双子とお弁当
あれ、私の推しってあんなに無愛想だったっけ?
「ねぇねぇ、何で僕じゃないって気付いたの!?」
「なんとなく?」
「初めてだな見破れたやつ」
「そうだねー」
二人が顔を見合わせて笑いあう。
これが恋愛小説のヒロインの気持ちかー。懐かれるって変な気分。
「ねぇねぇ水葵は生徒会入る気ないの?」
「生徒会か…」
ぶっちゃけ興味がないと言ったら嘘になるよね。だってさ、仕事してる推しを間近で見れる機会そうそうないし…
「考え中」
「えー。生徒会入ろーよー」
廉が可愛い顔で覗き込んでくる。
え、その顔は反則なのでは…
「う…前向きに検討してみる」
「僕達はいつでも水葵の事待ってるからねー」
生徒会ってやりたいって言ったら簡単に入れるもんだっけ…?
「そういえばさ、うちのクラスに生徒会希望の子居たよねー?」
廉が麗に問いかける。
「同じクラスの橋達とかいうやつだろ?」
「そうそう。最近律が気になってる子らしいんだよねー」
もうそんなにストーリーが進んだのかな?
「俺はあぁいうタイプ得意じゃない」
「え…」
ヒロインってみんなの姫でしょ?なおかつ剣兄弟は主要メンバーだし。
原作の流れがすでに変わってきてる…?
「外見は可愛い方だと思うけどー、僕もあまり好きじゃないかなー」
あ、可愛いのは認めるんだ…
「僕らの一番は水葵だから!」
「はいはい」
どうせ結月と話したら好きになるんだから。
「絶対信じてないだろ」
「二人もきっと結月ちゃんと話してみたら気が変わるかもしれないじゃん」
「水葵こそあの子のどこがいいと思ってるの??」
「可愛いところとか、才色兼備なところとか、笑うと可愛いところとか…」
結月のいいところをどんどん挙げていく。
「そんなに言うならそいつと話してみればいいじゃねぇか」
「僕たちじゃなきゃ結構引いてるからね」
2人はほーんとに結月の魅力をわかってないんだから。
「後で後悔しても知らないからね?」
「後悔しねぇよ。逆に後悔すんなよ?」
「しませーん」
絶対に後悔するんだから!