11 リトライ
「た、ただいま〜…」
自宅の前。
時間をすっかり忘れていた私は、おずおずと玄関の扉を開けた。
「木葉〜っ!今何時だと思ってんのよ!!」
案の定だ。お母さんはおそらく台所にいるのに、はっきりと声が聞こえる。地獄耳な上に声がでかい。
「ご、ごめんなさ〜い!」
私は急いで靴をぬごうとする。ぴったりより少しだけきつい靴はぬぎ辛くて、焦っているのも相まってぬぐのに時間がかかる。
私はイライラしながらも、ぬぎ終わると廊下を全力疾走し、台所へ向かう。
スパーン!と台所の扉をあけると…母親は夕飯の準備していたらしい。が、その手を止め、怒声をあげた。
「こらっ木葉!廊下走るんじゃないよ!あと…」
母親の言葉を聞き終わる前に速攻でダイニングテーブルに頼まれたものだけを置くと、またスパーン!と扉を閉めて階段を上る。
そして自分の部屋に立てこもりフィニッシュだ。私の常套手段である。
「ごめんなさ〜い!」とか言っておきながらこの態度。自分のクソガキ具合に呆れながらも、家族だから許してほしいとさらにクソガキ思考に走る。私の悪い癖だ。
普通の家庭なら絶対怒られるこの手法が、私の母親には割と効く。それは私の母親がとにかく大雑把で、すぐに怒りがおさまるからだ。
悪いのは完全に私だけど、これで何事もなく終わるのだから仕方がない。と、心の中でくだらない言い訳をした。
週末明けて、月曜日。の、朝。
「桜花ちゃん、おはよう」
私はいたって普通に、桜花ちゃんにあいさつをした。
あいさつや雑談は初日やその次の日だけで、今は疎遠になっていたから…桜花ちゃんは驚いたようにこちらを見て、一拍置いてから
「…おはよう、木葉ちゃん」
と、笑顔でいった。その笑顔は入学式と変わらずやはりとても綺麗だった。でもそれは、ただ綺麗なだけだ。今の私には、よく出来た『作り笑い』に感じて、それが少しだけ悲しいな、と、思う。
私たちが今までそれなりの仲だったのは、互いに壁を作ってたからだ。
散々友達になりたいと言っておきながら、積極的に話しかけなかった私。
いい友達になれそうと言っておきながら、どこか人を避けてる桜花ちゃん。
でも、私は変わったのだ。
最初は、桜花ちゃんのことは特別で、自分とは違う存在だって思ってた。
でも今は、普通で、対等で、………前よりも、気になる存在だ。
「桜花ちゃん、次の授業ってさ〜……」
だから私は、一通り朝の準備を終えると、桜花ちゃんに話しかけた。…やっぱり友達っていうのは、何気ない会話から、始まるものだ。
更新速度がクソすぎる…もっと頑張りたいです…




