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呪術録  作者: 火無菊
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an incantation called

第1話「呪術という呪い」


俺は、生まれながらにして、呪術師の血筋であり、呪術の才能を持っていて、今も呪術を使った仕事をしている。


俺の名は片桐(かたぎり) (ひとし)だ。呪術師の界隈では、有名であり、耳にした事の無い呪術師は、そうそう居ない。


呪術師からの仕事の依頼もあれば、呪術師でなくとも、聞いた事あるという人からの依頼も来る。


等「仕事が無くともあっても、空はいつでも青いなぁ…。こんな空が綺麗に青い時は、美女をナンパするに限るよぁ〜。」


そんな事をボヤいている時に、俺の頭を大幣(おおぬさ)で叩いてきた、俺の師匠である、東雲一香(しののめ いちか)が仕事の依頼を伝えてきた。


大幣(おおぬさ)とは、巫女がお払いをする時に使用する、白い紙が着いた棒のことである。


一香「仕事をしないで、依頼の件数も確認せずに、自分の私利私欲を満たす為に、女性をナンパしに行くとか呆れた。」


綺麗な美女達を見るのが、俺の生き甲斐なのに、それを邪魔されるなんて、なんともけしからんことやら。


等「俺だって、呪術師の仕事をやると、体力だってかなり消耗するし、神経や脳の糖分も使うし、男からの依頼なんて受けたら、蕁麻疹は出るし、引き受けたくないし、美女の依頼の仕事の方が何倍もやる気でるね!」


男からの仕事の依頼なんて、真っ平ごめんな上に、男は嫌いだし、仕事よりも美女をナンパする方が生き甲斐なのにと、思っていた時に、一香はそのまま依頼内容を伝えてきた。


一香「等にとって好都合な、美女からの依頼なんだけども、等が仕事をしたくないというのなら、この依頼を断って来てもいいけど?」


俺にとっての美女からの依頼は、まるで砂漠をさまよっていたら、突然水があるオアシスの湖に辿り着いたくらいの時のような感じと同じように、歓喜に満ち溢れた。


等「美女からの依頼なら引き受けるぜ!!どんな用件なんだい!?」


食いつくように用件を聞きたがる俺に、呆れた顔をした一香はそのまま内容を伝えてきた。


一香「依頼内容は、呪術を行使した事により、体調不良になり、一向に治らず、困っているとのことよ。」


それを聞いた俺は、秒速で支度を済ませ、俺は依頼者の住所を頼りに依頼者の家に行く為、一香に準備を急かした。


一香「ホントに女性からの依頼となると、いつもこうなんだから、その調子で毎日仕事に励んでほしいわ。」


一香は呆れて言いながらも、準備をして、俺と共に依頼者の家に歩を進めた。


そして、依頼者の家に到着した。


等「君が仕事の依頼をしてきた、内村静香(うちむら しずか)さんだね?」


その女性は内容通りに美人でおしとやかで清楚そうな女性のに、どうして呪術師でもないのに、呪術を行使したのが気になった。


静香「はい、そうです。一香さんとは1度お会いして、呪術師である等さんにも、来て欲しいと依頼をしました。お伝えした通り、呪術を行使したのが諸刃の剣となり、自分の体調不良が一向にも良くなりません。体が弱っていく一方で薬を飲んでも効き目がありません。」


俺は静香さんを見て、呪術がどのような物なのかを解析をした。


等「解析怨!!」


解析怨というのは、呪いがどんなものなのかを解析する為の呪術である。


等「行使した呪術により、体調不良になる呪いが降りかかり、しかも薬を投与すると、返って悪化するような呪いか…。どうして呪術を行使したんだい?」


静香「恨んでいる人に、自分の髪と藁人形と歯を使った呪術をある呪術師から教わり、その呪術師と一緒に呪術を掛けたら、成功してしまい、その人は交通事故で亡くなりましたが、呪いがこちらにも降りかかり、呪術師も事故で亡くなり、私は謎の体調不良で日々体が弱っていく一方で、今に至ります…。」


呪術は誰にでも出来るが、ネットでも出回っている降霊術のひとつ「ひとりかくれんぼ」またの名は「ひとり鬼ごっこ」とも言う、降霊術など、ネットでも降霊術のやり方などは出回っているが、素人が呪術師でもないのに、降霊術や呪術を行使する行動自体が自殺行為なのだ。


