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清純派でいることに疲れたので、これからはビッチで通そうと思います  作者: きえう
終章-1 死の気配が押し寄せています
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第5話「カエデ・シラカワの死亡が確定しました」

 男の協力者に関しては、体を売ればそれでよかったが。

 女は。

 そうもいかない。


 私は今回の件で特にお世話になった連合軍のまとめ役。

 カルラ公爵令嬢の泊まっている宿へとやってきた。


「カルラ様、ありがとうございました」

「いえいえ」


 ブロッコリー公爵家の継承権1位。

 カルラ・ブロッコリー。

 18歳。

 私と同い年なのに次期公爵に就任することがほぼ内定しているという、意味のわからない世界の生き物だ。


 子爵は、人口100万の支配者。

 公爵は、人口1億の支配者。


 この2者の間にはまったくぜんぜんどうにもならないほどの上下関係がある。


 仮に彼女から「死ね」と言われたら。

 私は。

 死ぬか。

 家を滅ぼして戦うか。

 それを選ばねばならない。

 そういう極限の選択を人に何回も迫ることができるのが、公爵家の跡継ぎたる者が持っている力である。


 が。

 もちろん。

 その力を使って、私を生かすということもできるわけで。


 なんでも、今回の連合軍結成において。

 放蕩三昧で何もしないアクアタス侯爵家にかわり、ブロッコリー公爵家が色々と骨を折ってくれたそうである。


 介入は。

 アクアタス侯爵家との関係を悪くするが。

 しかし。


 さすがに子爵家の当主が誘拐までされたのであれば、これはもう口出ししても他の大貴族からのクレームはつかないだろう、ということで。


 カルラ様が、重い腰を上げて。

 すぱっと解決と。

 そーゆー感じで世の中がまとまって、私は自由の身になれた。

 らしい。


「このお礼はいずれ、必ず」

「いえいえ。別にいーです。昔の借りと相殺してチャラってことで」

「借り?」

「ええ。ジローさんとくっつけてしまった件ですね。正直なところ、カエデさんの側が勝つとは夢にも思ってなかったので」


 カルラ様正直すぎです…………


「ソマ隊長が絶賛してましたよ。今回のことも、なんとかしてほしいと頼んできたのは彼なので」

「なんと」

「私の部下としてはもう使えませんが……なんなら、そちらで引き取りますか? 大事にしてくれるんなら、私はそれでもいいですよ」

「ぜひともお願いします。公爵家との友好の証としても」


 手を差し出す。

 カルラ様は。

 その手を取ってくれた。


 私とカルラ様は力強く握手を交わしてうなずいた。


「ところで、あなた……」

「はい?」

「カエデさん、ですよね」

「ええ、私はカエデですが」


 きょとんとする私。

 カルラ様は。

 ゆっくりと手を離し、少し瞳に怖いような色をたたえて私を見つめてくる。


「な、なにか?」

「いえ。それがですね」


 カルラ様はうーんと考えて。


「……ま、やめておきましょう。レンとの取引もありますし。あなたはただのカエデ。それでいい。後悔のないよう、楽しく生きるといいですよ」

「カルラ様?」

「なにをどう考えても、レンが負けるわけないとは思いますけれど……聞くところによると、男性キラーみたいな能力らしいですからね。もしもあなたが勝ったなら、このカルラがお相手いたしましょう」

「は、はあ」


 いたずらっぽく唇に指を当てるカルラ様。

 なんだろう。

 みょうにノスタルジーが刺激される。

 私は。

 前世で。

 こういうあざといポーズを取る女のことを、知っているような気がする。


(……神鳥きらら?)


 なぜか。

 その姿がだぶった。


 前世において、ごくたまに。

 クラスの端っこで高宮蓮と会話するときにだけ見せる、あの無防備な笑顔がカルラと重なるのだ。


 このとき、仮に私が、カルラ様からの。

 のちに元クラスメートだと判明する神鳥きららからの言葉を理解していたのであれば、あるいは。

 何かが。

 変わったのだろうか。

 いやしかし。


 それは。

 おそらく。

 ノーだ。


 世の中には、そうと知った時にはもう、どうにもならない状況にまで追い込まれていることが多々ある。


 受験の一か月前からあがいても無駄なように。

 卒業式の間近に就活をはじめても無駄なように。

 上司に内心で嫌われてしまえば評価されないように。

 いや、そもそも、最初からいい家に生まれて育たなければ…………あるいは才能や容姿や運といった何かに恵まれていなければ、どれほど努力してもむくわれないように。


 その日は。

 しずかに。

 音もなく。


 特に私には何の予告もしないまま、刻々と近づいていた。




 カエデ・シラカワの死亡が確定しました


 残存初期ポイントが100を超えています

 コンティニューしますか?

 →はい


 シミュレーション発動中……失敗

 状況が詰んでいます

 破滅の運命により、カエデ・シラカワの死亡は不可避です

 抵抗しますか?

 →はい


 破滅妖精の運命操作に抵抗しています……失敗

 保有妖精の余力がありません


 状態異常に「衰弱」が付加されました


 吸運妖精と結縁妖精の力が徐々に減少していきます


 主従契約を打ち切ることで解除可能です

 破滅妖精のマスターを弱らせることで解除可能です

 他の妖精からの助力を得ることで解除できる可能性があります


 コンティニューに失敗しました

 初期ポイントは減少しません


 このまま続行し……妖精王女から友好的な介入を受けました!


 死亡が確定する前に妖精王女との交渉が可能です

 破滅の運命が一時保留されます

 ゆくえを見守りますか?

 →はい

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