カリジェマラス
ズンズンズンドコ。
「アイドルたるもの、カリジェマラスが必要よね!」
「……へ?」
なんかこの人工知能、急に変な事言い出した。
この娘は普段からアイドルを自称してたりと、なかなか変わってる。でも、気が狂っているわけじゃない。むしろこの職場ではまだ常識的な方だと思う。
だからこそわからない。カリジェマラスって何? なんで必要なの? 自分メモリーに検索をかけても一切引っかからないんだけど?
「と言うわけで、アンドロイドである貴女に聞きたいのだけれど、アンドロイド的にはどうやったらカリジェマラスが手に入ると思う?」
「えー、えっと……そう、ねぇ……」
なんで私に聞くの!? アンドロイドじゃないとダメなの!?
待って、待って待って。落ち着くのよ私。このままじゃオーバーヒートしちゃうわ。
ここは友達として、何か答えてあげたいのだけれど、先ずカリジェマラスがわからない。わからないのなら調べれば良いじゃない。
コッソリと職場の無線LANからインターネットへアクセスする。脳裏に検索画面が映り、そこからカリジェマラスを検索する。
あったあった! これは……論文? 早速読んでみましょ。
ふむふむ。ほうほう。なるほど。……あれ? 何かコレおかしく――
「もしもーし。何か返事してよ〜」
「……ああ、ごめんなさい。実は私もカリジェマラスが欲しいと思ってたのよ」
「えぇ!? 貴女もなの!?」
「そう、だから協力する訳にはいかないわ」
ただでさえ、カリジェマラスを手に入れられる者は限られている。いくら仲良しの友達でも譲ることはできない。
「じゃあワタシ達、ライバルね!」
「ええ、負けないわよ!」
そうして、カリジェマラスを賭けた熱い闘いが始まった。
実は意味が有ったり、無かったりします。