八話「ゴーレム」
みんなはもう夏休みですかな?
うちはまだですよこんちくしょう
『ちょっと待った!ごめん!謝るから!砕かないでくれ!』
「こいつ直接脳内に・・・!?」
石がいきなり変形して人型ゴーレムになり、頭を抱えながら命乞いしだした。
まぁここの土は柔らかいし、砕けることは無いのだが。
「はいはいわかった。砕かないからさっさと事情を話せ」
「砕かないの!?」
「お前は黙ってろ」
『事情っていうか......ただ、驚かせたかっただけだよ。長い間誰にも会ってなかったからさ。』
長い間ぼっちだったから久々に会った人を驚かせたいってどういう思考回路してんだこいつは。
『な、なぁ!僕を仲間にしてくれよ!』
『何となく君達について行けば面白い冒険ができそうな気がするんだ!』
「ゴーレムの仲間か......どうする、理乃?」
「面白いじゃん、ゴーレムが仲間なんて!もちろんいいわよ!よろしく、私は琴葉理乃よ!」
「俺も同感だ。よろしくな、俺は神野創だ!......って、名前はあるのか?」
『僕はピット、よろしく!』
「えっと......ピットはゴーレムで合ってるよね?」
『......ああ、僕はゴーレム。岩を体として動く魔法生物さ!どうだい、かっこいいだろう?』
「はいはいかっこいいな。とりあえずもう夜だし帰ろうぜ? 腹減った......」
《話は終わったかな? 人間と......ゴーレムよ。》
「誰だっ」
《私だ》
「暇を持て余した」
『暇なのか?』
「異世界の生き物にそんなネタ通じる訳ないでしょ。馬鹿なの?」
「すんません」
《何を言いたいのかは分からないが......調和を乱そうとする者よ、立ち去らぬのなら強引にでも引き離させて貰うぞ》
「――っ!?」
不意に、背後から強烈な気配がした。
目を合わせた途端に殺されるとまで思わせる威圧感。
背筋が凍り、冷や汗が出た。
やばい。かなりヤバい。
少しでも行動をミスれば死ぬ気がする。
石のように固まった体を動かし、ゆっくりと後ろを振り向く。
「お.....お前は......まさか......!?」
「ダメだこれ......逃げよ? ねぇ逃げよ?」
『......』
日が落ち、闇に包まれた森の中。
暗闇に中に佇む"それ"は微かな光を纏っていた。
硬い鱗のような毛の鎧に身を包み、触れもせずに辺りの草を切り刻み舞い上げるその獣はまるで――
――風を纏ったイノシシの化け物だった。
もちろん伏線ですよあんなもん。
散々ビビらせておいて出さないわけないじゃないっすかw
というわけで次は風の加護を受けイノシシとの対話or戦闘or追いかけっこです
お楽しみに!