16 木名子と木葉②
佐倉木葉に知り合った?日の、放課後。
「ね、ねぇ木名子ちゃん!今日、一緒に帰らない?!」
今朝ほどではないが、緊張した様子でまた佐倉木葉に話しかけられた。…なんで、こんなにも私に執着するのだろう。私は呆れながらも、
「べ、別にいいけど…。」
と、しぶしぶ承諾した。断る理由もないし。…でも、少し緊張する。ほとんど喋ったこともない人と帰るなんて…これ、普通の人でも難易度高いのでは…。
「ほ、ほんとっ!?やった〜!じゃ、かえろ〜」
私の不安をよそに、佐倉木葉はまた笑顔になって歩き出す。
おどおどしていて一見私と同じ人種のように見えるが、それは私の前だけで、節々から「普通の学生っぽい」オーラを感じる。なんで私を誘ったのか、ますます意味がわからない。
私は頭の中が「?」で一杯になりながらも、佐倉木葉の後をついていった。
そこからも、普通だ。
今日は比較的気温が暖かいだとか、今日の給食が美味しかったとか、授業中居眠りしてしまった…だとか。ごくごく普通の、当たり障りのない会話。
会話というよりも佐倉木葉が気をつかって一方的に話してばかりで、なんだか申し訳なくなってしまう。
「今日はあったかいから、やっぱり眠くなっちゃうのは仕方ないよね〜….あはは〜………………あ、あとは〜……えっと…」
佐倉木葉は一生懸命次の話題を考えている。私は我慢出来ずに、とうとうきいてしまった。
「…ねぇ、なんで私なんか、誘ったの?話題に困るくらいなら、誘わなきゃよかったのにさ」
佐倉木葉は私の問いに驚いたようにまばたきし、
「ん〜…なんかね、放っておけなくて。他の人と、違う感じがしたからさ。友達になりたいな〜って」
と言って、困ったように笑った。
「…なにそれ、意味わかんない」
釈然としない答えに、私は思ったことを言った。
「あはは、ごめん…。私が普通だからっていうのも、あるのかも。とにかく、なんか気になったんだよ」
「…なにそれ、嫌味?あと別に………謝んなくていい」
意味がわからないのに変わりはなかったが、謝られるのはもっと釈然としない。私は正直なのだ。
「………木名子ちゃんって、ズバズバ言う割には優しいんだね……」
「うっ」
不意打ちだ。佐倉木葉は感心したように私を見る。
私はこの生暖かい視線から逃れるために必死で話題を変えようと…
「……………。…っ、あと、佐倉さんは…めっちゃ普通、だけど…私の中ではすごく、特別な人だよ。……うん。….…うん…?」
ついつい、思っていたことを口にしてしまった。
…これ、めちゃくちゃ恥ずかしいこといってない?
後から気づき、顔がボッと熱くなる。
佐倉さんの顔を伺うように一瞥すると、「えっあっ…」と、案の定戸惑った様子で、少し顔が赤くなっていた。だがそれは少しの間だけで、
「……あ、ありがとう!…〜っ、木名子ちゃん、墓穴掘ってるよ〜、もう」
と、髪を耳にかけ、恥ずかしさを誤魔化すように言った。心なしか、若干早歩きになっている。
…佐倉さんも人のこといえないぞ…。
佐倉さんのそんな姿に私は自分の恥ずかしさなんて忘れて、つい笑顔になってしまった。
「ふ〜ん、木葉ちゃんにとって木名子ちゃんは、そんなに特別な存在なんだね」
佐藤さんは笑顔で、そんなことを言った。
今の話の流れからして普通逆では?と疑問に思ったが、そこは捨ておき、
「…まぁ、今はわかんないけどね。
…んで…言いたいことっていうのは…その、佐藤さんはその時の私と似てるっていうか。
上手く言葉に出来ないけど、…あんまり、気負いすぎない方がいいと思う。佐藤さん、いつもなにか思い詰めてる表情だったからさ」
私の発言に、佐藤さんはきょとんとした。
「いや、何も知らないのになに言ってんだこいつって感じだけ…」
私が必死に言い訳しようとすると、それを遮って、
「ふふふ、そうだね。ありがとう、木名子ちゃん」
と、笑ってくれた。その笑顔に内心ホッとする。
「…で、それで?何も背負わなかった先には、何があるのかな」
佐藤さんはいつもの笑顔で、たしかにそう言った。
途中で「佐倉木葉」から「佐倉さん」に変わるのは木葉と桜花の状況と似せてたり似せてなかったり…
やっと三分の一か半分くらいです。
年内に終わらせたい(ほぼ無理)なので文字数は前回のほぼ倍です。(私にしては長い!なろう基準ではめちゃ短い?!)
次回も木名子視点です。よろしくお願いします!




