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第168話「道化のエーシル」

 ところでさ、世界を改変するとその世界の人達はどうなると思う?


(そりゃ変わるんだろ)


 それはそうなんだけど、今回の場合は改変される前の人達ってことだよ!


(ん? よく分からん。世界が変わるんなら人も変わるだろ)


 それは存在したものが存在しなかった事になり、逆に存在しなかった者が存在するってこと?


(ん〜多分それだ)


 ……それが違うんだよ。人格や姿見た目、世界そのものが変わっても、その世界に居た人物そのものは変わらない。


(……どういうことだよ?)


 例えば、マキナ。


(何故そこでマキナ?)


 ……はぁ。ま、良いから聞いてよ。


(おう)


 何度世界をやり直してもマキナはマキナなんだ。これはマキナだけに限らないんだけどね。


(つまり、改変前に死んだ者達は改変しても生き返る事はないってことか?)


 そう! ここで何が言いたいか分かった!?


(う〜ん…………あ、そういうことか。改変後に愛したそのエシルってやつの妻は、何度改変しようと生き返ることがない……!)


 そうだよ! その通りだよ! よく分かったね!


(馬鹿にしてんのか)


 うん!


(……まぁいい)


 話を戻そうか。エシルはセリナとの接触に成功し、ある提案を持ちかけた。 セリナには妹がいる。


(サリナだろ)


 そう、彼女はその世界では姉の才能に嫉妬し、周りからも期待されていなかった。そんな彼女は生きづらい世の中にうんざりし、サリナは自殺を決意する事となる。


(それほどの事を経験していたのかあいつ)


 そうだよ。でも、残念ながら自殺には失敗し、昏睡状態になった。

 そんな妹を救ってやるとエシルはセリナにある話を持ちかけた。


(そんなの誰が信じるんだよ。不審者の言葉だろ?)


 そうだね。でも、だれでも良かった。何でも良いから妹を救いたかったセリナはそんな知りもしない男の話を呑んだ。

 そうして世界は変わったのさ。


(なんて持ちかけたんだ……)


 ”君の妹を救ってやるから異なる世界のゲートを開いてくれ”、と。


(ますます怪しい誘い文句だな)


 でも彼女は承諾した。


(具体的にどうしたんだ?)


 簡単さ。『イリアスのコア』を彼女に持たせたのさ。


(ってことは今の世界はあの狐のお姉さんが作った世界ってことか?)


 うーん。そうとも言えない。この話にはまだ続きがある。

 エシルの言う通り、『イリアスのコア』を使ったセリナだけどエシルの思い通りには行かなかった。


(どういうことだよ)


『イリアスのコア』の元々の力は過去や未来を見せるものだった。だからセリナは適正者ではあってもエシルと願う事は根本的に違う。

 セリナの願いは眠ったままの妹を助けることだ。……そうしてセリナは、妹サリナの生きる世界を構築した。


(それがこの世界……)


 チッチッチ。残念。


(なんだよ、もったいぶらずに言え)


 セリナを使って異なる異世界に行こうとしたエシルだったけど、結果は失敗に終わった。


(何があったんだ?)


 妹を救いたいセリナ、異なる世界で亡くなった妻を救いたいエシル。『イリアスのコア』は両者の願いを叶えてしまった。

 その結果、世界は混合した。魔法が使える世界の日本へと変貌した。

 でも、両者の願いは叶わなかった。妹も妻も救えなかった二人。そんな二人は勿論対立する。


(狐の……セリナも改変したのか?)


 その通り。セリナはエシル同様に『イリアスのコア』を使い世界を改変した。でも、これも救えなかった。


(結果は変わらない運命なのか)


 いいや、そうとも限らない。エシルは世界を改変する過程であるルールを作った。


(ルール……)


 そう、ルールだ。


(でもそれは――)


 君の言いたいことは分かる。だってそれはケンイチが作ったルールじゃないか、だろ?


(あ、ああ)


 その通りだよ?


(い、いや! だったらおかしいだろ!?)


 全く、何を言っているんだい? 君が作ったルールだろ、ケンイチ……いや、道化のエーシル(・・・・・・・)。言ったろ? これは君が偶然の末、始まった物語だと。


 君が全ての元凶であり、諸悪の根源だと。



 

 

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