんと実績の方もあるらしい。

 彼女は過去の戦いにおいて方々で八面六臂の活躍をこなし、人類の宿敵である青眼族の軍勢さえ蹴散らしたことがあるという。


 うわあああ。

 なにそれ。

 ちょっと盛りすぎだと思う。

 肩書の頭のおかしさがハンパない。


 いや。

 そもそも。

 彼女のおかしさは感覚的にもよくわかる。


 でかい家。

 訪れる者を委縮させずにはいられない巨大な敷地と家屋敷と調度品。

 体から吹き上がるオーラ。

 高貴な生まれである彼女は傲岸不遜な自信を隠そうともしておらず、ただ立っているだけで圧力を受けるほどの存在感がある。


 これは貴族とか関係ない。

 天然のものだ。

 前情報なしでも誰でも理解できる。


 他人に遠慮することのない支配者たるものの強い気配。

 それをカルラは備えている。


 卑近なところで例えれば、かつて山賊のリーダーだったシルベストルなんかも持っていたものだが。


 カルラの場合。

 装備しているアクセサリーのレベルが山賊とはまるで違う。


 アクセサリー。

 付属品。

 それは身に着けている宝石とか服とか、そういうことではなく。

 いや。

 それもあるけれど。


 人だ。

 付き人のレベル。

 カルラのことを偉いと認識している周囲の人間の生命エネルギー。

 それがまったく異なる。


 部屋にいる近衛の群れ。

 やばい。

 どいつもこいつも信じられないほどの魔力の持ち主だ。

 一対一でも勝てるかどうか。

 それが。

 5人以上。

 戦うどころか、逃げに徹すると決めたとしても達成は不可能なメンツだ。


 この部屋に一歩足を踏み入れただけでも、カルラと山賊頭目との違いは骨の髄まで理解することができる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