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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ふしぎのお茶会 ~血まみれティーパーティー~

作者: るっぴ

アリスはトランプの兵士に囲まれた!

「あんたたちなんか、ただのトランプのくせに!」


トランプの兵たちはいっせいに舞い上がってアリスに飛びかかった。


 だがこの小さな少女には微塵の怯えも無い。

 そう、彼女にとっては文字通りの児戯でしかない状況だからだ。


 アリスの両手が消えたかのような速度で動いた。



「ルイス・キャロ奥義! マッド・ハッター!」



 説明せねばなるまいッ!



 これは敵の頭部を両手で掴み、素早く回す事で――


 <敵の頭皮を引っ剥がす>ッ!



 敵がトランプの兵隊なのが幸いした。

 彼らは紙、頭皮が元から無かったおかげでトランプの印刷を薄皮一枚剥がれただけであった。

 人間なら即死している技だ。


「楽しい。これなら私も存分に戦えるねっ!」


 アリスは大喜びでピョンピョンと跳ねて踊った。

 その姿だけは正に10歳児。


 だが、この年にして一子相伝いっしそうでんの暗殺拳を全て修めた。

 正統なる後継者なのだ。


 アリスがトランプ兵の攻撃を<紙のように>かわし、逆に掴みかかる。


 シュッ!


 また1枚、いや1人のトランプ兵が倒れる。


 10分とかからずにトランプ兵を山積みに。

 否、カードの山札デッキへと戻した。


 チェス盤のようなフロアは静寂に満たされる。



「ヌルいーッ!」


 両手を上げてプンスカと怒るアリス。

 申し訳ばかりの少女アピールだ。



「小娘が……イキがりおって!」


 ハートの女王のお出ましだ。

 彼女は玉座から立ち上がると共に、みるみると巨大化していく。


「ひねり潰してくるるあっ!」

「噛んでる」


「うるさい!」



 巨大化した女王を見ても少しも動じないアリス。

 彼女はニヤリと笑うと、エプロンドレスのポケットからマッシュルームを取り出す。


 モシャア



 何と言う事だろうか!


 マッシュルームの頭だけをかじると、アリスも巨大化したではないか!


「私に大きさは通用しないよッ!」


 舌打ちしながら女王がアリスに飛び掛る。


「貴様を代用ウミガメの代用スープにしてやる!」

「もはや何が何だか分からないね、それッ!」



 アリスの体が一瞬で光に包まれる。


 説明せねばなるまいッ!



 これは彼女が余りにも高速で移動し始めたため、空気との摩擦で起こる衝撃波。

 そしてその空気がイオン化する事で発生する稲光なのだ――


「ルイス・キャロ流奥義! チェシャ猫!」


 非常識の更に上を行くアリスの高速手刀の連続。

 ハートの女王は叫ぶ事も、爆発する事も許されず、塵になっていった。


 アリスの巻き起こす稲光を伴う竜巻が収まると、そこには一山の塵だけが残った。


「貴方もスートの一員なら、山札に還りなさい」



 アリスが塵を一掴みして、トランプ兵士の山に撒く。



「これでふしぎの国は私の物ね!」



 両足を開いて腰元に手をやり挑戦的な笑顔。


 ここに新たなる女王がそびえ立つ――


 だが、その瞬間!



「やっちゃえ! 反勇者の獅子!」


 少女の声と共に疾風がアリスに襲い掛かる。

 不意を突かれたアリスは喉から右肩をパックリ食いちぎられた!


「あ……が……ッ」



 アリスはその場に崩れ落ちて絶命する。


 崩れるアリスの目が見た最後の光景は……



「ふしぎの国はこのオズ王国のドロシーがもらうわ!」



 下克上ッ!


 説明せねばなるまいッ!


 彼女はドロシー。

 マンチキンの国へ異世界転移し、魔女の力を使いオズ王国の覇者となった。


 ドロシーの最も得意なこと、それが下克上なのだ。


「だから貴女が女王になるまで待った」


 ドロシーはつぶやいた。

 この征服女王は下克上をするその一瞬にのみ、生の充足を味わえるのだ。

 獅子の不意打ちで倒される女王など、期待外れも良い所だった。


「さあ、次はイングランドの雲の上の巨人国か、ラピュータの空飛ぶ国に――」



「ギャウウンッ!」


 獅子の鳴き声にドロシーが振り返る。


 何て事だ!


 そこには、絶命したはずのアリスが!


 失われた首から右肩がメキメキと音を立てている。

 骨が形作られ、肉が盛り上がってきている。


 再生能力!


「いつから私を倒しきった、と思い込んでいたの?」



 さすがのドロシーも一歩後ずさりする。





「私は不死技ふしぎの国のアリス――ここからが本番だよ?」




 今、アリスの新たな戦いが始まろうとしている――! 

何でもソシャゲバトルにしてしまう風潮に物申すつもりが……

勝てなかったよ……

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