12 昼食
昼休み。
いつもなら木名子と二人の昼食が、今日は三人いた。
実はわたくし、佐倉木葉は桜花ちゃんと昼食を共にすることに成功したのである!
やる気に満ち溢れた私は、休み時間の度に桜花ちゃんに怒号の勢いで話しかけ、しばしば桜花ちゃんを困惑させた。昼休みはいつもどこかにいってしまうので、念のため昼休みの約束は休み時間中にとりつけた。
最初からこうすれば良かったのだ、という満足感まじりの後悔と、慣れないことをした恥ずかしさやら疲れやらで複雑な気持ちだが、まあいいだろう。
木名子には桜花ちゃんを誘うことはいってなくて、
「…木葉ってさ、そういうとこあるよね…」
と、昼休みの第一声で、やはりいつもと表情は変わらず、だが少し呆れたように言われた。自分の非常識さに遅れて気がついて、猛省した。
謝ると木名子はで少しだけ笑顔になって、快諾してくれた。どうやら怒ってはいなかったらしい。
私たちは適当な席に座ると、各々の弁当を食べ始めた。木名子もあまり喋るタイプではないし、桜花ちゃんも木名子とは初対面だから、私が積極的に話さねばと思っていたのだが…
「にしても木葉、先週は本当めんどくさかったな…」
と、若干楽しそうに木名子が話題を振ってきた。
…い、一番喋らなさそうな人が喋った………!!!
私としては話題についてなにか言うべきなのだろうが、それ以上に木名子が喋ったことに驚いていると、桜花ちゃんが少し緊張したように
「木葉ちゃんがどうしたの?」
と木名子に話しかけた。
木名子も突然話しかけられて緊張したのか、「えっ、えっと」とたじろぎながらも、
「佐藤さんとずっと友達になりたかったらしくて、ずっとうだうだしてたんだよ」
木名子は務めて笑顔で答えた。笑うのは苦手なのか、顔がひきつって少々気持ち悪いことになっている。む、無理するな…!
必死な木名子を見てるとなんだか笑えてしまう。
桜花ちゃんはその気持ちの悪い笑みは据え置き、
「……へぇ〜、そうなんだ」
と、両方の意味で、一瞬きょとんとしてから、いつもの笑顔で適当な相槌をうっている。
私が先ほどから笑いを堪えているのが伝わったのか、木名子は普段の真顔とは想像出来ないほど顔を真っ赤にして、
「な…っ、………ちがっ、私は………っ、も、もういいっ」
と吐き捨て、お弁当に八つ当たりするかのようにぱくぱくと食べ始めた。何かを否定しようとして諦めたらしい。
そんな木名子をみて、さらに笑ってしまう。桜花ちゃんも困ったような微笑を湛えている。
さらに顔が真っ赤になった木名子をなだめつつ、私は桜花ちゃんと、いまのところ良好な関係を築けていることに安堵した。
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