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きさらぎ駅  作者: 明樂
7/8

瑞希の行動

コツコツと足音が聞こえた。

「和泉……?!」


『お待たせしました。加藤様でございます。』

車掌さんの隣に和泉が立っていた。


「和泉……!」

和泉に抱きつこうとしたら通り抜けてしまった。


『馬鹿だな、瑞希。俺は死んでんだよ。』


「……え?」


『悪かった。俺は戻ることを諦めたんだ。』


「ど、して……………」


『嫌だったんだよ。戻るのが。』


「……え……」


『ずっと死にたかった。』


「ここに来て、満足してるの……?」


『俺はしてる。』


「そんな……和泉……」


『加藤様はもう一度だけチャンスがありますが、どうなさいますか?』


「……和泉、戻ろうよ?」


『……………ごめんな。』


「どうして!?」


『俺はもう生きるつもりないんだ。

俺の体は新しい奴が使ってるんだし、そいつも幸せじゃねーかな?』


「……洸くん……が幸せ……」


『洸くん?』


『私のことです。加藤様。私は16で命を落としずっとここにいます。私の分身を出し、加藤様の体をお借りしました。』


『車掌さんが使ってたのか。どうだった?』


『…不思議な感じでした。久しぶりに生の生きた体に入ったものですから。』


『そっか。』


「和泉戻ろうよ!ね?」


『……逆に瑞希ここに残りなよ。』


「……え?」


『別に俺が戻らなくても瑞希がここにくれば一緒だろ?』


「……。」


『加藤様、上野様そろそろお時間でございます。』


「……だよ。」


『え?』


「……一緒に……………」

周りが光に包まれた。戻る時間らしい。


「……和泉っ……………」

僕は和泉の手を握った。



****


「はっ!!」

僕は飛び起きた。


「和泉!!洸くん!!」

どっちの名前を呼べばいいか分からなくて、どっちの名前も呼んだ。


「……ん…」

和泉?洸くん?の手に1枚の手紙があった。


「上野瑞希くんへ……?僕宛だ。」


『瑞希くんへ

短い間ありがとう。きっと和泉くんは元に戻ってるよ。和泉くんはもう"きさらぎ駅"には行けない。瑞希くんはまだ行けるけどね。入れ替わっていないから。

入れ替わった後、元の体に戻った人はもう2度と行けないんだ。だから安心して。どんなに死にたいって和泉くんが思ってももう行けないから。

ボクは車掌としてこれからも頑張るよ。』


「洸くん……」

もう1枚便箋があった。


『ちなみにボク生きてたら今27です(*^^*)』


「はいいいい!?!」

16に死んで今27ってことは…11年もやってるんだ…


「瑞希……うるせーよ……」

和泉が目を覚ました。


「あっ、和泉!!!!」

僕は和泉に飛びついた。


「え、ちょ、瑞希!?」

すごい勢いで泣いた。


「うわああああん……和泉いいいい……」

和泉は優しく僕の頭を撫でてくれた。


「俺もう"きさらぎ駅"行けねぇからw」


「行かなくていいのぉぉぉ〜…」


「えー…………車掌さんと話してんの楽しかったのに。」


「いーの!もう行かないの!! 」


「┐(´△`)┌ ヘイヘイ」

良かった……和泉……戻ってきてくれて……

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