俺みたいに血縁関係上受け継いでいるならともかく、呪術の修行をして、使えるようにならないと、呪術のコントロールなんて出来やしない。


等「原因は、呪術を行使したことによる、呪いが静香さんを蝕んでいるのと、呪術を行使した場所はどこだか教えてくれるかい?」


静香さんは地図を棚から持ってきて、場所を教えてくれた。


等「ありがとう!その森で呪術を行使したのなら、そこで呪いの元凶たる物を早く対処しないと、静香さんの命が危ないからさ。それに呪術を教えた呪術師も他界してるから、対処するのは、一香と俺しか居ないしな。」


一香「等は元凶の対処をしてる間は、私はこれ以上呪いの伝染が広まらないように、街に結界を張っとくから、早く対処してね?街全体に結界を貼るのにも体力がすぐに消耗するから、長くは持たないのよ。」


等「わかってるよ。俺は美女の為ならなんだってしたあげるもんね!それじゃ行ってくるわ!」


静香「お2人って結構仲が深いんですね。」


呆れた顔で一香は言った。


一香「等とはそこまでの関係でもないし、あんな女たらしとは、仲良くなりたくもないわよ。仕事の関係上だから仕方なく、仲良くしてやってるだけだけどね。」


それを聞いた静香は笑みを浮かべ、少し笑った。


等「指定した場所に着いたが、やはり禍々しい邪気がプンプンするぜ…。」


この森の邪気を追い払おうとした瞬間、何かがこちらに迫ってきた。


等「なんだ!?こいつは!?」


???「俺か?俺は人の恨みにより具現化出来た、残留思念そのものだ。」


等「やっと、呪いの元凶のお出ましですかい!」


残留思念「お前達人間のお陰で、生まれてきたのだから、こちらも目標が欲しい訳だから、この森から街にまで呪いを伝染してやりたいわ。」


等「確かに人間が呪術を行使しするから、お前達みたいな怪異が生まれてくるのだから、俺みたいなお前を倒す呪術師が必要なのさ!」


残留思念が笑ってこう言った。


残留思念「お前は色んな人間が呪術を使って、それを片付けるな雑用仕事をさせられてるなんて、お前も不幸だな。人間の罪から生まれてきた怪異である俺らは、人間達に復讐をするのはそれは当たり前だよなぁ。」


俺は嫌な過去を思い出しながらも言った。


等「確かにな、呪術なんてものを使う人間が居るから、人の命が失ったり、不幸になる人が増えたり、そのせいで業を背負わされる呪術師が後を絶たないけどな…。お前に俺の業を理解してもないくせに、そんな口で復讐するなど、更に業を背負わされる人間を増やすなんて事をしてみろ!貴様を消滅させてやる!」


俺は過去に血縁関係上のせいで、呪術で人を殺したり、自由に生きる為に犯罪にも手を染めた事もある…。


だけど、そんな行き場のない俺を救ってくれたのは、師匠である一香だったのだ。


俺を身内のように接してくれて、呪術のコントロールも出来るように、修行も厳しかったけど、教えてくれて、本当に優しくしてくれた女性だったのだ。


人として戻れるなんて事は、ないかもしれないが、俺は大切な人を守りたいという気持ちだけはある。


それに血縁関係の事は、もう思い出しくないから。


残留思念「御託はいいから、お前を倒して、呪いを伝染させてやるぜ!」


等「俺はお前を許さない!」


残留思念は自由自在に姿を消したり、表したりしてきた。


そして、俺に幻影を見せてきた。


等「お前の能力は既に解析済みなんだよ!それに姿を隠し、幻影を見せ、姿を消したり、表したりするが、邪気までは消せないから、目隠ししてもお前を倒せるんだよ!」


呪術を込めた拳で残留思念を殴った。


等「清祓流拳!!」


呪いを清める為の呪術を込めた拳であり、これを残留思念や怪異などには、効果的な呪術の一つである。


残留思念「そんな!目標が果たせぬまま…に…。」


等「これで…終わった。」


一香「やっと終わったようね…ハァハァ…呪力も尽きて、疲れてヘトヘトだわ…等のバカ…。」


その件が片付いてから、静香さんの容態は回復して、俺は安心した。


等「ところで数日間で容態も回復した事だし、静香!僕とデートしない!?」


一香「その前に私に飯を奢る約束を忘れてないよね〜?(怒)結界張らなかったら、呪いも伝染してたし、私の支援もなかったら、貴方何も出来なかったんだから(怒)」


等「わっ!待って!呪術で俺をしばかないで〜!いや〜!!やめて〜!」


静香「やっぱり2人って本当に仲がいいじゃないですか!羨ましいなぁ」


等「静香さんまた何かあったら、いつでも来てね!美女へのアフターケアは第一にしてるからね!って逃げないと一香に殺られる〜!」


一香「まったくお前って奴は〜!」


第1話「呪術という呪い」〜完~

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