↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。-俺は何度でも救うとそう決めた-  作者: 水無月いい人
第四章 《第一部》ヒーラー 運命の神域篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/289

第58話「『ゼウス・マキナ』」

ご覧いただきありがとうございます。


ヨダレは何とか収まった。だが、垂れ流していたせいで口元が乾いてカピカピだ……。


しかも、水分をかなり持っていかれたような気がする。


「なにか飲みたい……」


「うむ、私もだ……」


「水魔法は……ダメですね。またエルザがお腹を壊しますし」


いや待て、この場には水の神だったアイリスがいるじゃないか!


……この状況で流石に断らないよな……?


「なぁアイリス――」


「わたくし人間ですので」


ちっ。こいつ、まるで俺が頼むことを読んでいたかのように被せてきやがった。


もういいよ!お前には何も頼まねぇ!二度とな!


「……確か我の記憶では、この辺りに川が流れていたはず」


「なに!?本当かゼーウスよ!」


エルザが食いつき、ゼーウスが首を縦に振る。


よし、そうと決まればそこまで急ぐまでだ。


……

…………

………………


「……なぁ、どこだよ川」


「あれ?我の記憶ではここに流れていたのだが」


「それいつの話だ」


「分からない」


俺はもう一度、アイリスにお願いする。もう頼みの綱がアイリスしか居ない。


「なぁ、アイリス頼むよ!俺たちもう干からびそうなんだ」


「…………ルクスお姉様、如何なさいますか」


頼む!ルクスお姉様!お前の一言で俺たちの命が救われるんだ!


ルクスは悩みに悩んだ末――


「……よし、良いでしょう。アイリス、お願いします」


「やったぜ!」


俺は思わずルクスに抱きついた。


「アスフィ!?」


「流石は俺のルクスだ!感謝してるぜ」


「い、いえ……それはどうも……」


「はぁ……感謝はわたくしにして欲しいものですね」


そういうとアイリスは、なにもない場所に、小規模の湖を作り出した。


「……皆さんどうぞ」


「腹壊さないよな?……特にエルザ」


「わたくしの水は魔法ではありません」


よくわからないが、そうと決まれば――


早速俺たちは飲み尽くさんとする勢いで湖に口をつけた。


美味い……ああ水ってこんなに美味かったのか……。


これからは水に感謝しながら生きていこう。


アイリス様、ありがとう。


***


「――オェェェェェェェ」


エルザが突然、勢いよく吐き出した。


「ア、アイリスよ……なぜ私だけ吐くのだ……魔力は含まれていないのではなかったの……うっぷ……オェェェェェェェ」


「ちょっと待て、こっち見て吐くなよ!」


俺は慌てて距離を取った。だがエルザの顔は青白く、明らかに普通の状態ではない。


「恐らく、アイリスの水にも微量の魔力が含まれていると思いますよ?『水の都フィルマリア』に居た住民からは魔力を感じました。つまり、アイリスの水には魔力が含まれているということですね」


