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Night with Knight  作者: なかむら。
1/5

星降る総て


 ──流れて流れて降り落ちて、行き着く先はどこにあるんだろう。


 ひとの声が聞こえる。ぎりぎりと耳に痛い、悲鳴だ。叫びだ。嘆きだ。周りにだれかの姿はない。この声がどこから聞こえているのかもわからない。一面真っ赤な森の中、ぽかりとあいた空から降り注ぐ眩い星がぼくを照らし、地面にきらきらと反射する。ひかりと、絶えず聞こえる呼び掛けの声があるから、さっぷうけいでもさびしいとは思わない。


 耳に響く音だけが、ぼくをうめる。──願え、お前のすべてを。


 周りから切り離されたように平和に思える空間の中で、ぼくが座り込んでいる赤い地面はとても心地がよかった。

 刃物がかすった頬の痛みも、この状況の意味なんかも、ぼんやりする意識の中ではどうでもよくて。ただひたすらにぼくは、そらを求める。


 ──ねがわなきゃ。ねがわなきゃいけない。あのほしに。


 いちどきりのまちがっちゃいけない願い。欲を願っても、救いを願っても、力を願ってもいい。好きにして構わないから、お前のすべてを願え。遠くで叫ぶみんなが、そういっている気がした。

 だから、ぼくは見つめる。ぼくの心の奥深くを。ぼくのすべてを。

 実直に、歪みなく。

 ぼくの願いを。


「ぼくは……」


 きらり。ちいさなほしが、おおきくひかる。



「ぼくは、《大偉たる総て(ウィザード)》になりたい」



 ──星は、降り注ぐ。

 

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