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ACT10〜第一王子の思惑〜

「父上があの異世界の男を探しているだと?」

そう言ったのは、このヴァンライズ王国の第一王子であるローレンツ・フォン・ヴァンライズである。


「はい!」

付き人の男が答えた。


「父上は何を考えている!」

「おそらく、今回の魔物討伐で被害が大きかったためだと思われます」

ローレンツは、その答えを聞いて、苛立ちはじめていた。


「それで何故そんな男を探す必要がある!父上は、聖女である玲奈殿を信じられないのか!」

「それでございます!」

苛立つローレンツにビクビクしながら男は答えた。


「今回の遠征でも、聖女様は出陣されませんでした!」

「だからなんだ!まだ、その時ではないだけだ」

ローレンツが怒鳴る。


「しかし、邪気を持つ魔物が出現した今、聖女様が出陣されないというのは問題です」

「それは…、だが、まだ玲奈殿の用意ができていない」

ローレンツは勢いをなくしていた。


「それでございます!いまだ聖女様は、聖属性魔術を使えておりません」

「だからなんだ!」


また、ローレンツが苛立ちはじめた。ローレンツ自身も理解しているからだ。聖女である玲奈が、今だに覚醒していない事は、国家として問題だという事を。


「聖女様の覚醒がなされない以上、マサノリ様の力が必要だという事です」

「バカな!玲奈殿をさしおいて!」


「しかし、マサノリ様は聖属性の魔術をお使いになります」

ローレンツも、マサノリが回復魔術を使った報告を受けていた。


「たしかに、聖属性魔術を使えるかもしれん!だが、今は行方不明ではないか!」

「それでございますが、マサノリ様の命を狙う者がいるようです」

ローレンツは、はじめて聞いた話のようであった。


「なんだと!誰がそんな事を」

「わかりかねますが、我々の中にいてもおかしくありません」


ローレンツの表情が険しくなった。自分の部下の中に、異世界の男の命を狙った者がいるかもしれない。その意味を理解したからである。


聖女を重用しているローレンツにとって、聖女より先に、聖属性魔術を使ったマサノリは目障りな存在である。そして、マサノリを利用しようと考える者も現れるかもしれない。


ならば、消してしまえばいい。ローレンツの部下の中に、そう考える者がいてもおかしくはない。


「我々も、その異世界の男を探せ!父上より先に見つけるのだ」

ローレンツは、部下にそう命じていた。


ローレンツ自身も、マサノリを先に見つけてどうするかは、測りかねていた。だが、どのような対処をするにしろ先に見つける必要があった。


「最悪、命を奪う事になるかもしれん」

ローレンツは、独り言のように呟いていた。






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