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Special ep.3

ご覧頂きありがとうございます!

アスフィとかいう子供を逃がしたあと、俺は再びマキナとの風呂に戻る。


「タオルはあったか?あとなにか声がしたが誰かいたのか?」


「タオルはあった。声は気のせいだ」


「そうか、では早く流してくれ。泡が垂れてきて敵わん」


俺はマキナの頭を洗い流してやる。


ほんと、いつ見ても綺麗な髪だよなぁ……。


指を通すたびに、さらさらと流れる感触が気持ちいい。


銀糸のような髪が湯に濡れて、きらめいている。


まるで宝石のような輝きだ。


「よし、洗い終わったぞ」


「ありがとうフィー」


俺は自分で体を洗い始める。


マキナが一度洗ってくれたことがあったんだが……。


それどころじゃなくなって、結局俺が洗うどころか逆にひどい目にあった。


それ以来、俺は一人で洗うことにしている。


「我はもう出るぞ?」


「ああ、タオルそこにあるから」


「フィーは気が利くな」


……あのアスフィとか言うガキ、必ずまた来るな。


アイツの目を見ればわかる。


絶対に、間違い無く来る。


しかも、堂々と。


その対策を考えねばならん。


「はぁ……こんなんじゃ休まらねぇよ」


***


「ん……フィーもっと……」


「…………もう終わりだ。なんだか今日はやけに疲れた……」


「……我が嫌いなのか?」


「いや、そうじゃない。ただ疲れただけだ。悪いけど、これくらいで我慢してくれ」


「…………分かった。おやすみフィー」


「ああ、おやすみマキナ」


……これからのことを色々考えないとな。


俺には回復の才能があるみたいだし、この力で人の役に立ちたい。


回復なんて、それくらいしか出来ないだろうしな。


……さて、これからどうするか。


***


コンコンッ


「ん……?だれだ?」


「あの~ルクスという者ですが――」


「なに!?ルクスだと!?」


俺は勢いよくベッドから飛び出し、扉を開けた。


「ルクス!?」


「え、あはい。私がルク――きゃあああああああ!」


え?なんで悲鳴?酷くね……?


……あ、そゆことね。


「……あ、悪い」


「なぜ全裸なのですか!!」


「……なんだぁ~フィー、誰か来たのか?」


マキナが欠伸をしながらベッドから出てきた。


「おい待てマキナ、今出てくると話が――」


「…………あ、あああ、あなた達なにを」


「……なにって………なぁ?」


「ああ。愛していた」


バタンッ!!


扉が勢いよく閉められた。


やべ、お子様にはちと刺激が強すぎたか?


しかし、あれがルクスか。


確かにチビだな。マキナとほぼ変わらないじゃないか?


「……怒らせちゃったな」


「我にはなぜ怒るのか分からん」


「まぁ色々あんのよ……」


……あれからルクスは俺たちの部屋に来なくなった。


「……俺たちから出向くか。ずっとここに居るわけでも無さそうだし、早いとこあのルクスってやつと話したいし」


「ああ、そうだな」


ということで、俺とマキナは王室に向かった。


ルクスが居るとしたら、王様のところだろう。


なんの根拠もないが、そんな気がする。


***


「…………おお!マキナ殿!来られたか」


「……」


「ほれ、ルクス殿も挨拶を」


「……どうも、ルクスです」


なんかまだ怒ってんな。


「何かあったのか?ワシにも教えてくれんか」


王様はニヤニヤしている。


……この手の話が好きらしいな。


「いえ、大したことでは無いです。あそこの二人がベッドで裸で……ってだけです」


「何を言ってる。我とフィーは愛し合っていただけだ」


マキナ、これ以上火に油を注ぐな。


「この人たちが私に何のようなんですか、エルブレイドさん!」


「ああ、ワシというよりそこのフィー殿が」


「……どうもフィーです。ルクスさんに会いたくて」


「私にですか?」


「はい。話を聞きたいので、怒りを鎮めて貰えませんか?」


「…………善処します」


「はぁ……ありがとうルクス」


この堅苦しい喋り方、あんまり好きじゃないんだよな。


俺は早速、砕けた口調に戻す。


「では単刀直入に言うが、お前異世界人(・・・・)か?」


「イセカイジン?なんですかそれ?」


「…………そ、そうか」


いきなり外したーーー!


エルブレイドさんよぉ!あんた嘘ついたんじゃないだろうな!?


「王様……!」


俺は王様に目配せをする。


「ん?あ、あ~そういうことじゃな。……ゴホンッ、ルクス殿」


「はい?」


「つまりじゃな。ルクス殿、彼はルクス殿と同じ境遇の者ということじゃ」


「……はぁ。そうなんですか」


ルクスはよく分からない、という顔をしている。


うん、そんな説明されたら誰だってそうなるよな。


「彼はこの世界ではない外の世界から来たと言う。ルクス殿はどこから来たんじゃ?」


「……私は知りません。ずっと貧民街で暮らして生きてきたので。気付いたらそこに居ましたから……親なんてものも知りません」


かなり過酷な人生を送ってるんだな、このルクスって子は。


まだ小さいのに、大変だったんだなぁ……。


「あの……なにか失礼なこと考えていませんか?」


「失礼?」


「私はもう二十一です。子供扱いはやめてください」


……え、こんなにちっちゃいのにまさかの俺より歳上かよ。


というか俺、まだ何も言ってないのに怒られたんだが。


でもまぁ、一応謝っとくか。


「悪いな」


「……やっぱり思っていましたか。いいですよ。もう慣れっこなので」


こうして俺はミスタリスでルクスという人物と接触することに成功したのだった。

ご覧頂きありがとうございました。次回も続きます!

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