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第17話:最強賢者は代表になる

 翌日からの二日間、俺はファーガスおじさんから剣の指導を受けた。リーナ、エリス、レム、アミの四人には毎日一万回の素振りを徹底させた。

 最初はひいひい言っていた四人だったが、三日目になる頃には随分と慣れた様子で、最初に比べれば簡単にこなせるようになっていた。

 体力・魔力が増えると素振りも楽になってくる。彼女たちは気づかない間に実力を伸ばしているのだ。


 今日からは授業が再開される。俺は久しぶりにS組の教室に入った。休みとはいっても、全員が寮住まいなのであまり普段と変わり映えしない。

 一緒に教室に来たリーナの顔にもそう書いてあった。


 俺とリーナはそれぞれ自席に座る。俺が窓際の最奥で、リーナがその一つ前だ。


「今日は半月後に行われる学院対抗戦の出場メンバーを決めるらしいわよ?」


 リーナが唐突に切り出した。


「学院対抗戦?」


「なんでも、カリオン王国の魔法学院とは毎年対抗戦をしているらしいのよ。魔法師は国の資源みたいなものだから、お互い切磋琢磨して更なる高みを目指そうってことらしいんだけど」


 カリオン王国と言えば、アリシア王国と同盟関係にある隣国だ。王族同士の仲が良いらしいが、それも関係あるのかもしれない。


「そういう上の思惑はともかく、生徒としては格付けされるようなもんじゃないか?」


「そうなのよね。だから生徒としては単なる遊びでは済まないんだけど」


 そんな話をしていると、レジーナ先生が教室に入ってきた。


「は~いみなさんお久しぶりっ! 今日から通常通りの授業が始まりますよ~」


 どこか気の抜けたような声で挨拶を始めた。今後の授業日程の変更についての話など、事務的なものの説明が続き、最後に学院対抗戦の話になった。


「学院対抗戦には三人の出場選手を決めなければいけません。最終的には立候補と推薦で決めますが、一人だけ既に出場が内定しているのでお知らせしますね」


 ん、もう一人は決まっているのか。

 誰なんだろう? 先生からここまでの信頼を勝ち取っているということはかなりの実力を持った生徒と判断して間違いない。


「みなさんお気づきかもしれませんが、ユーヤ君ですっ!」


 直後、パチパチパチパチと拍手が送られる。

 え? なんで俺?


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。なんで俺なんですか?」


「このクラスではユーヤ君が一番強いでしょう? 学院対抗戦は文字通り、学院の威信を懸けた戦いなんですから、ユーヤ君が出場しないなんてありえないのです。……断ると思って最初からメンバーに入れておきました!」


「はあ」


 自由もへったくれもない学院だ。

 ……いや、この辺は教師権限の範疇か。抵抗してもどうにもなりそうにない。面倒だが、引き受けるしかないらしい。


「一人は既に決まったのですが、学院対抗戦はあと二人。つまり二枠を誰かに決めないといけないのですが、立候補する人はいますか?」


 レジーナ先生が挙手を促すと、二人が同時に手を上げた。

 リーナとエリスだ。


「ユーヤが出るというなら私もセットで出るのが当然よねっ!」


 いや、当然ではないのだぞ? リーナよ。


「こんな大きな大会に出るようなキャラじゃなんだけど、ユーヤが出るというなら私も出ないわけにはいかないわね」


 エリス、どうぞ自重してもらって構いません……。


「リーナさんとエリスさんが立候補ですね? 他に立候補したい人はいますか?」


 誰一人として手を上げる者はいなかった。

 そりゃあ学年二位と三位が挙手しているのに、それより下の者が立候補するのはかなり勇気がいるからな。


「では、立候補を締め切ります! ユーヤ君、リーナさん、エリスさん、学院対抗戦頑張ってくださいね! 詳細は後でプリントを配布するので目を通しておいて下さい!」


 ということで、出場選手はいつも通りのメンバーで決着した。

 代表は俺、リーナ、エリス。学院対抗戦は毎年Sクラスの生徒が学院を代表して戦うことになっている。


 学院対抗戦の日程はもう決まっていて、五月の中旬くらいだったはずだ。今年の会場は俺たちのホームグラウンドであるこの学院で行われる。


 学院を代表する以上、できれば勝っておきたい。

 同年代で俺に勝てる生徒は多分いないから、リーナとエリスを鍛えるのが俺の仕事って感じだな。


 あれ? やること変わらなくね?

誤字報告本当に助かってます!

IDしか表示されないためどなたに報告していただいているのかこちらではわからないのですが、本当に助かってるんです。ありがとうございます!

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