義妹が来た!④
まだ痛む。シンバルで頭を叩かれたくらいの強烈な痛み。あ、片方のシンバルじゃなく両方。脅威の腹パンだった。月菜は興味津々で諸星の腹を抓る。今は月菜と諸星しかいない。
「いってぇ」
「痛みやがりやすか?」
月菜のニヤニヤが止まらない。彼女はイタズラするのが好きなのだろう。諸星は勘弁してくれよと頭の上に氷を乗せて休憩する。
「私の能力はすり抜けでもう1度風呂を覗くことが可能ですが?」
「できるかっ!」
あれはただの事故だ。見ようとして覗いたわけじゃない。しかし、鼻血は出る。
月菜はワクワクしているだろうが諸星は反対。もうどんよりだ。
「魔力が他の候補よりも強いんだってな」
「あぁ、だから再婚して義妹って事にして監視するんだよ。君の事をね。丁度父親も独身だったし」
「離婚したからな」
「丁度いいのよ」
月菜は一件落着と背伸び。どこが?と思うのだが。諸星は大ダメージ。
「そんなに俺が危険か」
「いや、疑っているが疑っているわけじゃない。君は善人だって証明できれば解散さ。まぁ、君には手伝ってもらうがな。欠片集めをね。その魔力使わせてもらうよ。都合がいいんだ」
DBの欠片は悪用されると不味いのでさっさと回収しなきゃ行けない。世界が破滅するレベルになるかもしれないと月菜は言う。
「都合がいい彼氏かよ」
「はっ、めでてー脳みそ」
彼は世界の破滅をどのくらいの冗談と思っているのだろうか?月菜達は悪用されると世界滅亡になる事を知っている。使い方次第で。なぜ知っているのかは今は蓋をしておこう。ブレイクタイムと行こう。
今は刹夏のカレーを楽しみたい。陽菜とは気まづいがリビングに行きたいと思っている。いや、別で食べてと刹夏に言われてしまったのだ。
「お兄ちゃんはこっち!リビングに行ったら文字通り斬るっ!」
背筋が凍る。月菜はまぁまぁと舌を出しているが刹夏は割と本気みたいだ。
「美味い」
1人で食べるカレーは格別だなと氷をずらしながら思った。
☆☆☆
陽菜は許してないが許している。なのでこうして前に出してもらえるのだろう。彼女の捜査によると欠片はあるゲーム会社に潜んでいるらしい。おや?ここはと諸星は思った。
「夢幻じゃないか」
「知ってるの?」
「私はグルだと思ってるけど」
陽菜と秋奈は頷く。まさか、乾咲真がそんな事する訳ないだろと諸星は思った。
「乾を疑ってるのか」
「えぇ。乾咲真は反応は無いものの隠してるんじゃないかってね。しかも作ってるそうじゃない?ゲームをさ」
てめぇと陽菜を殴りそうになった。「手を出しちゃいかんぜよ」と月菜に止められる。
「そんなに仲がよろしいのね」
「女子に手を出すなんて最低〜」
真冬はドン引きしながら薬を飲んでいた。何の薬かは教えて貰ってない。
「乾と通話出来る?」
陽菜の上から目線。少しムカつくが状況が不利に動いているため肯定するしか無かった。
「あぁ」