第9話 終着点の最果ての先へ
コノヒは倒したイフロが部屋に戻ると
「ようやくS級No.2のコノヒを超えたか……これを受け取ってくれ」
エナマはイフロに挑戦状を渡す。
「まあ、いいけど」
イフロはエナマの挑戦を受ける。
「よし、早速戦おう」
エナマはそう言ったので
「おう」
イフロはそう答えた。
両者共に『無彩の世界』に立つ。
「よし、かかってこい」
エナマがそう言うと同時にエナマは敗北した。
………………
…………
エナマは敗北しなかった。
「何? 」
今まで息を吸うように勝利してきたイフロは少し面食らってしまうが
「まあまあやるようだな、今までの雑魚とは別格だ」
イフロは気をとりなおしさらに自身の有利になるようにする。
イフロはエナマに対して敗北を連打したがエナマは敗北しても敗北しても敗北しなかった。
「嘘だろ」
イフロは目を見開く。
「事実さ。私は敗北しない……なぜかわかるか? 」
エナマはイフロに語りかける。
「わからん」
イフロが短くそう言うと
「では敗北とは何かわかるかい? 」
エナマが質問する。
「勝負に負けることでは」
「では勝負とは? 」
「実力を持って勝ち負けを……はっ! 」
「そうだ! 勝負とは勝ち負けを競うこと、そして敗北とは勝負に負けること……つまり意味がループしているの。鶏が先か卵が先かという事さ……どんな何も表現表記を超えてなお敗北とは敗北でしかなく勝負とは勝負でしかない、ゆえに敗北とはだだの勝負している者の妄想に過ぎない。それゆえ死のうが諦めようが、どんな敗北の要因もそれは真の敗北でなく敗北だと思っているだけに過ぎないそれゆえに私は敗北しない。たとえ私が敗北したと思っても誰かが敗北したと思ってもみんなが敗北したと思ってもそう思っているだけで、本当の意味で私は敗北していない私は敗北していないからだ本当の意味での敗北とは敗北そのものそして、敗北は純粋な敗北でなければ経験する事はできないゆえに私は敗北しないのさ……」
エナマはそう言う。
「あれ? でもそうなるとどっちも敗北しないし勝利しないし引き分けもないし、そもそも勝負できないじゃん」
イフロがそう言うと
「確かに! やっぱり争いなんてやめて平和が一番! みんな幸せが一番! 」
エナマがそう言うと。
「「「そんな気がしてきた! 」」」
精神と意思を持つ者の皆が、そう言って宴会が始まった。