和泉の決意②
あの日以来、和泉が学校にこない。
今考えると……様子がおかしかった気がする。
「和泉……もしかして……」
入れ替わった……とか、ないよね…?
「和泉に限って……そんなこと……ない。」
職員室に行って先生から和泉の住所を教えてもらった。
僕はまたあの長い長い電車に乗った。
あの時間帯に乗れば、またあそこに行けるのかな…。
「……おやすみ……」
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『次は△△〜、△△でございます。お出口は左側です。』
あ、僕が降りる駅だ……。
周りを見渡す。
「何だ、行けなかったのか。」
行けなかった事を悔しく思い、電車を降りた。
「えーっと、イレブンイレブンを通り過ぎて……魚屋の横を曲がって、マンションがあって……あ、ここだ!」
立派なマンションだった。
「ここの379号室が和泉の家か……」
エレベーターにのり3階を押す。
《チーン…》
エレベーターのドアが開く。
和泉の部屋はエレベーターの隣らしい。
インターフォンを鳴らす。
『はーい。』
和泉の声だ。声が聞けて少し安心した。
「どちらさ……」
ドアが開いた。
「和泉っ!!」
僕は和泉に抱きついた。
「え、ちょ、!」
和泉だ……あの日から何日経ったんだろう。
「あ、の!離れてください!!」
和泉に強引に引き離された。
「和泉……?」
「……まぁ、そのあれですから家の中入ってください。」
和泉に招かれ、部屋に入った。
和泉はすかさずお茶を出した。
「ありがとう。」
「いえいえ…。あの、。」
「ん?」
「貴方は……?」
「和泉僕のこと覚えてないの!?」
「すみません。ボク、この体の持ち主じゃないんです。」
「え!?!」
「"きさらぎ駅"に行きましたか?」
「……行った。」
「それでですね、この体の持ち主さんは戻ることを辞めたらしく、ボクがここに来たんです。」
「……」
「ちなみに、この体の持ち主さんの記憶は残ったまま。ですが、それと同時に自分の記憶もあるんです。」
「2人分ってこと??」
「そういう事ですね。ボクは蔭山洸っていいます♪」
「洸……くん。和泉の記憶があるって本当?」
「はい。この体の持ち主さんは凄く辛い記憶ばかり。クラスの表向きは仲良しで、裏ではいじめに合っていたようです。」
「和泉……」
「……ちなみに上野くんは加藤くんとどんな関係?」
「あー、えっと……友達になる、予定だった?」
「予定だった?」
「よく、分かってない」
「そうですか…。少なくとも加藤くんは上野くんの事友達だと思っていたようですよ。」
「和泉が!?」
「はい!」
ここからしばらく、洸くんと話していた。
洸くんは交通事故で16歳で命を落としたそう。
バスで帰る彼女を送り届けた後、歩いて帰っていたら車に突っ込まれて即死だったらしい……………。
「……瑞希くん。加藤くんに会う方法一つだけあるんだ。」
「……え?!」