出会い
俺の家から学校まで電車で約1時間半。
自転車で駅まで20分。眠い。
今日はたまたま友達と遊んでいて、帰りが遅くなった。
イヤフォンして、アラームかけて寝るとするか。
俺は椅子に座った。
『次は、◯◯、◯◯です。御出口は右側です。』
まだここなのか。俺が降りる駅まであと7駅。
『まもなく◯◯、◯◯です。』
各駅停車の電車乗るのやめようかな。長い。
たまに酔うんだよな、長すぎて。
「あれ、同じ学校の人が居るなんて珍しいね。」
隣の車両から1人の男がやってきた。
制服を見ると同じ高校だった。
「誰だ、お前」
「僕2年C組の上野瑞希よろしく!」
「俺2年B組の加藤和泉。」
「隣のクラスだったんだね〜。」
「あぁ、そうだな。」
「和泉はどこの駅で降りるの?」
いきなり呼び捨てかよ……と思いつつ返事をする。
「△△駅」
「あ、僕もそこで降りる!」
「お、なら一緒だな。」
「うん!でもあと7駅もあるから寝ようかな〜。
和泉、起こしてね!」
と言って瑞希は俺の肩に寄りかかって寝はじめた。
「俺も眠いんだけど……」
俺も眠りについた。
『次は終点、きさらぎ駅でございます。』
****
「お客様方、こんなところで寝ていたら風邪を引きますよ。」
この声に目が覚めた。
「……ん?」
「ふぁ……和泉起こしてっていったじゃん…」
「あぁ、わりぃ。……って俺ら何でホームで寝てんだ!?」
「ってかここどこ!?」
「あの車掌さん!!」
俺が声をかけた時、車掌の姿は見当たらなかった。
「えっ、い、いない……?!」
「とりあえず駅出てみようぜ。」
「待って和泉!"きさらぎ駅"って書いてあるよ!!」
「……は?どこだよそこ。」
「電車……待ってみる?次の発車時刻書いてないけど…」
「そ、そうだな。下手に動くのも怖いしな。」
「にしてもここ、暗くない?場所調べよ?」
俺と瑞希は携帯を取り出した。
「くそ……電波ねぇじゃん!!」
「聞いて和泉……」
「どうした?」
「僕寝る前携帯見た時17時58分だったんだ。」
「うん。」
「今も17時58分だよ……」
瑞希が俺に携帯の画面を向けてきた。
「本当だ。アラームも鳴ってねぇ。」
「怖いよ……」
瑞希が震えだした。
「やっぱり駅から出てみようぜ。何かわかるかも知れねぇぞ!」
「うん……」
俺は瑞希の手を握り、歩き出した。