表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/285

第1話 「運命に逆らうヒーラー」

※if視点の濃厚編も同時更新中です!

→【濃厚編はこちら】 https://novel18.syosetu.com/n4841iu/

俺が生まれたのは、緑に包まれた静かな田舎の村。

 街の喧騒とは無縁で、四季の息吹と共に時間が流れる場所だ。


 木造の小さな家に広い庭。質素だが温もりに満ちた暮らし――

 そんな村で、ある男女に一人の赤子が授かった。


 ──それが俺。


 金髪でいかつい父ガーフィ・シーネットの腕に収まりながら、俺は産声を上げた。泣きながらも、まるで何かを成し遂げると宣言する顔つきだったらしい。


「ォギャーオギャー!」


「おーよしよし、いい子だぞ〜」


 しかし赤子の俺は荒れ狂う。母アリア・シーネットが笑顔で抱き取り、優しくあやした。


「ほらほら〜泣かないでね〜。この子、どんな才能を授かるのかしら」


「俺の子だ! 剣術に決まってる!」


「私は……皆を癒してくれるヒーラーがいいなぁ」


 二人は元冒険者だ。

 父はA級戦士として名を馳せた実力者。母はC級ながら回復魔法で多くを救ったヒーラー。


 ――冒険者には SS・S・A・B・C・D・E・F・G の八段階の階級がある。

 SSは“勇者”と呼ばれる伝説級、Sは国家規模の任務を担う英雄、Aはその次――都市を救う一流の実戦エリート層だ。

 父ガーフィはそのA級の中でも頂点近くに名を連ねたと言われている。



 俺が五歳のある日。父が真剣の素振りをしている姿に憧れ、思わず近づいた。


「ねぇ父さん、僕にも剣を――」


「来るな! 危ないっ!」


 剣の軌跡が足を掠め、赤い線が浮かぶ。


「わぁっ!」


「くっ……!」


 慌てて駆け寄った母の声より先に、俺は父の傷口へそっと手を当てた。

 体が勝手に動いた――そんな感覚だった。


「え……?」


 刹那、傷は音もなく消える。熱も痛みも残さず、ただ消失した。


「……まさか……」


「この子……!」


「才能がある……回復魔法の……!」


 父は喜びながらも、どこか複雑な色を宿す。


「なに? 嬉しくないの?」


「いや、誇らしいさ。だけど……」


「だけど?」


「一つの才能を持つ者は、他の道を閉ざされる。この世界の理だ」


「……剣術の道は、もう無いってこと?」


「ああ。そういうことだ」


 幼い俺には深い意味まで理解できなかった。ただ父の沈黙が“この力”の特異さを教えてくれた。


 五歳で無意識に放った初めての魔法。

 それが、定められた運命を狂わせる引き金になるとは、まだ知る由もなかった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

 皆さまの応援が物語を進める原動力です。もし続きが気になりましたら、ぜひ【お気に入り登録】と【評価】をポチッとお願いいたします。


 同時並行のif視点濃厚編も更新中ですので、併せてお楽しみください!

→【濃厚編 ifはこちら】 https://novel18.syosetu.com/n4841iu/


 次回もどうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★ 面白かったら応援を! ★

★★★★★評価お願いします!

あなたの評価が、新たな物語を加速させます!


【カクヨム版も公開中!】 攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