第7話「頭がおかしくなっています」
私を欲する人間はとどまるところをしらない。
ブロッコリー公爵家から出向してきて、今は私の部下となったソマ隊長。
戦時中に多大な援助をしてくれた、大商人のリシャール。
あとは子爵家の家督を継がせる目的で養子に取り、しかし私に恋をした22歳の青年ユーゴとかも。
みんな。
私が大好きだ。
彼らとは特別に、年に複数回という破格の契約を交わしてしまっている。
ソマ隊長は当初、謹厳実直な部下としての態度を崩さなかったのだが。
カルラ様へと働きかけてくれたことのお礼として。
かるく。
誘惑してやると。
ものすごく顔を赤くして、童貞のようながっつきようで乗って来た。
にゃはーん。
彼はどうも、戦士としての私が好きらしく。
戦場コスプレもどきの戦闘服とか手甲とかを取り寄せて身に着けて。
着たまま不自由にやると。
そーゆーエッチがお好みであるらしい。
しかも凌辱嗜好というか、負けたところを無理やり、みたいなシチュエーションが大好物であるそうな。
おいおい。
あんさんもう50近いやろうに。
お盛んだこと。
つーか大隊長でその趣味嗜好はちょっとやばいと思う。
いったいこれまで何人泣かせてきたんだこの鬼畜めがー。
と、冗談まじりで責めたところ。
ふつーに怒られた。
私は戦場で乱暴狼藉を働いたことは一度もないと、真顔で言われてしまった。
あ。
はい。
ごめんなさい。
みんなやってるので。
ソマ隊長もやってると思っちゃいました。
ほんとーにごめんなさい。
実のところ。
高級軍人の乱暴狼藉率はそれほど高くはない、らしい。
あーゆーのは明日のない貧民がやるもので。
訓練された飼い犬であるところの隊長級軍人は、あくまでも合法の範囲内で対価を払ってからやるのが普通とのこと。
大商人のリシャールは、かつて私から殺されかけたこともあったのに。
まだあきらめていなかった、というか。
めげずに。
熱烈な投資を続け。
より一層の貢物に加えて支店をバンバンと、ファルコーン子爵領に出してくれて。
我が領土の流通界になくてはならない存在になっている。
彼はどうも、プリンセスとしての私が好きのようで。
ドレスとかピアスとかネックレスとか。
そういうのを用意して。
わざわざ玉座の間で人払いをして、体のあちこちをさわさわと楽しみつつ。
王冠(偽)やら王錫(偽)やらでガチガチに女王様ルックに仕立て上げてから、逆らえないのはわかっているよね……みたいな感じで進める脅迫プレイがいいらしい。
以前は最高に気持ち悪くて泣きまくっていたものだが。
今は。
それほど苦痛でもないかな。
本当に脅迫されているのとシチュエーションプレイでは天地の違いがある。
それに、まあ。
あれだ。
私はサドマゾで言えば、どちらかと言えばマゾなので。
いじめられるのは。
嫌いじゃない。
むしろなんとゆーか、世の中のショタ攻めおばさんとか女王様とムチみたいなのは理解不能で怖気が走るぐらいだ。
ガチの乱暴は、無理にせよ。
いじわるされるのは。
好き。
かもしれない。
もちろん程度というものはあって、軽蔑されるのは大嫌いなので難しい問題でもあるけれど。
最後に、息子とか。
私は。
養子であるところの青年ユーゴくん22歳。
彼とも肉体関係を持っている。
正直エロ漫画じゃあるまいし、と思わなくもないが。
残念ながら。
ひじょーにいかんながら。
こやつ、けっこーなイケメンであったのじゃ。
一緒に食事を取って。
散歩とか世間話とかを積み重ねるうちに。
ふと、指が触れ合ったり。
肩がくっつけたり。
そういうスリリングな出来事が立て続けに起こり、結果、だんだん相手がその気になってきて。
で。
ある日。
襲われて。
私は口先だけの抵抗をして。
にゃんにゃんと。
背徳感あふれるシチュエーションにちょっと興奮しながらも。
そこは19歳と22歳であるから。
肉体的には。
とても相性がよく。
お互いにおおいに満足し、また楽しみましょうという約束までしてしまった。
彼はどうも、子爵としての私が好きなようで。
社交界に着ていくようなエロかっこいい……アクション系変身ヒロインにも似た改造レオタードドレス系がいいらしい。
いやまあ、彼はまだ22歳なので。
単に私がよく着ている、一番スタンダードな服装が好き、というか。
それは体操服やセーラー服にあこがれるのにも似た、いまだ自分の性癖を理解できていない者が持つ日常愛に近い感覚なのかもしれないが。
とにかく。
体力がすごくあり。
プレイ技術のほうはともかく、肉体的にはおおいに私を満足させてくれた。
この当時の私は。
実のところ。
相当にすさまじく末期的に、頭がぱーになっていた。
重要な部下だけでなく。
ちょっとイケメンだったり生意気だったり会話を交わしたりした人であっても、寝室に呼んであれこれとやりはじめた。
ひどい時だと、庭師とか行きつけの料理長とか執事とか。
そーゆーのさえも誘惑して。
ちゃんと仕事をしてくれるんなら、みたいな感じで契約を交わして、体を捧げてまわった。
それでも。
正気には戻らない。
戻れなかった。
さげまん2は、格上の男と付き合っていない状態において、徐々に正気が失われる。
らしい。
妖精さんはそのように言っていた。
しかし。
この時の私の周囲に、子爵家当主以上の力を持つ男は一人もいなくなっていた。
ゆえに。
どれほど抱かれても。
満たされず。
私の目は無意識に男を追うようになって、最近では妻子持ちの部下が刺されたり自殺したり殺し合ったりといったトラブルも頻発しているようだ。
この問題を解決するために。
私は。
実に2年ぶりに、王立貴族学校へと復学することにした。




