63.同化《シンクロ》
お久しぶりです。
投稿がめちゃくちゃ遅れてすいませんでした。リアルが色んな意味で充実していて、手が離せなかったものですから……(言い訳)
まぁ、とりあえずぼちぼち書けるような状態になったので、投稿していこうと思います。
ただ、最近あまり何も書いてなかったので筆が進まないことが多いので、投稿スピードは3日に一話程度でいきたいと考えてます。まぁ、余裕があったら別なんですが……あんまり期待しないでください。
とにかく、最終話まで投稿できるように頑張っていこうと思いますので、良ければ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
長文、失礼しました。
迫り来る白い拳を紙一重で回避すると、俺はそのままカウンター狙いで炎を纏った拳を振り上げる。
「ふっ」
しかし、その拳は魔装を施しているにしてはあまりにも遅い一撃だった。
侍女長に鼻で笑われながら余裕で回避されると、振り向きざまに裏拳がとんできた。
「うぉっ!あぶなーーッ!!」
冷気を纏った拳。
掠るだけで背筋がゾクゾクするその一撃を、俺はイナバウアーでもするかのように上体を反らして大げさに避ける。
「ふぅ〜……危なかった」
「ーー何を安堵しているのですか?」
「……へっ?」
上体を反らし、半ば崩れ落ちる形で地面に背中をついた俺は、この時点で一本取られたと考えていたので、仕切り直しになるかと思っていたがーー
容赦なく脚を振り下ろそうとしている侍女長の姿を見て、すぐさまその場を飛び退いた。
「……戦闘技能は以前と比べて大分マシになりましたね」
「あ、ありがとう、ございます」
唐突の褒め言葉。
それは今までの訓練から何かの前触れを意味すると、理解していた。
何が始まろうとしているのか。
侍女長の顔色からは全く想像がつかない。
「一番最初に模擬戦を行ったときは、構えはめちゃくちゃ、動きも鈍く、言葉遣いもなってはいない……その上、私のパンツが視界に入った程度で動揺するほどに精神的にも軟弱でした」
「……は、はぁ、そうですか……」
一番最初と言えば、まだまだ元農民の生活から脱却し切れていなかった俺は、戦闘のせの字も知らなかったわけだし、元農民故に敬語なんて習ったこともないのだから、それも当然と言える気がする。
後、侍女長のパンツについては一々反応していたら死ぬからな……。
動揺している暇なんかない。
「ということで、それなりに発現量も上がってきていることですし……そろそろ、同化の訓練に入りたいと思います。ーー良いですね?」
「はい!わかりました!」
良いですね?なんて聞いてはいるが、当然俺に拒否権なんてあるわけもなく……。
せめて、その新しい訓練が少しでも優しくなるようにハツラツとした声で返事をする他なかった。
◆
「今から貴方には同化を習得していただくまでこの檻に入っていただきます」
そう言って俺の眼前に用意された木製の檻を叩いた。
木の根っこがウネウネと曲がりくねっているかのようにも見えるそれは、人工物というよりもどちらかと言うと自然物に見える。
「これが同化を習得するための機械なんですか?」
俺がそう尋ねると小首を傾げる仕草を侍女長は見せた。
「いえ、一言もそんなことは口にしたつもりはないのですが……。そもそも、貴方は少し勘違いをしているようですね」
そう言って一呼吸置くと、目の前に氷壁を生み出した。
「魔導とは理論ではなく魔族や魔人に備わった機能です。人間達のように無駄に頭を働かせて発動させる魔術とは違って、手足を動かすように単純に行える動作のことを指します」
「それとも貴方は日常生活で、自分の手足を動かすのに頭を使うというのですか?」と追い打ちをかけてくる侍女長に、俺は必死に首を縦に振ってご機嫌取りをする。
「……従って、魔導の技術を習得するのに便利な道具など存在しません。必要なものは貴方の意志とそれ相応の実力だけです。そして、その実力についてはある程度ついたと私が判断したのですから、実質今必要なのはやる気だけです。当然、貴方にはやる気がありますよね?」
珍しくニッコリと微笑みながら俺に問いかけてくる侍女長の姿は、正しく鬼と呼べる代物だった。
俺は膝をガクブルさせながら、恐れ戦いていたのだが、その反応が良くなかったのか、更に彼女の圧が増す。
「ーー返事は?」
「は、はいっ!やります、やらせていただきます!!!」
「よろしい。では、その中に入ってください」
「はい!」
また返事がない、と叱られては堪らないので、ハキハキとした声でそう答えるとさっさと中へと入っていく。
木製の檻(カナちゃん作)は見た目以上に頑丈で、扉らしきものを開けるのにも一苦労だった。
「はい、では今から同化の訓練を始めます。まず、手始めに檻に火を点けますので柵から離れてください」
「えっ!?何で……いや、何でもないです」
手始めに火を点けると言われ、思わず質問しそうになったが、いいから黙って指示に従えとガンつけてくる侍女長に、思わず閉口してしまう。
そのまま、柵から離れ檻の中心部分まで下がると、侍女長のポケットから出された火の魔石によって、檻が燃え始めた。
「いいですか?レクチャーは一度しか言わないのでよく聴いてください。同化という魔導は、自然に存在する属性と共存することで成されるものです。例えば私の氷属性ならば、豪雪地帯で何日も何ヶ月も生活を送ることで習得することができました。カナ様であれば、何千年という月日を森と共に生きることで……」
メラメラと炎が燃え盛る中、淡々と説明している侍女長の声があまり聞こえないほどに檻の中は熱かった。
火の属性を持っていることである程度火に対する耐性があるはずの俺がそう感じるのだ。
どう考えても檻の中はサウナを超えた温度になっているだろう。
額から流れ出るじっとりとした汗を拭いながら、俺は話に耳を傾ける。
「このように、同化とは自然と共にあることで習得する魔導です。よって、貴方を燃え盛る炎の中へと入れることで習得を促そうという考えです。周りの火を脅威と見做すのではなく、己の手足のように捉えるのです。それができるようになれば、同化の魔導が使えるようになるでしょう」
「……っ」
正直言って、話の半分も暑さのせいで耳に入ってこないが……。
とりあえず、この檻の中で何日か我慢できるようになれば良いってことだろう?
そうすれば、同化って技が身につく、と。
おそらくそんな感じなのだろう。
何で土属性じゃなくてこんな危険な火属性なのかとか、説明の仕方が釈迦の説法みたいで何言ってるのかよくわからんとか、色々不満はあったものの、とにかくここから出してもらうには同化を習得するしか道がないのだ。
しばらくはこの釜茹で地獄みたいな環境を耐え凌ぐ他ないだろう。
俺は眼前で涼しい笑みを浮かべている侍女長を睨みつけながら、そう考えていた。
追記:3日に1話投稿といった直後にこの有様で申し訳ありません。どうもこの後の展開を書こうとするとつまらない展開になるというか、何と言いますか……。ちょっと詰まった感じです。本当にすいません。
早めに復帰できるようにテキトーな短編でも書きながら、色々構想を練り直していこうと考えているので、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです。




