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24.アルバ

9月1日〜9月4日については、予定が色々とあって忙しい状態なので、すいませんが毎日投稿は多分できないです。

投稿できない分をどこか余裕の有る日に補う可能性はないわけではないですが、確約はできないのでご了承ください。



例のごとく、首輪の鍵穴にガチャリと全知全能の解鍵(マスターキー)を差し込むと、カラン、という音と共に首輪が外れた。


「……!?」


「あぁ、これは俺の能力な。何でも開け閉めできることができるんだ。ついでに、その足の奴も外しとくか」


もう争う必要性もないので、金城湯池の施錠(ハードロック)も解除した。

ちなみに、俺がロックしたものを解除するにはアンロックと唱える必要がある。


「……もしかして、貴方も悪魔憑き?」


虚空に鍵を出したり消したりしていると、いきなりエルフがそう尋ねてきた。


……悪魔憑きってまたかよ、と思わなくもないが、それよりも先に自己紹介が優先だな。


「悪魔憑き云々は置いておくとして、先に自己紹介しておこうぜ」


「……何で?」


「何で、ってこれから一緒に旅をする仲になるからだけど?」


「えっ……いいの?」


そりゃ、良いに決まってるだろう。

というか、主人の意見なしでの奴隷の解放は犯罪なんだからさ……。

お前がうろちょろしてたらまた捕まるだろうが。


そんな意も込めて、エルフに話しかける。


「それともお前にはこれからどこかに行くあてでもあるのか?」


「……ない、けど」


「なら、俺たちについてくればいいじゃん。俺たちは他種族に対する差別がない獣人国を目指しているから、お前だって住みやすいと思うぜ?」


「……で、でも……私、悪魔憑き、だし……」


そう言って、誘われて嬉しいくせにウジウジと悩み始めた。


その様が妙に俺をイラッとさせたので、エルフを黙らせる意味も込めて抱きしめながら言った。


「あー、もう!メンドくさいな、お前は!」


「ひぅっ!?」


「大切なのはついていきたいのか、それとも行きたくないのか?それだけだって!悪魔憑きって、件なら安心しろよ!少なくとも、俺はお前の言う通り悪魔憑きだし、多分連れのキーラってやつもそうだから!」


「……う、うん。ありがとう。……一緒に、行きたい、です」


「よし!よく言った!」


あまり褒められたことがないために、俺が頭を乱暴に撫でながら雑に褒め称えてやると、エルフは顔を真っ赤にして俯いた。


これからも、餌付けも兼ねて頻繁に褒めるようにしてやろうと思った。





「……それで?お前の名前は?」


一通り褒め終え、ある程度彼女が落ち着いたところで俺はそう尋ねた。

名前は基本的に自分から申し出るのがマナーではあるが、俺が下手に出てこいつが調子に乗られるのは困るのであえて促す形にしている。


「……え、と。……アルバ、です」


モジモジと、やけに言いづらそうにしながら彼女ーーアルバは名乗った。

おそらく、自己紹介という行為自体が初めてなのだろう。

周りから迫害され、親族からも見放されて育ったエルフ。

親がどんな育て方をしたかは知らないが、愛情に飢えているこの有様ではあまり期待はできない。


こういったワンテンポ遅いタイプの奴は俺からしたら、あんまり好みではないのだが……。

急かされると逆に愚図になるケースが多いのでアルバのペースに合わせて会話をしてやる。


「そうか。俺はマティス、よろしくな」


「……ん、よろしく」


俺が手を差し出せば、アルバもそれを理解してきっちりと手を出してくれる。

少なくとも、ある程度のコミュニケーションは取れるようだし……そこまで危険視する必要もないだろう。


一応、仲間同士での能力の把握は必要だろうと考えて俺はその話をした。


「さっきも話したが、俺の能力は鍵を開け閉めすることができる能力だ」


虚空から鍵を出現させて言った。


「アルバは何が出来るんだ?」


「……私、風の魔法、と刀を、出せる」


「……刀?」


風の魔法は何となくわかる。

キーラを連れて行ったあの力もおそらく魔法によるものなのだろう。


……そう言えば、カイリちゃん一人で取り返せるのか?

俺も助けに行った方が良いだろうか?とは思ったものの今更探したところで、彼らがどこに行ったかなんて見当もつかなかったので、とりあえずキーラについてはカイリちゃんに丸投げすることにした。


閑話休題(それはともかく)


俺が刀について疑問を呈すると、アルバが実演してくれた。


「……こう」


「おぉっ……!?」


アルバが虚空を掴むような仕草をすると同時に、柄頭から刀身まで全てが真っ白な太刀が出現した。


「……これで受けた攻撃を、反射できる」


試しに、やってみる。

そう静かに呟くと、魔法で風の刃を出現させてその刃を刀で反射して見せた。


「……どう?」


「おぉーッ!凄いじゃん!今の!!メチャクチャカッコいいよッ!」


「……え、そう、かな?」


「あぁ、自信持っていいぞ!俺が見てきた能力の中でもベストワンを飾る超カッコいい力だって!」


俺がお世辞抜きでアルバの頭を撫でながら褒めると、また顔を赤くして照れ照れし始めた。

しかし、俺はそんなアルバの態度が気にならなくなるほどに興奮していた。


だって、日本刀だぞ!

男なら誰もが一度くらい異能で出してみたいッ、て思うじゃん!

少なくとも、思春期の頃は俺はそう思っていた。

だが、実際はどうだ!

俺の能力は鍵と錠を出すというちょっと脇役気味な能力である。


これでアルバのことを羨ましいと思ってしまうのは仕方ないんじゃないか、と俺は思った。


だけど、そんな嫉妬も今はどうでもいい。

とりあえず、この刀をもっと眺めていたい、触ってみたい、振ってみたい。

そう思って口を開けようとしてーー


「ーーなにしてる?、ですか……」


「…………」


草むらの向こうから、絶対零度の視線を向けてきているカイリちゃんとキーラの姿が目に入った。





追記:9月5日分は9月6日に投稿します。


すみません、今日は色々と忙しかったので9月7日に投稿します。ただ、三話も連続で投稿は厳しいので、9月5日分は別の日に投稿させていただきます。

度々、予定を変更してしまい申し訳ないです。

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