17 そっくりなんて、そんなこと
「…へ?」
思わず声が漏れる。
顔は笑顔だが、雰囲気が明らかに違う。
「……やっぱり私と木名子ちゃんは、そっくりなんかじゃないよ」
少しだけ悲しそうに微笑むと、佐藤さんは私を抱きしめた。ぎゅっと、強く。顔がかなり近い。吐息が肌にかかるほどだ。
「ちょ、ちょっと…?いた…」
私の動揺なんて構わずに、どんどん力は強くなっていく。ついに額と額があたり、顔に息がかかる。あまりの力強さ故に痛みもあったが、それ以上に額の違和感に瞠目した。
なんだろう、これ、ぶつぶつとした…何か…
これは…
「これね、タバコの痕」
佐藤さんは察したように、そう呟いた。
「え…?」
顔をみると、先程の悲しい笑顔は消え、いつもの、不気味なまでに綺麗な笑顔に戻っている。
「小さい頃ね、お母さんにやられたの。前髪で隠してるんだけど、触れるとやっぱダメなんだ」
抱きしめる力は、更に強くなる。
強くなる違和感と痛みに、私は思わず顔をしかめた。
「ねぇ木名子ちゃん。木葉ちゃんにとって木名子ちゃんは、特別なんだよね。じゃあ、私には何に見えてるんだろう。やっぱり特別?それとも普通かな?」
その時の佐藤さんの顔はわからない。だが、私が思ってたよりも溝は深いという事実が、ただただ、伝わってきた。
「はっ…はなして…っ」
私は佐藤さんを突き飛ばすように、腕を振りほどく。
その瞬間、佐藤さんは力を弱めたように感じたが、私はそんなことを考えられるような状態でもなかった。
佐藤さんは少しよろめくと、私に尋ねてきた。
「木名子ちゃんにはさ、私はどう見えてる?普通かな?それとも特別?…やっぱり、そっくりっていうからには特別、なのかな」
佐藤さんと目を合わせることが出来ない。
私は下を向いて、絞り出すようにいった。
「…ごめんなさい。やっぱり、私には佐藤さんが何考えてるのか、全然理解できないよ…」
佐藤さんは少しの間沈黙すると、
「……答えては、くれないんだね。…木葉ちゃんには、私は先に帰ったって、伝えておいて」
そういって佐藤さんは、たった一人で歩きだした。
足跡が遠のいていく。
私は佐藤さんの表情も見ることが出来ずに、その場に立ち尽くしていた。
今回で木名子視点はおわりです。今回が波乱…かも!予定よりだいぶ遅い!そしてツイッターでは三話くらい先になるとかいってたのに!ごめんなさい!でも今回を含め次からは割と波乱だったりします。起点となる回です!
次からは木葉視点に戻ります〜!木名子たちが過去話で盛り上がってた時なにしてたかってとこです。(語彙がない)
次回もよろしくお願いします!




