27.計画
最悪の事態を想定しよう。
もし、あの赤髪の貴族を殺した人物がカイリちゃんだと特定されているとしたらーー?
おそらく、町中否、近隣の街や帝都にまで貴族殺害の犯人の情報が流れているだろう。
ただ、帝国にはそこまでの情報流通能力があるわけではないし、殺したのがカイリちゃんだと断定されていたとしても、さすがに俺の関与までには気づいていないはずだ。
唯一、俺の存在が露呈する可能性がある所と言えば、カイリちゃんと俺が表立って話し合っている姿を目撃している冒険者ギルドである。
更に言えば、ギルドの応接室で貴族とイザコザを起こしているところも見られていた訳で……。
赤髪の貴族を殺したであろう、動機は十分に集めることができる。
そうなれば、封建主義を掲げている帝国のことだ。
すぐさま俺たちを犯人と断定して処刑台送りにすることだろう。
その危険性を鑑みれば、俺たちはあまり街を経由せずに人目の付かない道を進むことが最善ということになるのだが……。
「うーん、圧倒的に食料が足りてないんだよなぁ……」
俺たちの手元には金貨一枚と銀貨七枚。
そして、討伐対象のビッグラビットの後ろ足とラージワームの下半身の切れ端が大量に入った麻袋に、ギルドから借りたナイフ一本。
これから王国を目指すにしてはあまりにも心細すぎる手持ちであった。
手元に食料がないのも勿論マズイのだが、それよりも火種がないことが問題である。
「……魔法で燃やすことって出来ないんだよな?」
「……ごめん。私、風と水の適正しかないから……」
ですよねー。
できたら昨日やってる、という話だ。
一応、ダメ元でアルバに聞いてみたものの、不発。
カイリちゃんにどうにかならないか、と聞いてみるものの、
「狩ったエモノをナマでたべたらダメなのか?です」
と、ワイルドな感想が返ってきたため、頼りにはならなかった。
となると……。
「やはり危険を承知で最寄りの町に入るしかないんじゃないですか?」
「そう、なるよなぁ……」
やけにツヤツヤとした肌をしたキーラの言葉に、俺は頷いた。
元々、頭の中ではそれしかない、とは思っていた。
どう考えても手持ちでは王国まで辿りつけるはずがないし、俺たちが貴族を殺した犯人だとバレているかどうかもわからないわけだし……。
街で火種と携帯食の入手。
欲を言えば、ギルドで持っている討伐部位分の報酬もいただきたい所。
「犯人の情報は出回っている可能性はありますが……おそらく、お兄様の形容については獣人と黒髪の少女を連れた男、とされている可能性が高いです。余程、精巧な似顔絵でも描かれていない限り、お兄様単体で動いて捕らえられることはないでしょう」
「そうだな……。じゃあ、カイリとキーラ……後、念のためアルバも街の近くで待機してもらって、俺が食料やら何やらを買いに行くってことで大丈夫か?」
「すきにしろ、です」
「大丈夫だと思います」
「……はい」
「よし、じゃあとりあえず近くの街に行くとするか」
三者三様の返事を聞きながら、俺たちは川沿いに歩き始めた。




