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36.道中《キーラ編》

すいません、やっぱり遅くなりました。

9月27日の分は何とか遅れないように投稿しますので、ご容赦ください。


後、一応注意書きです。

今回の話も下品な描写があります。苦手な方は読み飛ばすことを推奨します。




馬車の旅、5日目。


昨日のアルバの尻揉みマッサージがやけに大変だったせいか、腰とか腕あたりに痛みを感じた。

しかし、そのおかげでアルバは今日も元気よく御者をしてくれている。

よほど尻が痛かったのか、俺のマッサージをとても喜んでくれていた。


あんなに喜ばれるなら、また今度やっても良いなぁ……。

俺はアルバの柔らかい尻を堪能できるし、アルバは(多分)気持ち良い。

まさにウィンウィンの関係である。


ただ、あれは対面座位の格好でしないといけないので皆が寝静まってるときにしかできない。

さすがに、あの格好を皆が見てる前でできるほど俺は羞恥心を捨てた覚えはない。


そして、今日はキーラが起きていた。


残念ながら、今日はマッサージができない。

チラチラとこちらを見てくるアルバに目で謝ると、キーラと雑談を始めた。





「うー、ふわぁあ……」


「お疲れですか?お兄様」


昼食休憩後。

いつもの手抜き感満載な携帯食料を食べ、カイリちゃんとアキトは二人して早々に眠った。

アルバはいつも通り御者台に座り、俺とキーラで雑談を再開していた最中、俺は眠気を感じて大きな欠伸をした。

マナーとしては口元を隠す必要があるのだが、近くには仲間しかいないから良いだろう、と思って豪快にすると、目の前でそれを見ていたキーラからクスクスと笑われた。


……なんかちょっとだけ恥ずかしいな。


更にその年下から体調を気遣われるような発言をもらったものだから、いくら一個しか年が違わないとは言っても、男のプライド的には許せるものではなかったので、感じていた眠気を噛み殺して何でもない風を装う。


「いや、別に。ちょっと、な」


「ちょっと……ですか?」


「あ、あぁ……」


何か上手い言い訳でも、と思って口を開けてみたものの、咄嗟にそんな言葉が出てくるほど俺は話し上手というわけでもなく……。

キーラの追求の言葉にお茶を濁すしかなかった。


俺は外の風景を見るフリをして赤面した顔を隠しつつ、腰が痛いという話題にチェンジすることにした。


「こんなこと言うのも贅沢なのかもしれないけど……道中、何もなさすぎて暇だよなぁ。おかげで、馬車に座りっぱなしなもんだから腰が痛いな」


「そうですね。私は今よりも劣悪な環境で馬車に乗せられたことがありますのでそこまで気にしませんが、この振動の中長時間同じ姿勢でいるというのは中々辛いものがありますね」


劣悪な環境という言葉を聞いて、そう言えばキーラは奴隷時代に酷い目に遭ってたんだった、ヤベェ、地雷踏んだ。


そう思ってキーラの顔を見たが、そんな冷たい言葉とは打って変わって穏やかな笑みを浮かべていた。


なら大丈夫か、と雑に判断した俺は雑談を続ける。


「うーん、こういうときは寝転がるのが一番なんだけど、揺れが酷くて寝ようとすると酔うだよな」


ガッタンゴットンと電車ばりに揺れている馬車内は、車酔いとかに弱い俺には正しく地獄。

ちょっと本でも読もうものなら、胃の中に詰まっている携帯食料がリバースされるのは必然。

かと言って、寝転がれば振動が頭に響いて寝ゲロ確定である。


だからこそ、俺は馬車に乗っている間は必死に座っている姿勢を保ち、外を眺めるか仲間と雑談するかして気を紛らわせるしかない。


そんな俺のちょっとしたお悩み相談に対して、キーラは穏やかな笑みを浮かべたまま言った。


「でしたら、私が膝枕をしてあげましょうか?頭が揺れるのが嫌なら、私が手で支えてあげますし……そこから眺める景色は退屈しないで済むと思いますよ」


にっこりと、そう微笑んで言うキーラに対して、俺は未だ理解が追いつかない。


「……え?ヒザマクラ?え、何で……というか、それってどういう……?」


「あれ?もしかして、お兄様は膝枕をご存知ではないのですか?ならば、説明しますね。膝枕とはお兄様の頭を私の膝の上に置いた状態で寝転がる姿勢のことです。世の男性にとって至上の喜びと言われていますので、心地良さにはご心配なさらずに」


