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【完結】もちろん、私が解決いたします  作者: 楽歩


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23.素晴らしい騎士




 sideレティシア




『レティの婚約者は、立派な騎士と思われたかった』



 ああ、素敵な言葉をいただきましたわ。




 邸に帰ってからスヴェイン様の言葉を反芻する。




 そうであれば、子供たちにもスヴェイン様の魅力をより伝えなくてはいけませんわね。



 絵本や小説……まだ識字率が低いですもの。これでは伝わりませんわ。


 そうだわ。劇がいいわね。確か出資してほしいと言っていた劇団があったはず。




「バレン、今すぐ脚本家のカルアを呼んでちょうだい」


「今度は何をやらかすんですか? お嬢様」



 やらかすなんて人聞きが悪いわね。








 後日、孤児院の子どもたちを観劇に連れて行くことを孤児院の院長に提案した。



「子供たちにとってとても良い経験になります。ですが全員よいのですか?」



「ええ、もちろん。大人の皆様も行きましょう」



 はしゃぐ子供たちを引き連れ、劇場に到着する。


 その大きな建物の扉をくぐると、広がる豪華な空間に、子供たちは目を奪われる。煌びやかな装飾が施された壁には、色鮮やかな絵が描かれ、光を反射して輝いている。天井には大きなシャンデリアが吊り下げられ、細やかなガラスが太陽の光を美しく反射させ、劇場全体を明るく照らしていた。


 子供たちはその空間に足を踏み入れ、まるでおとぎ話のような世界に迷い込んだかのような表情を浮かべている。足元の赤絨毯がふかふかと柔らかく、所々に金の装飾が施されているのが見える。


 舞台に近づくにつれ、子供たちは目を輝かせ、驚きの声を漏らす。



 大きな幕が上がると、そこには繊細な模様の装飾が施された豪華な舞台が広がり、その奥には大きな背景が用意されている。舞台の真ん中には煌びやかな照明がいくつも設置され、照らされるその姿に、子供たちはさらに声をあげて驚きと感動を表す。



「すごい……!」


「キラキラしてる!」


 目を輝かせながら、子供たちはその壮麗な舞台に魅了され、口々に感嘆の声を上げる。




「今日の劇は、私の婚約者であるスヴェイン様がモデルですの。楽しんでね」




 劇団の舞台では、スヴェインの雄姿が描かれた。その物語に子どもたちは目を輝かせ、夢中になっていた。


 まず、仲間との友情。スヴェイン様と一緒に戦う仲間たちが、笑い合い、支え合う姿がステージ上で再現される。時折、ユーモラスな場面も挟み込み、和ませる。


 続いて、戦場での苦悩。戦火の中、スヴェイン様が傷つき、仲間を守るために必死に戦う場面がリアルに再現される。大きな音と共に、戦場の厳しさが目の前に迫る。子供たちは息を飲み、まるで自分もその場にいるような気持ちになっているようだった。


 そして、努力の果てに勝ち取った勝利の瞬間が描かれる。スヴェイン様が仲間たちとともに力を合わせ、困難を乗り越え、戦いに勝利する姿が舞台上に美しく表現される。光と音楽が劇場を包み込む中、拍手を送り、大人たちはその姿に感動の涙を浮かべる。



「すげえ、かっこいい!」


「かっこよすぎる!」


「あれがスヴェイン様なの?」


 子供たちが次々に口を開き、舞台に心を奪われ、感動と興奮の声を上げる。




「でも、本物の方がずっとかっこいいですわ」


 私は得意げに言った。





 ****





 一週間後、「話の練習をしてきたんだ。リベンジだ」と言うスヴェイン様と再び孤児院を訪れた。





 子供たちの様子が明らかに変わっていた。




「俺、騎士になる!」


「俺も!」


「私は騎士様のお嫁さん!」




 彼らの目には尊敬と希望が宿っていた。スヴェイン様は一瞬驚いたが、すぐに柔らかな笑みを浮かべた。




「騎士になるにはたくさん努力が必要だぞ。でも、君たちならきっとできる」



 スヴェイン様の周りを囲み、憧れの目で見つめ話を聞く子供たち。



 優し気なその姿を見つめながら、改めてスヴェイン様の素敵さをかみしめていた。








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