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第34話「駆け落ち?」

ご覧いただきありがとうございます。

第3章幕開けです。

俺とルクスはミスタリス王国を出ることに決めた。


ミスタリス王国には随分と長い間いた……半年は居たと思う。それもエルザの案内の元、レイラと一緒に来ることになったのだ。そのレイラを置いて俺は今、ミスタリス王国を出る。


理由はレイラが今お怒りだから……俺のせいなんだけど。

今レイラと顔を合わす訳には行かない。そう思った俺とルクスはしばらくの間ミスタリス王国を二人で出ることになったという訳だ。


「これからどうしようかルクス」


「……そうですね……ミスタリスから近い街となると……」


俺がこの後、どうすればいいか聞くとルクスは顎に手をやり考え出した。俺はいつも人任せだな……。

ミスタリス王国に向かうとなった時も、レイラが知っていたからだ。そんなことを考えているとルクスが口を開いた。


「ここからなら獣人達の国、『フォレスティア』が一番近いですね」


「獣人達の国?」


「はい、獣人達が住処としている国です。もちろんその国王も獣人です」


へぇそんな国が近くにあったのか。

おれは何も知らずに育ってきたんだな。

俺はあの村を出たことがない……知るはずもないのだ。


「ならそこに行こう。ついでにそこの獣人達に母さんの『呪い』を解呪出来る者についてなにか知らないか聞いてみたいんだ」


「……分かりました。歩けば一ヶ月もかからないでしょう」


「なるほど……え?一ヶ月もかかるの?」


「はい、それがどうかしましたか?」


と綺麗な白髪を揺らし不思議そうに首を傾げるルクス。


「一ヶ月って結構長いな」


「……あれ?そうでしたか。すみません、一人での旅が長かったもので」


ルクスは旅のプロだ。旅初心者の俺からすると、一ヶ月というのはすごく長く感じるが、ルクスからすればそれは当てはまらない。それもそうだ。何年も旅をしていたのだから。


「でもここから近いのがそのフォレなんとかなんだろ?ならそこにいこう」


「『フォレスティア』です。ではその前に、何か食べましょう」


「そうだな……」


俺たちはなにか食べる物を探すことにした。

夜の冒険を最後に共にしたのはレイラだった。

そんな長い間一緒にいたレイラと少し離れることになる。

だが、帰ってくる。今は少し冷却期間が必要だろう。

全部俺が悪いんだけど……。


「……詳しいんだなルクス」


「まぁ長いですから」


ルクスは目に見えたものを確かめる事無く、どんどん集めていく。それはキノコ、木の実、よく分からない野草。

それらをせっせと集めていた。恐らく確かめなくても見れば、食べられるか食べられないかの判断が着くのだろう。頼もしいパートナーだ。俺とレイラはその辺のキノコを生で食べて腹を壊したもんだ……。


「……浮かない顔をしていますね」


集めた食べ物を両手に抱え、俺を気にしてくれるルクス。


「……まぁな。俺が悪いとは言えレイラを置いてきたからさ」


「大丈夫です。もう会えない訳では無いんですから。少ししたら戻りましょう」


「……ああそうだな。ありがとうルクス。お前がいるとなんだか安心する……頼もしいよ」


「いえいえ、これでもお姉さんですから」


本当に頼もしい。流石は大人の女性だ。

身長が俺と変わらないからと、俺はルクスを子供扱いしていたのかもしれない。俺と同じ子供なんだと。

だが年齢もそうだが経験値が違う。旅のプロだ。

今回はその経験値に頼らせてもらうとしよう。



「――うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ虫ぃぃぃぃぃ」


手に持っていた食料にどうやら虫がいたみたいだ。

ルクスは驚いて持っていた食べ物をすべて地面に落とし俺に抱きついてきた。


「…………虫……?」


「うん!僕虫はダメなんだよ!!」


『素』に戻ってるし、さっきまでのお姉さんぶりはどうしたんだ……おれの気持ち返せよ。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!腕に付いてる!取ってアスフィ!」


「……はい」


俺はルクスの腕に付いていた毛虫のような虫をポイッと捨てた。


「ありがとう助かったよ…………あっコホンッ。ありがとうございました。助かりました」


「……もう無理だって」


なんなんだコイツは……。


***


腹を満たした俺たちは焚き火の炎に照らされていた。


「いやぁ、火があるっていいなぁ。生でキノコを食べずに済むし」


「生で?それって美味しいんですか?」


そんな訳あるか。クソまずいわ!

