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王都で

あー、またミスった...。26日分のを、日にち間違えて25日に。削除はしませんけど、26日は投稿しません。

『ちゃんと学院には帰れたのー?海賊とか出なかった?』

『今回は大丈夫でしたよ。ちょっと魔獣に襲われたりしましたけど、そんなに強くなかったですし』

『良かったわね。それで、加護をあげた2人はどう?調子は大丈夫?』

『はい、まだ進化もしていませんし分かりませんね。どういう加護をくれたんですか?』

『竜のとあんまり変わらないわよ。まあ、進化先の限定はしなかったから、少し内容は少ないけど。成長促進だけ』

『どうしてです?相性の問題とか?』

『ううん、元から進化先がかなり少なかったの。特に影の子、あれもう完全に決まってるわよ』

『そんなの、分かるもんなんですか?』

『何となくだけどねー。こう、枝分かれしている感じ』

『へー・・・どんななのか、教えてくれますか』

『さすがにそこまでは分かんないわよ、あくまで何となくだし。未来なんて不確定なもの、精霊に分かるわけないじゃない』

『まあ、そうですよね。次のお土産は何がいいですか、やっぱり写真集?』

『そーいうのは、人に聞くんじゃなくて自分で決めればいいの。ツチオがくれるものなら、私は何だって嬉しいわ』

『そこらへんの石ころでも?』

『言い忘れてたわ、常識の範囲内でね』

『冗談です。そんじゃ、精霊さんが喜びのあまり泣いちゃうくらい、素敵なお土産を考えなきゃですね』

『ふふ、期待してるわ。それじゃ、休みを楽しんでね』

『ええ、精霊さんも毎日のお仕事頑張ってください』


枝を懐にしまい、ベッドの上に寝っ転がる。シアノ諸島から学院へと帰ってきた俺だが、まだ夏季休暇の途中。リュカは帰郷しているので、この部屋にいるのは俺と影さんだけだ。精霊さんのお土産は追々考えるとして、今は残った夏季休暇をどう過ごすかが問題だな。まだ2週間ほど残っているから、どっかに出かけてもいいかもね。どっか、行ったことのない場所に行ってみるかな?・・・でも、それなら夏季休暇丸々使ったほうがいいか。近場で行きたい場所は、大体行っちゃったし...。


「うーん、マロンマ山はあまり魔獣が強くないし、冒険者が多いから面倒。そういや、あのアイテムボックス鞄ってどうなったんだろう。今度先生に聞いてみるか。それより、今はどこに行くかか...。影さん、どっか良い場所ってないかな?」


加護をもらった影さん、成長促進の効果があるんだから進化するのも早まったんだろう。やっぱり、ちゃんと育成してやりたいよな...。ニクロムも魔物の肉を持ってるんだから、進化するんだろうし。どこにしようかね。


「無難に王都かな、やっぱり。強い魔獣はいないけど、観光にでもしゃれ込もうか。影さんも賛成か・・・図書館に行きたいの?あー、ルウたちを連れて行きたくないんだよなー。本当に色んな本が置いてあるし・・・ピンクの暖簾でもつけとけよ。まあ、行きたくなったら行くよ。王都にいる間に、1回は行くだろうしね」


前行った時は、色々忙しくて観光出来なかったしね。今度は、しっかりと見てみよう。俺が王都で行った場所って・・・王城にギルドに図書館だけじゃん。全然店とかも見てないしね・・・まあ、見たい場所もそんなにないんだけど。何があるのかも知らないし。


「もしかしたら、ユクリシスさんが来てるかもしれないし。まあ、帝王になってたら、忙しくてそんな暇もないだろうけどねー」


今日はもう遅いし、明日の朝一で出発しようか。もう何度も通った道だから、行き帰り自体は楽だ。気にしなきゃいけないのは、賊と魔獣だけだね。






 早速王都へと出発、予定通り3日かけて王都に到着した。前も泊まった斑の子犬亭に宿をとり、とりあえず王都に何があるか見に行くことにした。王都って言うくらいだし、人や物も集まっているんだろうしね、


