星降る総て
──流れて流れて降り落ちて、行き着く先はどこにあるんだろう。
ひとの声が聞こえる。ぎりぎりと耳に痛い、悲鳴だ。叫びだ。嘆きだ。周りにだれかの姿はない。この声がどこから聞こえているのかもわからない。一面真っ赤な森の中、ぽかりとあいた空から降り注ぐ眩い星がぼくを照らし、地面にきらきらと反射する。ひかりと、絶えず聞こえる呼び掛けの声があるから、さっぷうけいでもさびしいとは思わない。
耳に響く音だけが、ぼくをうめる。──願え、お前のすべてを。
周りから切り離されたように平和に思える空間の中で、ぼくが座り込んでいる赤い地面はとても心地がよかった。
刃物がかすった頬の痛みも、この状況の意味なんかも、ぼんやりする意識の中ではどうでもよくて。ただひたすらにぼくは、そらを求める。
──ねがわなきゃ。ねがわなきゃいけない。あのほしに。
いちどきりのまちがっちゃいけない願い。欲を願っても、救いを願っても、力を願ってもいい。好きにして構わないから、お前のすべてを願え。遠くで叫ぶみんなが、そういっている気がした。
だから、ぼくは見つめる。ぼくの心の奥深くを。ぼくのすべてを。
実直に、歪みなく。
ぼくの願いを。
「ぼくは……」
きらり。ちいさなほしが、おおきくひかる。
「ぼくは、《大偉たる総て》になりたい」
──星は、降り注ぐ。