もう二度と口にしたくない……今思い出しただけでも吐ける自信があるね。


「美味しくない」


「でしょうね……」


そう苦笑いするルクス。

俺とレイラが取ったキノコはほぼ全てが毒キノコだった。それは明らか目に見えていたが、当時は俺の『ヒール』があるから大丈夫と生で食べたのだ。

そんな事があったのも今にして思えば懐かしい。

だから今、火の有難みを感じている。


「ルクスは『僕』なんだな」


「…………ええ、まぁ。あなたと逆ですね」


「……それは大人のせいか?」


「………そうですね、大人に生意気な口をきいた哀れな子供の末路ですよ」


大人に生意気な口をきいたルクスは殴られた。

そして大人の喋り方を真似し、今はそれが体に根ずいていると。そんな話だったか。

そんな事で殴る大人が居るのも許せないが、その町の過酷さは俺には分からない。


「大変だな」


「もう気にしていませんよ。それに今はこっちの喋り方に慣れています」


俺はそれ以上何も言わなかった。

そして、俺たちは眠る事にした。ルクスが見張っていてくれるそうだ。俺は構わないと言ったが、子供は寝てくださいとのことだ。こういう時だけ子供扱いしてくるんだよなルクス。

俺はもうすぐ十三になるのに……。

俺はレイラと一緒に寝たあの野営した日を思い出した。

そしてルクスにもそれを提案してみる。


「ルクスも俺と抱き合って寝るか?」


「……本気ですか?」


「マジだけど」


「………やめておきます。レイラに怒られそうなので」


と苦笑いで返してくるルクス。

だが、嫌とは言わなかったルクスの言葉に俺は気づかなかった。


***


朝になった。ルクスは寝ていた。

どうやら俺が寝たのを確認したあと、寝たんだろう。

木にもたれ掛かり、寝息を立てよく寝ている

俺はそんなルクスを起こさず、少し離れることにした。

食糧集めだ。昨日の夜はルクスに任せっぱなしだったからな。朝食くらいは俺が集めるとしよう。


と、ここで気づいた。

おれはある大事なモノを手に持っていないことに。


「……あ、母さんの杖部屋に置いたままだ……」


やってしまった……。

杖は俺とレイラの部屋に置いたままだ。

取りに帰りたいが、それも出来ない。


「………はぁ、仕方ないか」


仕方ないので俺は諦める。

あんなに大事にしていたのに。せっかく直したのに。

こんな形で置いてきてしまうなんて……。

そういえば、ルクスも杖を持っていないな。

杖を持たない魔法使いは多いものなのか?

杖は威力を上げるものだとレイラに聞いたが……。


そんなことを考えていると早速お出ました。

黒の犬型魔獣。頭には青白く光る角が生えている。

こいつはレイラと旅をしていた時によく遭遇した個体だ。

あの時はレイラが短剣で切り伏せていた。

だが今はレイラがいない。なら俺が倒すしかないか……


「『死を呼ぶ回復魔法(デスヒール)』」


そう唱えた直後、犬型の魔獣はその場に倒れる。

まるで眠ったかのように死んだ。


その後も犬型の魔獣に遭遇した。

だが、俺はこいつは食べる気にならないと、その後しばらく食糧となる獣を探した。そして見つけた、野生の熊だ。


「熊肉……か。ま、悪くないか」


「『死を呼ぶ回復魔法(デスヒール)』」


こうして俺は熊をルクスが寝ている場所へと……運べなかった。背負おうとしたが俺の子供の力ではビクともしない。

俺はルクスを起こし、ここに連れてくることにした。


……

…………

………………


「……この熊、アスフィがやったのですか?」


「ああ、運べなくてな。ここで調理して食べよう」


ルクスは驚いた後、早速調理の準備に入る。

手持ちのナイフで上手く捌いていた。流石は旅のプロだ。

俺はその間、やることが無いので少し横になる。

ここは旅のプロに任せよう……俺が料理すると不味くなりそうだし。



「出来ました」


「おお!美味そうだ!!」


熊肉の串焼きに、熊肉の炒め物など、熊肉のフルコースだ。


「……うん、美味い!いや~まさか外でこんな美味いのが食えるとは思わなかった」


「ありがとうございます……確かに美味しいですね」


こうして俺たちは熊肉を余すことなく頂いた。

ルクスが居れば、食糧さえ調達できれば食べ物には困らなそうだな。


そしてそんな日々が一週間続いた。

当時は美味いと思っていた熊肉だが、流石に飽きた……。

ここずっと熊肉だ。なんとか工夫を凝らしてくれるルクスだが、レパートリーも尽きたようで、何日かは同じ料理だった。

しかし、俺たちがいる場所は、熊しかいない。するとルクスが指を差し言う。


「あの森を抜ければフォレスティアです」


「でけぇ……」


森というには大きすぎるそれは、大きな木々で出来た城のようだった。

ちゃんも入口のようなモノまであり、道まである。


「ここを抜けるのか……」


「はい、危険なので注意してください。私も初めてここに足を踏み入れた時は攻撃されましたので」


「……え、なにかいるのか?」


「エルフです。ここは通称『エルフの森』。エルフ達が住処にしている森です。ここを抜けなければフォレスティアには行くことができません」


「……まじか」


どうやらルクス曰く、フォレスティアという獣人の国の王はエルフと仲が良いらしい。よってエルフがフォレスティアに入る者の番人のような役割を担っているとか。エルフに認められた者しか、フォレスティアに足を踏み入れる事が出来ないとか。


「では、行きましょうか」


「ああ、……ちょっと怖いなぁ」


こうしてビビりながらもフォレスティアを目指し、

エルフの森に足を踏み入れる俺とルクスだった。

ご覧いただきありがとうございました!

ついに始まった第3章!

ここからアスフィが本格的に戦闘に参加します。乞うご期待!


PS.皆さん忘れがちかもしれませんが、アスフィまだ12歳です。すこしえっちなアスフィなので忘れていた方もいるかもしれないので一応ここに書いときます笑

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