「商業区には、露店がいっぱいあるね」

「まあ、商業区だしな。お金を出せば、誰でも店を出せるらしいし」

「色々な物が売っていますねー、食べ物に武器に装飾品に...。魔術具まで売っていますよ」

「気をつけろよ、そういう奴って偽物も多いから。掘り出し物も、たまにあったりするんだけどねー」


こういう露店で、チート武器を手に入れたりするのも、異世界モノならテンプレだけど。まあ、そんな上手い話、天文学的な確率でしか転がってないよな。


「魔力鑑定を行い、珍品を探しましょうか?見た目は誤魔化せても、魔力を欺瞞するのは至難の技ですから、私のセンサーで判断出来るでしょう」

「お、マジか?そんじゃ任せた、売れちゃったらもったいないし、見つけたらすぐ教えてくれ」

「了解しました。検索を開始します」


耳当てからバイザーが飛び出て、ニクロムは辺りを見渡し始める。そんじゃ、露店を見て周りますかね。


平民街にある商業区には多くの店が並んでいる。食料品店や衣料品店、武具店が軒を連ねている。装飾品やら奴隷やらも売っているらしいが、そういうのを買うのは貴族や金持ちだけだ。普通の平民はあまり買わないので、第2の壁近くに店を出している。


「今日は、何か欲しい物でもあるの?」

「うーん、何が欲しいってわけじゃないんだけどね。いい物がないかなって。ルウたちは、何かないの?」

「私は、お父様と一緒にいられればそれで満足ですよ。強いていえば、お父様ってところでしょうか?」

「私も!」

「いや、ネックレスとか指輪とか・・・そういうのだよ、俺じゃなくて」

「自分の魔力で再現できるからね、この服と同じ」

「わざわざ、お父様のお金を使う必要はありません。ああでも、私に似合う装飾品を見つけてもらいたいですねー」

「あ、それいいかも。私も選んで欲しいな」


なるほど、自分で作っちゃうんだな。ホント、ルウたちって手がかからないわ。それはそれでいいんだけど、ちょっと寂しかったりする。手をかけさせてほしいんだよねー...。


「そういうの、あまり得意じゃないんだけどね...。まあ、ちょいと頑張ってみますか。変だったら、ちゃんと言ってね」

「分かってる、ツチオなら大丈夫だろうけど」

「よろしくお願いします」


そんじゃまあ、ルウたちに似合いそうなものを探しますかね。リンとニクロム、影さんのも一緒に探しちゃうか。ニクロムはルウたちみたいに、自分の魔力じゃ作れないもんな。どうせ「こんな物、兵器には必要ありません」とでも言われちゃうんだろうけど・・・そこは、無理矢理押し付ければ大丈夫だろう。最悪、命令しちゃえばいいんだしね。お金に余裕はあるんだし、良さげな物を買ってやろうじゃないの!






<side ユクリシス>


「ふう・・・1年ぶりの王都ですわ」

「ここが人間の都ですか、さすがに人数が多いですね。繁殖力が取り得なだけあります。私たちが魔物だとバレる心配はないのですか?」

「魔力で分かるみたいですが、隠蔽しているので大丈夫ですわ。それより、仕事のほうは大丈夫なんでしょうね?」

「問題ありません、今日から1週間は完全に休日となっています。まあ、その後にはミッチリと予定が詰まっていますが」

「よくそんなに休みが取れましたわね...」

「そのために、予定を前倒ししました。先月は目が回るほどの忙しさでしたね」

「そのせいでしたの!?妙に予定がギチギチだと思ったら!」

「まあ、そのおかげでこうして王都に来れたのです。結果良ければ全て良しですよ。それで、ツチオって小僧を探すんじゃないんですか?」

「そうでしたわ。確か、毎年この時期は夏季休暇だと言ってましたし、もしかしたら王都に来ているかもしれませんわ」

「来ていなかったらどうするんです?」

「学院に向かい、伝言を残しますわよ。とりあえず、私が生きていることを知らせられればいいのですから。まあ、出来れば会って話がしたいですわね」

「それなら、さっさと探し始めましょう。当てはあるのですよね?」

「ええ。この前泊まっていた宿を覚えているので、そこに行ってみましょう。良い宿だったようなので、またそこに泊まっているはずですの」

「ですが、今は真昼間。出かけているのでは?」

「それもそうですわね・・・それでは、先に図書館という所に行ってみましょう。ツチオが行きたいと言っていた場所ですので、もしかしたらいるかもしれませんわ」

「承知しました。お嬢様は、彼から色々と聞き出しているのですね」

「まあ、雑談の中で耳に挟んだ程度ですわよ。たまたま覚えていただけですわ。ほら、あまり離れるとはぐれますの。こんな人が多い所ではぐれたら、会うのは厳しいですわ」

「懐かしいですね・・・昔、帝都に出かけた際、お嬢様が1人で突っ走ってしまって私たちからはぐれ、通りの隅っこで泣きながら震えていました。誘拐されていないか、心配したものです...」

