プロローグ2
投稿が遅れてすいません。
11/3分はまた別に一話分投稿する予定です。
後、一日一話は11/3で最後になります。その後は、火、木、日のペースで投稿する予定です。
今回は久しぶりの主人公視点。
「何故、人間には忘却の機能が備わっていると思う?」
凡そ高校生とは思えないような親友のセリフに思わず俺は目を丸くする。
「な、何だよ、いきなり……哲学の話なら、俺には全然理解出来ないんだけど?」
「いや、お前が思った通りに言ってくれればいい。俺はお前の意見が聞きたいんだから」
そう言って、ニヒルな笑みを浮かべる親友の顔が、何故かはっきりと見えない。
「意見、意見ねぇ……。まぁ、一般論みたいな感じで言うんだったら、人間を完璧に作れなかった神のミスによって生まれたものなんじゃないか?」
「そうか……ミス、か……」
「何だよ、何か言いたげな顔しやがって」
「別に。まぁ、確かに忘れると困ることは多いよな……。でも、忘れた方が良いことだってあると思うんだ、俺は」
「は?何言ってーーー」
◆
「……ここは」
「お目覚めになられましたか?選ばれし者よ」
「えっ、あんたは……いや、待て。俺はそもそもこんなところに来た覚えはーー」
「いえ、貴方は計画通りに事を進め、無事に死ぬことに成功しました」
「……なるほど。あれは、夢じゃなかったんだな……」
ははっ、じゃあ俺が親友に手をかけたのも夢じゃあーーー
「貴方には別世界に転生してもらい、勇者の補佐をしてもらいたいのです」
「……へっ?転生?それってあの小説とかによくある、あの転生?」
「はい。魔法と剣のある己の力により成り立つ実力主義の世界。そこに転生してもらう予定です」
「へぇ……じゃあ、何かチートでもくれるのか?じゃないと、俺みたいな半端者じゃ勇者の補佐なんて務まらないぜ?」
「はい、もちろん用意させていただいております。こちら『何でも開閉可能な能力』をプレゼントしましょう。……少し使い勝手が難しいですが、貴方なら使いこなせるでしょう」
「……マジか」
俺みたいな学校の成績も中の中、容姿もそれほど良くないし、運動神経だってそれなりだった男にチートを与えて違う人生を歩め、と?
ははっ!バカにすんなよッ!んな上手い話があるかっての!!!
「納得がいっていないようですが、わたくしは、激情に駆られかねないあの局面で、冷静に行動できた貴方の冷静さを評価したのですが?」
「冷静、だと……」
「はい。大抵の人間ならば途中で感情的になって投げ出していただろう事を、貴方は見事やり遂げました。その根性と初志貫徹の心構えを見て、わたくしは貴方になら勇者の補佐を任せると思いました」
「……」
冷静……あれが、冷静だと言えるのだろうか?
己の醜い性に嫌悪し、自分の能力に絶望した俺は、唯一取れる手段があれだったというだけの話だ。
あれ以上、俺にはどうしようもなかった。
人を惹きつけるような容姿も、カリスマ性も金も、名誉も知名度も……何もなかった俺には。
「どうしましたか?……あぁ、ご自身の容姿にでもコンプレックスでもお有りなのですか?でしたら、問題ありません。勇者の補佐をする以上、必要な能力として容姿、身体能力、血筋、家柄、金、名誉、全てにおいて最高水準で転生する用意が済んでおります。必要とあらば、わたくしの眷属も差し上げましょう。どの娘が好みですか?」
目の前の女がそう尋ねると、画面のようなものが浮かび上がり、無数の女の子たちの画像が出てくる。
「わたくしのお勧めはこの娘とこの娘なのですが……二人とも尽くすタイプでーーって、どうしましたか?」
もし……もし、もう一度やり直せるなら……。
「……そうですか。わかりました。では、身体能力と容姿だけ向上させるとして……他はどうしますか?」
「家は……ちょっと貧乏なぐらいで良いです。眷属も要りません。後、勇者の補佐をする上でもう一つだけお願いがあります」
「何でしょう?」
「15年だけ、俺に猶予をください」
「猶予、と言いますと?」
「その間だけ、俺の前世の記憶を一部消してください。ついでに勇者の補佐であることとか、身体能力の高さについても諸々縛っておいてくれませんか?」
「まぁ、できないことはないですが……本当にそれでよろしいのですか?」
「はい。ただの子供としての15年間を過ごしてみたいんです」
「……わかりました。では、貴方には期限付きの施錠をかけさせていただきます。その代わり、15年後にはきちんと己の責務を果たしてください」
「わかりました」
「では、よい人生をーーー」
◆
ーーーガチャッ
「ふぅ……もう15年が過ぎたのか……」
なぁ、親友。
今ならお前の言いたいことが少しは理解できるかもしれない。
忘却は、人にとって救済にもなり得る。
お前は、そう言いたかったんじゃないのか?
追記:間に合いそうにないので、水、木、金の三日間は一日一話に変更します。度々、変更してすいません。




