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16.キーラの異能について

とりあえず、一話更新。

字数が少ないのは勘弁してください。



「その首輪、外したほうが良くないか?」


討伐依頼に向かう道中、手持ち無沙汰になった俺はキーラへそう言った。


「……何故ですか?」


「いや、色々と不便だろ?それが付いていると」


首回りにおっきな輪っかが付いているので、身体を洗うときは勿論のこと、ふとした瞬間に首を掻きたくなったときや、首を回したくなったときなど、日常生活においてそれなりに支障をきたすことがあるはずだ。


「それに、俺に命令される立場にあるっていうのもあまり居心地が良い訳でもないだろうしさ」


これが犯罪奴隷とかだったら明確な理由もなしに主人の自由で外すことは禁じられているが……。

少なくともキーラの事情を聞いた限りでは、彼女は犯罪を犯していない。

なのに、ただの農民に命令される立場というのは内心穏やかではいられないだろう。


そんな意を込めて問いかけると、キーラは意外にも首を横に振った。


「いえ、私はこのまま十分幸せですよ。奴隷という立場は、命令される立場であると同時に人の庇護下に入れるということですし……。勿論、他の人の奴隷となると遠慮したいところではありますが、主人が私の命を救ってくださったお兄様であれば何の異論もございません。むしろ、私からお願いしたいくらいです」


「そうか……」


いや、奴隷解放はそもそもの話俺の為なんだけどな……。


帝国は他種族蔑視が激しい国だが、だからと言って奴隷制度が民衆に受け入れられているか、というとそうではない。

奴隷を持ってる奴は性格が悪いに違いない、という偏見が蔓延っている。


しかも、キーラは同じ人間だ。

その嫌悪感は他種族を奴隷にするとは比べ物にならない。


冒険者ギルドでも、俺が実力を示すことに成功したためにそこまで非難されることはなかったが、それでも良い感情を向けてくれてはいなかった。

大抵の人間が畏怖に近い感情を向けていた。


そのため、キーラを奴隷から解放し少しでも印象を良くしないと、という保身的な気持ちでこの話題を出したのだが……。

まさか断られるとは思いもよらなかった。


俺は一旦沈黙し、別の切り口から話題を出してみる。


「それはそうと、キーラの能力についてまだ聞いてなかったよな。あれってどんな効果があるんだ?」


「そう言えば、まだ見せたことがなかったですね。ちょうど手頃な木々が増えてきた所ですし、実際にやってみせますね。ーー『呪詛の黒蛇(カース・チェイン)』」


ポツリと、そう呟くと宿で俺の首に巻きついていた黒色の鎖がジャラリと姿を現した。


「うーん、対象はそのおっきな木で良いですかね」


指を指すと、鎖は虚空を漂って大木にグルグルと巻きついた。


「おぉ……ッ!」


変化はすぐに訪れた。


大木についていた瑞々しい緑の葉がドンドン枯れていき、次第に幹そのものが細くなっていく。

そして、最終的には完全に枯れ果てて木本体の重みに耐えきれずにゆっくりとへし折れた。


「もしかして、生命力を吸収することができるのか?」


「それだけではありませんよ。ーー『祝福の白蛇(ブレス・チェイン)』」


今度は白い鎖が出現し、迷うことなく俺の右腕に絡みついた。


「ん?何をしてーーって、うおっ!何だコレ!?」


その瞬間、絡みついてきた鎖から凄まじい量の氣が一気に放出され、俺の身体に否応なく吸収されていく。


最初は自分の氣とは別のものが入ってきたことに体がびっくりしている感じだったが、少しすると慣れてきたのか、ただ純粋にぬるま湯に浸かっているかのような気持ち良さだけが残った。


「どうですか?これが私の力です、お兄様」


白い鎖が自分の身体から離れていってしまうことに若干の寂しさを覚えながら俺は答える。


おそらく、キーラの能力は黒色の鎖で対象の生命力を吸い、白色の鎖で対象に吸った生命力を与えることができる、という力なのだろう。


何だよ、俺の開閉能力よりもよっぽど戦闘に使い道があるじゃん、とちょっと嫉妬してしまいそうになったが……。

なるほど、この能力があれば大抵の魔物には勝てる気がする。

何せ、相手の弱体化と自分の強化を一度に行えるわけだからな。


これはなかなか使い勝手の良い能力だ、と素直にそう感じた。


「ふふっ、その様子ですとお兄様を満足していただけたようですね」


「あぁ、俺の能力と交換してほしいくらいだよ」


俺がそう冗談めかして言うと、キーラは口元を押さえて上品にクスクスと笑ってみせる。


……うん、いいね、めっちゃかわいいっす、その仕草。


お淑やかな女の子らしい姿にドギマギしつつ俺が森の中を歩いていると、ガサゴソと草むらから音が聞こえーー


「ーーえ?何で、お前がここに居るんだ?」


「……」


先日、決別をしたカイリちゃんが飛び出してきた。





8/26にどうにか頑張って三話連続投稿したいです(願望)


すみません、最近リアルが忙しくになっていて、投稿できる余裕がありません。

今日、含めて三話分の投稿は今月中に折を見てしたいと考えていますが、少なくとも8/26もほとんど余裕がないので、一話限りの投稿とさせていただきます。


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