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ACT20〜聖地と悪魔〜

オレ達は、3つの班に別れて行動していた。夜営準備が終わり、外側の見張り役、護衛役、そして休息を交代で行う。


申し訳ないが、オレとニナは、そのどの班にも属さず、休息をとっている。焚き火の近くで、横倒しになった丸太に座りながら夕食をとっていた。


昼間の食事は、携帯食を軽くとる程度だったので、まともに食事をするのは、朝食以降始めてだと言えた。


と、言っても、それ程凝った料理ができるわけではなく、野菜や干し肉などを入れたスープとパンくらいのものである。


ただ、今の状況では、温かいものが食べれるのは有り難い。


これも、村を出る時に村人達が用意してくれた食材のおかげだと言えた。


「なあ、穢れの地って、ここだけではなく他にもあるんだよな?」


オレは、食事をしながら隣に座るニナに聞いてみた。


「ええ、王国内のいたる所で発生しているはずよ」


ニナが答えた。


「現在、王国内では数ヶ所で確認されている」


マインが、オレの正面で食事をしながら、ニナの話を引き継ぐように話しだした。


「王国の騎士団や魔術師団は、総力を上げて対処しているが、苦戦しているのが現状だ」


「だから、聖属性魔術を使う聖女が必要なんですよね?」


オレは、マインに聞く。


「その聖女って、一人だけなのか?」


ニナに視線を移しながら聞いてみた。


「ええ、聖女様は一人しか召喚する事はできないわ」


「でも、一人で全てを浄化する事なんてできるのか?王国だけでも、複数の穢れの地が出現しているんだろ?」


「どういう事?」


オレの疑問の意図がわからないのか、ニナが聞き返す。


「いや、この世界がどれだけの広さで、いくつ国があるかわからないけど、その全てを一人の聖女で浄化するのは無理じゃないか?」


「ああ、なるほど!」


ニナは、何かを理解したようだった。マインもオレの前で頷く。


「邪気の発生は、基本的には王国でしかおきない現象なんだ」


マインがオレに言った。


「他の国では、邪気が強くなる現象はないのか?なんで?」


「聖地が関係しているのよ!」


オレの疑問にニナが答えた。だが、意味がよくわからない。


「聖地って、前に言ってた邪気の量を測定する場所だよな?」


「ええ、そうよ!」


ニナがそう答えた後、聖女と聖地、そして王国の歴史について説明してくれた。


昔、この世界に悪魔が降臨したのだという。その力は絶大で、当時の各国が総力を上げて戦った。


その戦いを終結させたのが、異世界から召喚された初代の聖女だったのだという。


彼女は、各国の聖職者や魔術師と力を合わせて、悪魔を封印した。その封印した場所が、今のヴァンライズ王国なのだそうだ。


聖地とは、その悪魔を封印した中心地なのだそうだ。


そして、100年くらいの期間に一度、その封印された悪魔の力が強まる時期がある。それが、邪気が強まる時期なのだという。


「つまり、邪気が強まり、穢れの地や魔物が凶暴化するのは、悪魔が封印されている王国だけって事?」


「ええ!他の国では見られないわ!」


ニナが答えた。


「だが、浄化をしなければ、邪気は世界中に広がり、他の国でも邪気が強まる」


「だから、聖女様を召喚して王国が浄化をし、それを各国が支援するの」


マインの説明の後を、ニナが引き継いで言う。


「聖女の力を使って、王国内で邪気を封じ込めてしまうわけか」


オレが、そう言ったのに対して、ニナとマインが頷いていた。


「国境は人間が作ったものだから、必ずしも、王国内だけで邪気が発生するわけじやないけど、ほとんど王国内ね」


オレは、この世界全体で邪気が強まっているのだと思っていた。


だが、邪気が強くなっていて、魔物が凶暴化しているのは、悪魔が封印されている王国だけらしい。


「その元凶となってる悪魔をどうにかできないの?」


「難しいんじゃないかしら!」


オレの疑問にニナが答える。


「何百年も封印されたままだから、力は弱まっているかもしれないけど、本体をどうにかするには、一度封印を解かないといけないから」


「そうか、封印を解いて手に負えなかったら終わりだもんな」


ニナの説明にオレが同意した。


「初代の聖女様が、多くの魔術師達の力を借りて、やっと封印した悪魔だからね」


「難しいだろうな」


ニナもマインも同意見のようだった。


「オレ達ができる事といったら、穢れの地や魔物を、その都度なんとかする事だけか」


「ええ、そうね」


ニナがオレの言葉に同意した。もっとも、この浄化作業は、本来聖女がするお勤めだと言える。


聖女ではないオレがしているのも、おかしな話ではある。


ただ、オレも気付き始めていた。おそらく、ニナやマインも考えている事だろう。


あえて、二人もオレも言葉にしようとしていないだけだ。まだ、完全に確証があるわけではない。


まだ、想像の域を出ない事だ。だが、オレの何処かで、その可能性が高いと感じている部分があった。


そう、今回の聖女は女性ではないのかもしれない。







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