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第81話「回復魔法の極地――生命のリ・リザレクション」

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(俺はずっとお前の中に居たんだ、アスフィ・シーネット。

エーシルによって世界が再構築されたこの世界でな。お前は忘れていただけだ……だがゼウスのおかげでこうしてまた記憶を取り戻すことが出来た訳だ)


……だが待て、まだなにか足りない。


(何がだ?)


……そうだ、ゼウス・マキナ……彼女はどうして二人になった?


(それはお前が一番よく理解しているはずだ)


俺が一番理解している……?

記憶を取り戻したはずなのに、どうにもその部分だけ靄がかかったように曖昧だ。

確かにマキナはゼウスと別れた。それは分かる。

だが、どうして分かれた?なぜ二人になってしまった?

思考を巡らせても、まるでそこだけ意図的に切り取られたように思い出せない。


(……忘れているようだな)


思い出せない……。


(それはお前自身で思い出してやれ……ではそろそろ時間だ、アスフィ・シーネット)


なんのだよ。


(過去の俺は消え、お前となる)


……俺は全てを思い出すのか。


(怖いか?)


いや、覚悟が決まった。


(それでこそ()だ)


真っ白だった空間にヒビが入り始める。

崩壊の予兆だ。


(マキナを……愛してやれよ)


任せろ。


***


「…………アスフィ、目が覚めたか?」


現実へと意識が戻った。

ぼんやりと霞んでいた視界が次第にクリアになる。

俺はエルザの膝枕に横たわっていたらしい。

仰向けのまま見上げると、心配そうなエルザの顔があった。


彼女の膝枕は柔らかいとは言えないが、暖かかった。

妙な安心感がある。どこか懐かしくすら感じるのは、以前もこうして支えられたことがあったからかもしれない。


「ああ……待たせてすまない。全て思い出した。もう大丈夫だ」


はっきりと口にした瞬間、自分の中で霧が晴れるのを感じた。

俺はもう迷わない。これからやるべきことは決まっている。


「…………そうか。実はゼウスが――」


「知ってる」


ああ、知っているとも。

彼女のことは、もう決して忘れない。


ゼウス・マキナ。

元々は一人の存在だった彼女が、再構築によって二つに分かれた。


・ゼウス《記憶》

・マキナ《神》


俺が愛したのはどちらでもなく、両方だ。

記憶であるゼウスが消えた今、マキナは俺のことをほとんど覚えていないだろう。

ならば、俺がまたゼロから愛してやるしかない。


「エルザ……ありがとな」


俺はエルザに礼を言った。

彼女は、僅かに頷く。


「……いいのだ」


それだけを言う彼女の声が、妙に心に染みた。

……俺は、どれだけの人間に支えられてきたんだろうか。

そして、これから俺が支えなければならない者たちは、どれほどいるのだろうか。


立ち上がる。

まだやらなければならないことは山ほどある。



***


俺は思考を整理する。

まず、優先すべきことは何か――。


・母さんの行方

・エーシルを追うマキナとオーディン

・ルクス、レイラの死亡


まず、母さん。

正直、今は手がかりがない。だが、なぜか確信がある。母さんはまだ生きている。

次にマキナたち。

エーシルを追っている彼女たちを放っておくわけにはいかない。

そしてルクスとレイラ――。


再構築が行われる前の世界で、俺はある魔法(・・・・)を習得していた。

これはエーシルとの盟約によって得たものではない。

マキナと旅をし、共に戦い、共に愛を深めながら手にした魔法だ。


――ゼウス・マキナ、彼女と共に掴み取った魔法。


「……エルザ、今からやることは他言無用だ」


「…………ん?あ、ああ。分かった」


エルザは困惑しながらも頷いた。

彼女の目には、疑問と僅かな不安が見える。

それでも、俺を信じてくれるということなのだろう。


今からやるのは、あまりにも反則的で、チートと呼ぶに相応しいものだ。

だが、それでも俺はやる。

マキナと共に得た魔法だからこそ、迷う理由などない。


「『|再び生命を吹き込む蘇生魔法リ・リザレクション』」


俺は、目の前の黒いナニカにそれを唱えた。


「おいっ!アスフィ!何をしている」


「見てろ……」


黒かった塊が、眩い光を放ち始める。

その光は形を整え、色を取り戻していく。

匂い、肌、温もり――全てを再構築するように。


「……………そんな……まさか、こんな事が……」


「……全て思い出したよ……さぁ(よみがえ)れ――」


「――|ルクス・セルロスフォカロ《・・・・・・・・・・・・》」


闇に沈んでいた者が、再び命を宿す。



***


「……アスフィ……これは……」


「蘇生魔法だ。俺がかつて使用していた完全なチート魔法」


「あ……はは……ははは………本当にこれはチートだな……」


エルザは乾いた笑いを零した。

当然だ。

俺自身も、初めて使った時には信じられなかったのだから。


「…………ぁ……あれ?私……生きてる?」


「ルクスっ!!!!!」


「うわぁっ!?」


エルザがルクスの胸に飛び込む。

大粒の涙を流しながら。


その光景を見て、俺は僅かな虚しさを覚えた。

これは神の技。

人間が手にしていい力ではない。

だが、今だけは使わせてくれ。ゼウス。


「アスフィがやったのですか?」


「ああ。……また会う約束だったろ?」


「……ええ、そうですね」


ルクスが微笑む。

俺は、その笑みをしっかりと受け止めた。


――だが。


「そうは行きません。私を忘れてもらっては困りますよ……お前達」


冷たい声が響いた。

それは、俺達にとって最悪の声。


――龍神ハクが、再び立ちはだかるのだった。

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