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45……fünf und vierzig(フュンフウントフィルツィヒ)

 そろそろ、リアルの時間に戻らなければならなくなった。

 ディーデリヒになりきっていた雅臣まさおみだが、明日の仕事の準備や台本をチェックする為に、ログアウトを考えているものの、何故かできない自分がいた。


「ディさま。どうしました?」


 キョトンと首を傾げるのは、可愛らしいアストリット。

 自分は長身だが、本当に130cm程で、守ってあげたくなる愛らしさである。


「えっと……アスティ。またどこかに行ったらダメだよ? ラウやリューンたちと一緒にいるんだよ? 良いね?」

「は、はい」


 言い聞かせても心配なディーデリヒは、ネックレスに通した指輪をはめて口付ける。


「約束だよ? 良いね? これは外さないで」

「……えぇぇぇ!こ、これ、ダ、ダイヤモンド? えっ? ピンクサファイア?」

「ダイヤモンドだよ。こちらの地域では『Rosaローザ Diamantディアマント』。じゃぁ。また後で」


 小柄なアスティに心を残しながら、セーブして電源を切る。

 でも、一応何故か持ち物の中にピンクダイヤモンドがあったのが不思議だったのだが、渡せてよかったと思ったのだった。




 まだ時間のあったテオドールは、まごまごとしている妹に近づく。


「どうしたんだ? アスティ」

「あの、あの、テオお兄さま。これ、これ……」


 アワアワと、見せるのは石が異様にデカいとしかいいようのない、ピンクダイヤモンドである。

 これは、雅臣もアストリットの中のまどかも知らないのだが、ディーデリヒが恋愛モードとなった時、母親の遺品で形見であるこの指輪を、好きになった相手にプレゼントするイベントがある。

 しかし、テオの情報では瞬が入るまでのアストリットとディーデリヒはそんなに恋愛モードもなく、瞬が入ってもそんなにディーデリヒは兄妹的な関係だったと思うのだが……。

 考えようとしたが、テオドールは一応知恵者だが、那岐なぎは、兄夫婦のあれこれで懲りているので、


「うん。良かったな。アスティ。多分、ディ兄さんがアスティに預けたんだと思う。あまり気にするな」

「そうなの? でも、こんな大きな石なのに……すっごく高そうだし、つけておくの怖いなぁ……」

「いや、つけておいて大丈夫。敢えて見せびらかすと良い。その方があの人喜ぶから」


アストリットの頭を撫でる。

 まだ15歳のアストリット=瞬に何をするのか分からないが……犯罪だけはやめてほしいと心底思う那岐だった。

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