第3話「妖精さんと会いました」
無数の分岐点がある迷路のような洞窟の中を進む。
どのように道を選んだか。
もはや覚えていない。
元の場所に帰ろうとしてもきっと帰れないだろう。
途中からは青色に輝くトンボがまとわりついてきたので、それに導かれるようにして私は歩を進めた。
唐突に視界が開けた。
人の手が入っていることが明らかな大きな部屋に入る。
燭台。
円柱。
テーブルと椅子。
そして装飾品。
全身鎧やら絵画やら彫刻やら。
ブロック床の上にいくつかの祭壇があって、そこに宝箱が置かれている。
宝箱。
そう。
宝箱だ。
トレージャーボックス。
合計は30ぐらいか?
部屋の入り口にはご丁寧に大きな看板があって、おかしな言語で(なぜか読めた。不気味!)でかでかと『2つまで開けられます』と書かれている。
さて。
どうしようか。
そもそも開けないという選択肢も、まったくなくはないが。
ここまで私を導いてくれてきた青トンボが、宝箱の一つにすうっと入っていく。
なるほど。
これを開けろということか。
私は特に悩むこともなく、思考を放棄してかぱっと箱を開けた。
中から妖精が現れた。
妖精。
うん。
これは妖精だろう。
純白の衣装を身にまとった可憐きわまる生き物だ。
トンボのような羽を二つ。
背中から生やしている。
私と視線が合うとにっこりと微笑んで。
ひらひらと宙を舞い。
続けて私の指を手にとって、こっちこっちという感じで引っ張った。
「……これを空けるのか?」
『オススメー』
示された宝箱を開けると、中から再び妖精が現れた。
今度のやつは赤い。
きらきらと輝く鱗粉をふりまいている。
蝶々のようなアゲハ模様の羽根を持っていて、やはり可憐で美しい。
「名前は?」
『オトコウン』
『サゲマンツー』
奇妙なイントネーションの返答があった。
発音がおかしい。
聞き取れはするのだが、なぜか頭に入ってこない不思議な性質の声だ。
それでいて飛びきりに心地よく。
鼓膜に振動が触れているだけで、くらくらと快感が走る。
耳で幸せを感じる、という経験ははじめてのことだった。
強いて言えば音楽か。
私は男の人の歌を聞くのが好きだ。
しかし。
妖精の声はそれとはまるで違う。
直接意識に幸せが届いて全身に回るような、麻薬じみた危ない魅力がある。
ガチャガチャガチャ、などと。
次々に宝箱にロックがかかるような音が響き渡り、私は正気に戻った。
「私はどうすればいい?」
『アルコー』
『コッチヘイコー』
大部屋の向こうの壁には無数の穴がある。
どれを選んで進むべきなのか迷ってしまうところだ。
妖精に指をひっぱられる。
どうやら案内をしてくれているらしい。
罠ではないか、という疑念は頭の端にさえ浮かばなかった。
この妖精たちは味方だ。
彼らはその雰囲気からして聖なる存在としてのオーラをまとっており。
接する者に一切の不安を抱かせない。
緑色のコケに覆われた道を進む。
しばらくすると巨大な果樹園に入った。
洞窟の壁は蔦やらツルやらでごちゃごちゃと覆われており。
その中にいくつか。
光の粒子を振りまきながら輝く、みずみずしい果実が揺れていた。
中でも。
ひときわ甘くてしびれるような。
そんな毒々しい香りを放つ果実の前へと、妖精は私を案内した。
『タベテー』
『オススメー』
しきりに実食をすすめる妖精たち。
まじか。
妖精たちは無邪気な笑みを浮かべている。
なるほど。
まじらしい。
私はこわくなった。
食べる?
これを?
毒とか平気なの?
疑念は尽きなかったが。
ああ。
でもいいにおいだ。
私は意を決して桃のような形の果実をもぎ取って手に収める。
えいやとかじりつく。
脳天に突き抜けるような強烈な多幸感があった。
すごい。
くらくらする。
景色が揺れている。
毒でもあったのだろうか。
そりゃそうだ。
よく知らない植物の実を拾い食いするなんて。
私が正気なら絶対にやらなかっただろう。
しかし。
私は弱っていた。
周囲に人が一人もいない異常事態にまいっていた。
果実はおいしそうだった。
だから。
これはしかたがないのだ。
妖精の声は甘くてとろけるようだったし。
それに逆らうなんて。
私には、とてもとても。
ふらふら。
体がよろめいた。
頭がぽーっとする。
私は妖精に手を引かれて洞窟の中を進んだ。
どれだけ歩いただろうか。
最奥と思われる場所には巨大な部屋があり、道はそこで途切れていた。
縦横10メートルぐらいの巨大な鏡がどんと中央に置かれていた。
景色がゆれている。
虹色だ。
太陽光を浴びたシャボン玉みたいにゆらゆらと、鏡面がゆらめいて光っている。
『ハイッテー』
『シュウテンー』
そして。
私はそこに入った。
世界が暗転した。
名前 白河楓(しらかわ かえで)
パラメーター
年齢15歳
体力100
魔力100
魅力180
権力100
知力100
財力100
スキル
日本語、公用語、算術 一般常識、死への忌避、怒る、恥じる、怖がる、道具箱、男運2、さげまん2、えろもん
その他
転生場所 ランダム→リーフ子爵領
仲間 ランダム→なし
ペット ランダム→なし
奴隷 ランダム→なし
種族 異世界人純血
人格固定 100%
家族構成 天涯孤独
容姿固定 あり
汎用世界言語 読み書き可能
汎用竜言語 読み書き可能
アクティブスキル詳細
スキル 男運2
詳細説明
男性との出会い運を得られます
あくまでも会うだけです
本人に魅力がない場合、その男性をつなぎとめることはできません
スキル さげまん2
詳細説明
その男性が本来持っている天運を奪い取ることができます
格上の相手としか付き合えなくなります
恋人もしくは伴侶のいない期間が一年経過すると死亡します
恋人もしくは伴侶のいない状態において、精神の均衡が少しずつ失われます
スキル えろもん
詳細説明
男性を引き付ける魔性の魅力を得ます
フェロモンでありかつ性愛モンスターです
男の庇護を得られる代わりに、女からは蛇蝎のごとく嫌われます