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JOKER


「首席、本城烏丸」


知ってる、当たり前だろ。

俺より優れてる奴なんて存在しない。

知ってた事だ。


第3次世界大戦が間近に迫る時に

最強の戦士を育成し国の切り札とするために

作られたのがこの学校である。


俺は強くなる、ただそれだけのために生きてきた。

胸を張ってこの世の誰よりも強くなる為の努力をしたと言える。

実際誰よりも強くなった。


どうでもいい文言が書かれている紙切れを偉そうなおっさんから受け取る。

それよりも早くこの力を使って1人でも多くの人を救いたい。

武者震いが常に俺を捲し立てる。

薄暗くした巨大な体育館の中に1人ライトで照らされ、大勢の人に希望に満ち溢れた目で見られている。


「他人任せのゴミ集団が…」


つい憎悪の籠った言葉が口から溢れてしまった。

偉そうなおっさんがコホンとドヤ咳をした後マイク越しにほざく。


「銃、体術、勉学、素行、メンタル…全てにおいて100点だ。その才能を存分に生かして欲しい!!」


才能じゃねーよ、努力だわハゲ!

優れた能力を才能のおかげと宣う奴は俺を最も腹立たせるタイプだ。

俺の今までしてきた努力を想像すらできないのだろう。


「ありがとうございます」


とりあえず言っておく。


「では本城烏丸君、ひとこと」


ハゲに促されどんなテキトーな事を喋ろうかと考えながらマイクの前に立つ。


「え~…このたびは〜」


ドシャン!!!ゴゴゴゴゴゴ!!!!


地震だ。

揺れた瞬間に命の危機を感じる程の強い揺れだ。

震度7なのは間違いない。

視界が脳震盪を起こしたかの様に眩む。

狂ったかのような悲鳴と怒号が体育館を駆け巡る。

結構この体育館は人入るんだなぁ…と呑気に辺りを見回していた。


「あれ?…天井剥がれてきてんじゃねーかこれ!?」


優れた観察眼で全てを悟る。

もう逃げても間に合わない、必ず死ぬと。


俺の今までの努力って何だったんだ?

何のために生きてたんだ?

もう俺は何も成せないまま死んでしまうのか?


死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない


どんなに願っても運命には逆らえない。

俺の目測通りに天井に押し潰され、俺は死んだ。


○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●



ふと意識が甦る。

真っ暗な空間だ。

地球の空間ではないと直ぐに分かるほど異質で奇妙な場所に立っている。

周りを見渡すと100人くらいであろうか、同じように呆然と立ち尽くしている。


「君たちは今、死にました」


声の方に目をやる。

そこには意識を感じる光があった。

いると言えばいるし、いないと言えばいない。

しかし存在は確実にしていると感じさせる優しい光だ。


「生きていれば死ぬこともあります。悲しいことですが逃れられない運命なのです」


ここが死後の世界か…死にたくなかったなぁ…

転生でもなんでもいいから早くこの悲しい感情を消し去ってくれよ。


「ここに集められた101人は君たちの暮らしている世界で起きた災害の10万人の犠牲者である内の"死にたくない"と強く願った上位101人です」


「今からここに集められた101人は異世界に転生してもらいます。人間側50人、魔族側50人です」


「今、異世界では人間と魔族で争っています。その争いを勝利に導いた側を生前に甦らせてあげましょう」


「もちろん異世界で死んだら甦らせてはあげません。」


は?え?!!!マジで!!!!???

101人の困惑を無視して優しい光は語り続ける。


「何の変哲もない101人が異世界に降り立っても終戦にはならないでしょう」


「君たちにはギフトを授けます。多種多様な特殊能力です。それらを駆使して人間と魔族の戦いに終止符を打ってください」


「異世界に転生する際の人間側、魔族側、能力はこちらがランダムで決めさせて頂きます」


「転生したもの同士か分かるように人間側になったならば白色、魔族側になったならば赤色のマントを着用して頂きます。」


ルールは理解した。

要は特殊能力持って異世界行って自分がなった種族側を勝利させれば生き返れる。

他の奴等も理解したのか嬉々とした表情を浮かべる。

そらそうか死にたくなかった人が集まってんだもんな。


あれ?101人?おかしくね?


「1人最高の能力を付与したどちら側にも属し、どちら側にも属さないJOKERを用意しました。その人が明暗を分けるでしょう」


「それでは転生します」



きっとJOKERは俺だろう。

そう感じ取った瞬間、今まで感じたことのない異様なまでの悪寒がした。



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