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清純派でいることに疲れたので、これからはビッチで通そうと思います  作者: きえう
終章ー2 人生最後の思い出を作りましょう
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第6話「バカかわいい子と会いました」

 さて。

 面倒な仕事はそれぐらいにして。

 青春のほうに移ろう。


 私は。

 モテる。

 ちょーモテる。


 これは決してうぬぼれなんかではなく、厳然たる事実である。


 貞淑さを旨とする私は、心に決めた男と付き合っている状態で二股をかけたりは基本しない。

 のだが。

 いかに清純派の私でも。

 襲われればどうにもならない。


「カエデ! お前が悪いんだ! お前が俺を誘惑するから!」


 などと。

 ちょっと屋敷によんで二人きりになって改造レオタード姿で胸を押し付けたりしただけで。


 男は。

 すぐその気になってしまう。

 私にがばっと襲い掛かってきて、いやだやめてと言う私を押さえつけて無理やりあれこれする。


 で。


「す、すまない……でも、俺は本気なんだ。本気でカエデのことが」

「知りません」

「カエデ!」

「これは貸しです。今日のことを忘れるかわりに、今後は私のためにあれこれと働きなさい。いいですね?」

「わ、わかった」


 と。

 ゆーことで。

 私は費用ゼロでこき使える労働奴隷を順調に増やしつつ。


 表向きには。

 伯爵子息キュウセイとの純愛を楽しんでいた。

 わけだが。




 何にでも波はある。




 ことの発端は、ものすごく珍しいことに。

 私。

 ではなく。

 キュウセイの側にあった。


「あんたがカエデ?」

「ええっと」


 目の前にいる女は、王立貴族学校の正規学生。

 美少女ちゃん。

 13歳。

 その名をエリカという。


 ツーテールのかわいらしい黒髪。

 小動物タイプ。

 背が低くて体つきも華奢で、いかにも愛されて育ったお嬢様という感じ。


 怖いものを知らない強気の瞳をしていて。

 私のことも。

 まっすぐに。

 ある意味では不遜とさえ言えるほどに、正面から見据えてくる。


 別に貴族でもなく。

 後ろ盾があるわけでもない。

 単に少しだけ健康でかわいくて金があるというだけの、普通の少女、であるにも関わらず。


「キュウセイ様に聞いたわよ。あんた、身の程もわきまえずにキュウセイ様とべたべたしてるんですってね」


 じろじろと。

 私をみる卑しい女。

 端女(はしため)のエリカちゃん。


 聞くところによると。

 彼女はキュウセイ伯爵子息に告白して断られ。

 それでも。

 諦めることをせず。

 ストーカーまがいのことまでやらかして、現在進行形でキュウセイを困らせ続けているという話だった。


「あんた、キュウセイ様に「僕が好きなのはカエデだ」って言わせたみたいじゃない。なんでそんなことするの?」

「な、なんでと言われても」

「キュウセイ様が好きなのは私に決まってるのに! あんた、なにか弱みとか握ってるんでしょう! そうじゃなきゃ私が断られるわけがない!」


 少女エリカは無茶苦茶を言っている。


 う。

 うわあ。

 久しぶりに見た。


 身分差がわからないとかに関係なく、本当の意味で頭がおかしい人間と言うものを。


 いや。

 13歳だ。

 頭がおかしいというよりは、単に人生経験や教育が足りていないのだろうけど。


「ええっと……あなた、どうやってこの学校に入学できたんです?」

「バカにして! 私はティアラ商会の娘なのよ! 簡単に決まってるでしょ!」

「……なるほど」


 親の金とコネを使ったか。

 それなら。

 まあ。

 正規学生の末席に連なるぐらいは、できるかもしれないな。


「父様からは、できるだけ身分の高い男を捕まえるように言われてるの! 邪魔するなら許さないわよ!」

「許さないとか言われても」

「あなただって、平民から子爵にまで成り上がったんでしょ! 私もやるの! 私は子爵なんかで満足したりしない……あなた程度が子爵なら、私は王妃にだって上り詰めてみせるから!」


 え。

 えええー。

 この子もしかして、この世界の貴族システムがわかってない?


 確かにこの世界、王家も王族もあるが。

 彼らは公爵家よりも実質的には下、というか。

 権限は何もない。

 建前としては敬われるし儀式にはいろいろと参加しているにせよ。

 下手したら子爵家当主よりも下なぐらいである。


「ちょっと、なんとか言いなさいよ!」

「なんとかとは?」

「これは宣戦布告なのよ! お互い正々堂々と、キュウセイを巡って戦うことを誓い合うシーンなの!」

「し、シーンとか言われても」


 私はたじたじになった。


 ううん。

 この子なんてゆーか、すごく。

 ばかかわいいな。


 潰したくない。


 私に面と向かってタンカを切りに来るほどの度胸があるなんて……ちょっと尋常じゃないぐらいにバカすぎて逆に爽快である。


 キュウセイも。

 たぶんそうなのだろう。

 20歳のバカ女であればともかく、13歳のバカ少女を男の側から注意するのは少し難しいのだと思う。


「あ、ええっと……じゃあエリカちゃん、うちにくる?」

「なんでよ!?」

「いや、一緒にお茶とかしないかなって」

「話を聞いていたの!? 私たち、てき! 敵同士! キュウセイを巡って戦うライバル関係にあるの!」


 ライバルか。

 それは。

 友達のようなものだな。

 私はちょっとおかしくなって、まあまあと肩を押しながらエリカちゃんを屋敷にまで連れ込んだ。

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