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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

真剣に読まないように。

黴た空。

作者: caem

カビたそら、と読みます。

深夜に読まないようにシリーズ。

ド短編です。



 お風呂は偉大だ。


 シャワーも。


 更に言うなら、身体を洗わなければならない面倒臭さが襲い掛かる。


 シンプルな作りの容器が目に映る。


 とりあえず、ワンプッシュ。


 ドロリと溢れた白濁の粘液。

 (おもむろ)に全身に塗りたくり、撫でては温水で洗い流す。


 ふと、誰が用意したのか知らず。

 受け皿で待ち構えるたったひとつの石鹸(せっけん)が鬱陶しく感じてしまう。

 憎々しげに、ポツンと待ちわびる固体。


「ねえ、わたしを使ってよ?」


 それを無視して、ひっそりと忍び寄る恐怖心(くらやみ)に必死に目を逸らし続ける。


 (まなこ)に滲み、染みる痛みに耐えては。

 さっさとことを済ませるように、血が滲むほど頭皮を引っ掻き()しるわたし。


 やがて、室内を満たす湯気に誘われて。


 なみなみと溜められた湯船に肩まで浸かり、漏れる溜め息。




「はあああああ…………」


 ひとしおに押し寄せる歓喜。


 だが、手に溜められた雫は深紅に染まっていた。




 語るに劣らず。


 全身に(まと)いし、流血は告げる。


「癒された……?」





 意識も絶え絶えに、浴槽にゆらゆらと浮かぶ躯。


 (さなが)ら、石鹸の泡のように。


 口許からは、全てが吐き出され漂う。


 それはまるで。


 シャボン玉のように。





冬のホラー。

芯まで凍えていただければ幸いです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 独特の怖さといいますか、独特の雰囲気があって良いですね!(^○^)
[一言] 全ての謎は解けた! 攫われた光彦君のじっちゃんの名の元に! ボディシャンプーは泡立ててから使ったほうが良いですよ。 風呂場の電球が切れたのなら新しいものに変えましょう。LEDだととてもお風…
[一言] 神秘的に感じたのは私だけでしょうか? 普段のお風呂って、こういう書き表し方があるのですね。
2017/12/17 09:30 退会済み
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