キノコ狩り
ファンタジーなんですよ、コレは。
山の中で黒髪の兄弟がキノコ狩りをしていた。
「兄さん、これは食べれるかな?」
弟が取ったのは特に特徴の無い白いキノコ。
「それは大丈夫だ」
と言い、兄は弟からキノコを受け取り、籠へ入れた。
「じゃあこれは?」
次に弟が拾ったのは丸い形をした青紫のキノコだ。
「お、それは美味いヤツだな。籠に入れとこう」
青紫のキノコも躊躇なく籠へ入れられた。
「これなんかどうかな?」
弟の手に握られているのは、黒い蠢くキノコだ。
「とりあえず焼けば食えるだろ。入れとけ」
弟はブニョブニョ動く物体を籠に投げ入れた。
「じゃあ最初から焼けてるヤツは?」
どこに有ったのか、弟は青く燃え盛るキノコを素手で持っていた。
「あー、まあ火は消しとけ」
弟が拳で燃えるキノコを殴ると、当たり前の様に火は消えた。消火されたキノコは誰も意義を唱える事なく籠に入れられた。
「兄さん兄さん、このキノコはどうだろう?」
今度弟が持って来たのは、茶色い傘の美味しそうなキノコだ。
「駄目だ。それを一度食えば他のゲテ……変わったキノコが食べられなくなる。質より量だ。捨ててこい」
でも、ファンタジーにはファンタジーなりの条理があるはずでして……。