プロローグ
よろしくおねがいします。
「とんでもねえ! あたしゃ神様だよぅ!」
「なん……だと……」
紆余曲折を経てなんとかトイレに駆け込んだシオンだったが、一歩間に合わず脱糞の上で悶死した。
目が覚めた先で見たのは白髪ボーボーぐるぐるメガネの自称神様だった……。
というのが前回(?)までのハイライト。
「で? 俺が死んだのは手違いだと?」
「ちょっと違うのう。間違いだったのはトイレに間に合わなかったことじゃよ」
「おんなじなんだよ!!」
「まあお主にとってはのう……。いずれにせよお主がここで死ぬはずがなかったというのも確かなことじゃ。フィードバックできるかわからんが原因究明するか?」
「いらねえ。どうせ生き返らせないんだろ?」
「仮に生き返ったところで脱糞の汚名はそのままじゃぞ?」
「そこはサービスで何とかしろよ!!」
「できるもんなら黙ってやっとるわい。できんからこうして意識を呼び出しとるんじゃ」
自称神様はそう言い選択を促した。
「このまま死んで通常プロセスに移行するか?」
「他に選択肢があんのか?」
「チート転生くらいなら相談に乗るぞい」
「転生ねえ……今更20ウン年やり直すのもなあ」
「ならばそうじゃのう……お、ちょうど勇者召喚を実行しておる世界があるのう。これはどうじゃ?」
「どうじゃ? って……俺、死んでるんだけど」
「受肉くらいはしてやるわい。チート付きでな」
「チートねえ……」
「そうじゃな……ほう、お主なかなかええ趣味しとるのう」
ニヤリと神様。
「テメー勝手にヒトのこと調べやがったな!」
「ホッホッホッ、神様じゃからのう、全知全能(一部除く)じゃわい」
「矛盾すぎんだろ……」
「しかしやはりというべきかのう……現代日本人の業の深さは限りがないのう」
「ハッ! おいおい俺の趣味はすでに江戸時代には存在している。現代に限ったことではない!」
「触手趣味をそんな自慢げに言わんでも……」
神様は呆れて言った。
「しかし俺は別に自分のナニをソレされても嬉しくないんだが」
「ナニと言わず全身自在に変えれれば良かろう?」
「……ホウ」
ホウじゃねえ。
「それは……つまり……」
「うむ。分裂・再生も思いのまま。そうじゃな……戦力的には魔王軍全軍の100倍くらいでどうじゃ?」
「ホッホウ」
「今なら催淫機構付きじゃ」
「ホーウ! しかしそれだけではなあ……」
「なに、この世界にはエルフも褐色魔人も青肌悪魔もおる」
「ベネ・ディ・モールト!(イタリア語で非常に良い)」
ジョジョ立ちでシオンは言った。
「その条件で行こう」
「異世界触手の旅、一名様ごあんな〜い!」
神様の軽い掛け声とともにシオンの姿が薄くなっていく。
「ついでじゃから速度はマッハ20超にしといたぞい」
「まじで!? サンキュー神様!」
「いいってことよー!」
こうしてヘリウムみたいな軽さでシオンは異世界へと旅立った。
プロローグだけ雰囲気が違います。