「あの時は心配をかけましたわね・・・怒られたのを覚えていますわ」

「今回は、そんなことはしないでくださいね。停戦したとはいえ、人間とって魔物はまだまだ敵なのですから」

「逆もまた真ですわよ。いつになったら、交流出来るようになるのだか。私が生きている間に、出来ればいいのですけどね」

「両者の溝は深いです、こればかりは易々と解決出来るものではありません。気長にやっていきましょう」

「ですわね。まあ、今はツチオを探しますわよ」

「図書館でしたね、本が大量に収められている場所と聞きましたが...」






「これはすごい量の本ですわ・・・これ、入館料さえ払えば誰でも見れるんですわよね?」

「みたいですね。種類も豊富です、児童書に戦術書に歴史書。あまり強力なものは載っていませんが、魔術書も置いてあります」

「帝国にも図書館はありますけど、一般には開放していなかったですわね。色々、機密も置いてあるからでしたっけ」

「どうやら、その手の類は別の場所にあるようです。ここはあくまでも、一般向けの図書館ということですか」

「ツチオを探すのも、この広さだと骨が折れますわね...。受付の人に、少し聞いてきますわ」


-数分後-


「お嬢様、どうでしたか?」

「ツチオらしき人は来ていないそうです、竜の魔人を連れているので見たら絶対に覚えているはずですし、今日は来ていないみたいですわ」

「後の当ては宿のみですか・・・図書館で待ってみますか?」

「いえ、外に出て探しましょう。折角王都に来たのですから、ちょっとくらい見て行きたいですわ。前来た時は、すぐに帰っちゃいましたし」

「お嬢様...」

「べ、別に遊ぶわけじゃないですわよ!?他国の都を見て、帝都に活かせる部分がないか参考にするのです!決して遊びではないですの!」

「はあ、それでは彼を探しつつ王都を観察しましょうか」




「これは、すごい人ですね。門近くの通りもすごかったですけど、商業区は桁が違います」

「露店も多いですし、活気があっていいですわね。でも、これではツチオが探し辛いですわ」

「彼とは、どんな魔物が一緒にいるんです?」

「竜の魔人にスライムとユニコーン、それと影も魔物でしたわ。全員女ですの、まさに両手に花ですわね」

「それはかなり目立つ集団ですね・・・まあ、この人数では埋もれてしまいますか」

「とりあえず、端から端まで一通り見てみましょう。ここにいるとは限りませんが、王都で人が一番集まるのはここですし」



「なあ、そこの兄ちゃん!この焼き串はどうだい、安くしておくよ!」

「これはおいしそうですね、香辛料の香りが食欲を刺激します。もらいましょう」

「こっちも見てってくれよ!新鮮な果物だぜ!」

「しょっぱいものの後は、果物で口をすっきりさせねば。何個かください」

「いい食べっぷりだな!俺のキノコも見てってくれよ!」

「ほう、これは肉厚な...。濃い味のタレが絶妙です、買いましょう」

「・・・ウォー、あなた絶対私より楽しんでますわよね?何、両手一杯に食べ物を抱えているんですか!」

「ふぉへぇはふぇいふぁふふぁんふぇふ、ふぉふふぉふふぉふんふぁふぉふぃふぁにふぁいふぁんふふふぁへ」

「口に物を入れながら話すんじゃありません、下品ですわよ!後、ふぉんふぉんうっさいですわ!飲み込んでからしゃべりなさい!」

「ごっくん。これは偵察なんです、王国の文化をじかに体験して活かすんですよ」

「私が言ったことと、ほとんど同じじゃないですの...。あんまりお金を使い過ぎるんじゃないですわよ、あんまりないんですから」

「分かっています、あの果物のジュースで最後にします」

「ジュースはなしです、まったく...。ちゃんと探しているんでしょうね?」

「・・・ええ、もちろん」

「何ですの、今の間は!絶対に探してないじゃないですの!」

「いえ、もう探す必要はありませんよ。見つけましたから。あれでしょう、竜の魔人とユニコーン」

「でかしましたわ、ウォー!想像以上に早く見つかりましたの、ついてますわ!とりあえず私が話してきますから、ウォーはその食べ物を食べ切りなさい!」

「あ、お嬢様!・・・行ってしまいましたか、まあ彼に会うのを楽しみにしていましたし、しばらくお話させておきましょう。私はお邪魔みたいですしね。あ、すいません。そのジュース1つください」


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