「ルクス……なぜそれを先にエルザに言ってやらないんだ」


「……エルザなら大丈夫かと。それに多分止めても無駄でしたよ」


「…………その筈は。わたくしは神……あ、そういう……ことですか……」


アイリスは一人でブツブツ呟き、不敵な笑みを浮かべていた。


確かにあれは止められないな……。誰よりも真っ先に飲み始めたもんな。それに前回大丈夫じゃなかったんだよなぁ。


今回は前回よりかなり飲んでるが、大丈夫かなエルザのやつ……。


***


しかし、俺達が思っていたよりエルザの状態はかなり深刻なものだった。


エルザはその後、倒れてしまい、それっきり目を覚まさない。


時刻は既に夜を迎えている。


「神の水を多量に摂取した末路だろう」


呆れた顔で言うゼーウス。


「そんなこと言ってる場合かよ!」


「そうですよ!エルザは一体どうなるんですか!?」


俺とルクスは焦っていた。あの頑丈なエルザが倒れたのだ。無理もない。


俺たちはその意外な結果に動揺していた。


「落ち着いて下さい、ルクスお姉様、アスフィさん」


落ち着いたトーンでそう言うアイリス。


「わたくしの水は神力(じんりょく)を宿すもの。魔力に似ていますが、魔力ではありません。……恐らく、魔力暴走ではなく、ただ神の力に充てられただけです」


「それはつまりどうなるんだ?」


「寝れば治ります」


本当かよ……エルザが倒れるなんて余程の事だぞ……。


だが、紛れもないアイリスが言うんだ。


ここは言う通りに寝かせておくしかないか。


それに、どっちにしろ俺たちにはどうしようもないしな。


***


俺たちは焚き火を焚き、眠ることにした。


今回の見張りは俺がすると前に出た。


「任せました、アスフィ」


「ああ」


ルクスは眠りについた。


「……なぁ、お前達は寝なくていいのか」


「神は寝なくても大丈夫だ」


「わたくしは()ではありませんが、寝付けなくて」


「そうか……なら少し話さないか」


俺は神と”自称”神を辞めたものと話すことにした。


「お前らに言いたい……いや、聞きたいことがある。俺には……俺の中には、自分じゃない何かが居るんだ」


「ええ、そうでしょうね」


「……それを聞いてお前はどうしたい『神の子』よ」


「その『神の子』ってのもよく分からないがな……昔から気づいていたんだ。俺は時々俺じゃない感情が出てくる事がある。それを抑える努力をしてきた……だが――」


俺はあの日のことを思い出す。


「…………俺の幼馴染……レイラが死んだ時……それが抑えられなくなった。この姿もきっとそれとなにか関係しているのかもしれない」


「そうですね」


「我からは何も言えない」


レイラが死んでいるのを見た時、俺は俺を抑えられなくなった。


今までもそんなことが何回かあった気がする。覚えている節と覚えてない節があるが。


ただ、一つ言えることは俺は『普通の人間』じゃないということだ。


神でもない。こいつらの言う、『この世界の者』じゃないのかもしれない。


なら……それなら俺は……


「……俺は一体何者なんだろうな」


「それは――」


「ポセイドン」


「…………すみません、出過ぎた真似を」


「いい」


アイリスは何かを言いかけた。だが、それはゼウス(・・・)の声によって、最後まで言うことは無かった。


「我がお前を『神の子』だと言うのはなぜだと思う」


「……分からない」


神の子……俺は神じゃない。


「『神の子』それはつまり、お前自身を神と言っている訳では無い」


「どういうことだ……。お前は……ゼウスは俺の父さんと母さんが神だって言いたいのか?」


「……我はこれ以上は何も言えない。盟約によってな」


また盟約か。盟約ばっかりだなこの世界は。


だが仮に……もし俺の両親の……あるいは片方が神であるなら、ゼウスの言う事の辻褄が合う気がする。


「さて、我も寝るとしよう」


「わたくしもそうします」


「神は寝なくてもいいんじゃなかったのか?」


と、俺が聞くと二人の神は、必要無いだけで眠るのは好きだと言った。


「……仕方ない、俺が見張りをしてやる」


「必要ない。我がいる限り魔物の類は近寄ってこないだろう」


なんだよそれ。便利だな。


「……だとしても念の為だ」


「そうか、勝手にしろ」


ゼーウスとアイリスは眠った。


「『神の子(・・・)』か………………」


次の日の朝、見張りをルクス達に任せ、俺も少し眠ることにした。


――俺は夢を見た。


『よぉ、また会ったな』


(またお前か……姿を見せろ)


『姿は見せられない。これも盟約だ、悪いな』


(この世界は盟約ばっかりでうんざりだ。ゼウスもアイリスも)


『そんなこと言うな。これはお前のためでもある盟約だ』


(俺のため?)


『ああ、詳しくは言えない、これも盟約だ』


(もういい、盟約、盟約って聞き飽きた。で、何の用だ。もう消えたかと思ったが?)


『消えるわけが無いだろう。なんせお前の中には――』


(盟約、か)


『……まぁその通りだな。よく分かって来たじゃないか。……だが今回は忠告をしに来ただけだ』


(忠告?)


『ゼウ……ゼーウスにも言われただろ?』


(そういえば、ゼーウスが確かにそんなことを……)


『アイツはあんなんでも一応神だからな』


(お前はゼーウスの何を知ってる)


『……全てだ。まぁとにかく注意しろ』


(だから何にだよ)


『マキナ《・・・》にだよ』


***


俺は目が覚めた。……あいつは何が言いたかったんだ。


「マキナ……か……ん?」


静かすぎる。まだ寝ているのか? ふと俺は周囲を見渡した。


ルクス達が……居ない……? どういうことだ。


辺りには誰もいない。眠っていたはずのエルザも、見張りをしていたはずのルクスも。二人の神も……俺以外誰もいない。


俺はこの大地に一人取り残されていた。


「……なんだ、この身の毛のよだつ感じは」


俺は皆を探した。走った。ただただ走って探した。


……

…………

………………


見つけた。


ルクスとエルザが倒れていた。俺はすぐさま駆け寄った。


「…………なんだよ……これ」


ルクスとエルザの体には傷ひとつ無い。


にも関わらず、二人は目を覚まさない。


「遅かったな『神の子』よ」


「わたくし達では何もできません」


「お前たちがやったのかぁっ!!!」


「違う、落ち着け。我たちでは無い。やったのはアイツだ――」


ゼーウスは上空を指差した。


『やったのは我だ、アスフィ・シーネット』


「ゼウス……が二人?」


ゼウスと同じ顔、同じ背丈の瓜二つの物がそこに居た。


片割れ(・・・)よ。こいつには近寄るなと言ったはずだ」


『近寄ってはいないだろう……そっちから来ただけだ』


「……そうか」


こいつら何を……言っている? ゼウスが二人? ……どういうことだ。


「おいお前! ルクスとエルザに何をした!」


『………なにも』


「そんなわけないだろう!」


俺はゼウスと瓜二つの少女に激怒した。


感情が抑えられなかった。


『……我はただ……そう、眠らせただけのこと』


「ねむ………らせた?」


『聞いたことは無いか?『呪い』という言葉を』


なに……まさかルクスとエルザにも『呪い』を……?


母さんと同じ『呪い』を……?


ってことは、もうルクスとエルザは……


「……お前、覚悟しろよ」


『盟約により我はお前に近づけない。だが、お前から向かって来ると言うならまた話は別だ』


許さない……許さない……許さない許さない許さない。


俺はこいつを絶対に許さない。

第四章もいよいよクライマックス。

王国篇が長くなりすぎました…( ̄▽ ̄;)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★ 面白かったら応援を! ★

★★★★★評価お願いします!

あなたの評価が、新たな物語を加速させます!


【カクヨム版も公開中!】 攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。