表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

2話

 現状の把握は、ひとまず完了した。

 次に考えるべきは――今後の方針だ。


 この世界の治安がどの程度かは、まだ分からない。

 けれど、どんな世界でも生き残るには力が必要だ。

 今の自分にできる最善策は、できるだけ早くステータスを向上させること。


 【名前】エル

 【レベル】0

 【力】1

 【器用】1

 【敏捷】1

 【知能】15

 【魔力】1

 【運】10


 【魔法】なし

 【スキル】なし


 ステータスはご覧の通り。

 やはり、知能と運以外は「1」のままだ。赤ん坊である今の肉体を考えれば当然といえば当然か。


 まず、「力」。これは筋トレが思いつく。

 「敏捷」は走ることだろうか。だが、いずれもこの赤子の肉体では限界がある。

 いや、筋トレだけなら、多少は……できるかもしれない。


 思い立ったが吉日。さっそく実行に移す。


 仰向けになり、両腕を天に向かって突き出す。

 それを、ベンチプレスの要領で上下に動かす。――1、2、3……。

 成人男性からすれば笑ってしまうほど低負荷だが、今のぼくにとっては違う。

 まだ未発達な筋肉が、早くも悲鳴をあげはじめる。


 10回、15回、20回――。


 限界だ。ぷるぷると震える腕が、これ以上の動作を拒否している。


 ……これは、間違いなく明日は筋肉痛だな。


 続けて、足、腹筋、背筋――使える筋肉はすべて使うよう意識して、赤ん坊なりのフルワークアウトを終えた。

 全身がぽかぽかと熱を帯び、汗がじんわりとにじむ。


 ひとまず、これで“筋トレ”は完了。


 ステータスに変化があるか確認してみよう。


 【名前】エル

 【レベル】0

 【力】1

 【器用】1

 【敏捷】1

 【知能】15

 【魔力】1

 【運】10


 【魔法】なし

 【スキル】なし


 ……変化なし。


 そりゃ、そう簡単に上がるわけないか。

 世の中、いや、異世界でも筋肉は裏切らない。継続あるのみ。明日も続けよう。


 次に考えるのは――魔力。


 これも、よくある設定だと、体内にある“エネルギー”のようなものを感じ取るところから始まる。

 そう、"魔力を感じる"ってやつだ。


 試してみよう。意識を内側へ、内側へ――静かに、深く集中する。


 


 …………


 


 「…………わややい(わからない)」


 まったく手応えがない。

 体の中にエネルギーが流れてる気配もなければ、ビリビリするような感覚も皆無。


 ……30分ほど頑張ってみたが、感覚すらつかめなかった。


 やはりこれも、時間をかける必要がありそうだ。

 筋トレと同じように、毎日継続すること。そうすれば、いつか“魔力”を操れる日が来るかもしれない。


 


 こうして、“第二の人生”は始まった。


 誰にも知られず、誰にも頼らず、ベッドの中でこっそりと――

 未来のために、静かに、そして確かに力を蓄え始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