「いや、別に心地良さについて心配しているわけじゃないけど……」


というか、説明的にも俺の知ってる膝枕なのは分かったけど……。


「そ、その体勢だと辛くないか?俺の頭重いし……あんまりキーラに負担をかけたくはーー」


「ーー大丈夫ですよ」


聖母のような慈愛の含んだ笑みを浮かべながら、キーラは言った。


「お兄様が膝枕程度で喜んでくれるというのでしたら、私としても嬉しい限りです。是非、やらせてください」


「……だ、だが」


「ーーお願いします」


烏の濡れ羽色をした艶やかな髪が首筋を垂れながら、お辞儀をするキーラを見て、俺は思わず頷いてしまった。





「どう、ですか……お兄様?」


「う、うん。全然、揺れなくて、気持ちいい、です」


キーラの真っ黒な瞳に見つめられ、何故か緊張しつつ俺はそう答える。

俺のそんな情けない姿を見て、キーラはにっこりと笑顔を浮かべて「なら、良かったです」と言った。


そんな健気且つ慈愛に溢れた笑みに俺は思わず赤面をした。


ーー見られたくない。


羞恥のあまり、顔を隠そうと手を伸ばすが、キーラによって払われる。

顔を動かそうとしても、キーラの両手ががっしりと掴んでいるため、身動きが取れない。


赤面した俺の顔が、キーラの瞳越しに映される。

その顔を見て、更に俺は赤面する。

そんな悪循環がなされていた。


しかし、この膝枕。

俺が羞恥を感じる以外は素晴らしいものであった。

視線を向ければ、キーラの可愛らしい顔と瑞々しい黒髪が目に入り、とても癒される。

膝の感触を首と頭によって直に感じることができ、どんな最高級枕でも敵わない、と断じることができるほどの柔らかさを堪能する。

匂いもアルバ同様、ほとんど水浴びをしていないのにも関わらずとても心地良いものであった。

どっかのアキト(おっさん)とは大違いである。


そして、極めつけがキーラのおっぱいである。

うちの女性陣の中で一番大きいそのお胸は、女子中学生という年齢にしても大きいサイズである。(俺の目測ではCを超えているとみた)

巨乳と呼べるほどではないが、それでも服越しに見てもその谷がきちんと確認できるぐらいにはあるのは間違いない。

更には、その胸は馬車の荒々しい揺れによって左右に大きく揺れる。


それこそ、プルンプルンという擬音がピッタリだと思うぐらいに激しく!


正面からであれば、それほど感じ取れなかったのかもしれないが……。

今の俺は膝枕をしてもらっているため、超近距離でその様を見ることができる。

そんなおっぱいが揺れる光景はと言えば、正しく彼女が称した通り絶景である。


聖人でもなければ、その光景には目を釘付けされること間違いなしだ!


そして、当然のことながら俺も聖人ではないので、キーラのおっぱいを凝視してしまっている。


「ふふっ……」


そんな浅はかな男の欲望に逆らえない俺の姿を、まるで嘲笑でもするかのように静かに笑ったキーラの声を耳にして、何故か俺は羞恥心よりも先に興奮してしまった。


何故だろう?

……最近、性処理してないから溜まってるのか?

でも、不思議とこの感覚が心地良い気がする。


俺は年下に膝枕をされて甘やかされることに羞恥心を覚えつつも、母に包まれているかのような安心感を覚えるのであった。





追記:9月27日分も遅くなります。具体的には12時前後になるかと……。

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