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戻って帰って初の夜

 1月かけた遺跡調査実習を終え、俺たちは学院へと戻ってきた。地上に戻ると既に辺りは真っ暗、調査隊に戻ると俺がいないと騒ぎになっていた。聞いたところによると、明日の朝には捜索隊が出される予定だったそうだ。タッチの差で間に合ったようだね。


調査隊に戻ってからも大変だった、今までどこに行ってのか、ニクロムや人化したライムについて、色々誤魔化したりはぐらかしたり...。本当に大変だった・・・めっちゃ怒られたしね。とりあえず、遺跡内にあった罠に引っかかって、何とか脱出したと言っといた。1回きりの罠らしく、戻ってくる前に見てきたけど見当たらなかったとも。これなら調べようがないし、古代文明の罠だから何があっても不思議じゃない。調査隊の人はいぶかしんでいたいたけど、まあ大丈夫だろう。


ニクロムとライムについては、いっしょくたにして説明してしまった。罠に引っかかってニクロムが出現、倒してテイムした。その際、ライムが進化して人型になったのだと。ニクロム以外にも色々出てきたけど、全部倒してしまったとも言っておいた。特におかしな所はないし、これで大丈夫だと思う。古代文明って便利だなー、これで全部のことについて言い訳が出来るんだぜ。


怪我なく俺が帰ってきて日程にあまり余裕がないこともあってか、大して追究されず、翌日からは調査が再開された。俺も前と同じ、調査員さんたちと一緒に上の遺跡を見て回った。


「マスター、この施設は地下の研究所を隠すためだけに存在するだけであって、大した物はありません。調査する意味はないと思います」

「それ、俺以外の人には言うなよ。地下のことは秘密だからな」

「了解しました、最重要機密事項として保存します」

「いや、誰にも言わなきゃいいだけだかんね」


最重要ってほどでもないな・・・別にバレても、重要そうな物は俺たちが残らず回収しちゃったからね。あそこに残ってるのは、エネルギーがなくて使い方も分からない機械だけだからな。


「そういや、地下研究所じゃ何を研究してたんだ?2107号とかニクロムとか、共通点が見つからないんだけど...」

「研究所では、いくつかの研究が平行して行われていました。魔物の進化に関する研究、魔物と魔物を組み合わせて新たな魔物を生み出す研究、機械によって新たな魔物を生み出す研究、人間の体の大部分を機械に置き換えた強化兵士を作る研究です。私は、それらの研究を組み合わせた集大成として生み出されました。金属の骨に魔物の肉、機械の武器。2107号は、魔物と魔物を組み合わせたものですね」

「へー・・・じゃあ、ニクロムが最後の実験体なのか?」

「はい、最終番号個体です。本来なら量産型3000号まで作られる予定でしたのですが、他国に研究所へと侵入され、あの研究所は一旦放棄されました。研究者はエレベーターで逃げ出し、ある程度量産されていた索敵機を撃退に出撃させました。後日、私を回収する予定だったのでしょうが、何か不都合があったのか誰も来ませんでした。そして、そのまま今に至ります」


ニクロムみたいな奴の量産型か・・・そういや、試験型だったな。何か違いってあるのか?


「試験型は、機械人間がどれだけの戦闘能力を出せるか研究するため、特殊なパーツで組み上げられています。当時造れた機械人間では、最高峰の個体だと自負しています」

「・・・一言でまとめると?」

「最強の機械人間ですね」


一気に分かりやすくなったな...。今は機械人間じゃなくて、機械蛇女だけどね。


「最強か・・・そもそも、機械人間ってーのは今、どんくらい残っているんだ?」

「それは分かりかねます。他にもいくつか研究所はありましたので、何機かは残っているかもしれません。可能性は、そこまで高くないですが」


まあ、古代の遺産だからな・・・壊れてたり、誰かに回収されていてもおかしくない。


「機関銃の弾丸やミサイルの補給は出来るのか?他の遺跡に回収しに行かなきゃいけないとか...」

「その必要はありません。銃の弾丸やミサイルは、私の魔力を使って体内で作られます。この蛇の足なら、結構な量溜めておけますし」

「あ、そうなんだ。そういや、弾倉とかベルトはなかったね。あのでっかいミサイルも、作れるのか?」

「はい。ですが、容量を圧迫し使用魔力も多いので、あまり大量には作りません」


まあ、そんな大量に作られても困るわな。マイクロミサイルだけでも、かなり強力なんだし。この世界で銃やらミサイルを見れるとは思ってなかったな。


「・・・マスターは、魔力銃やミサイルを見ても驚かないのですね。古代の兵器ですし、相当珍しいと思いますが」

「え、ああ、うーんとね・・・まあ、色々と特殊な伝手があったり、変な本を読んだりしてるんだよ。古代文明については、かなり研究されてるしな。読書が趣味なんだよ」

「そうなのですか...。文明が衰退していても、中々侮れないものですね」


今まで侮っていたのか・・・まあ、かなり衰退しているからな。もしかしたら、日本より発達していたかもしれないし。マジでSFだよ、ホント。サイエンス・ファンタジー!


「もう調査が終わってる遺跡でも、地下研究所みたいな場所があるかもな。今度の夏季休暇は、そういう遺跡に行ってみるか」

「それでは、私は遺跡の場所を調べておきましょう」


あーでも、ザクリオン帝国に行くかもしれないんだよな。全然連絡が来ないけど。ここまで連絡がないってことは、やっぱり死んじゃったんかね...。それか、連絡が出来ないくらいの重傷とか。和平が結ばれたんだから、反乱は成功したんだろうけど。春と言わず今から連絡しちゃう?・・・いや、やっぱ春にしよう。きっと、反乱後の混乱で忙しいだけ。それに、これで連絡がつかなかったら、本当にどうしようもないし。






「遺跡調査実習お疲れ様でした。一時、生徒1人が行方不明になるという事態になりましたが、全員無事に帰ってくることが出来てよかったです。明日明後日は休日ですので、ゆっくりと体を休めてください」


学院に着いて、先生が学院の門で今回の実習のまとめを話す。「行方不明」ってとこに他意を感じるな・・・面倒かけちゃって、すいませんでしたね!


「さあ、お父様!個人寮へと行きましょう!そして、子作...」

「ルウ、ライムを黙らせろ。俺たちの前ならともかく、公衆の面前じゃマズい」


ルウが喉を絞め上げ、ズルズルとこちらへ引きずってくる。あれ、大丈夫なのかな・・・マジで締まってるけど。


「むう・・・どうせ絞め上げるなら、お父様が良かったです。体が密着するのに...」

「何言ってるんだ!」


ライムの頭にチョップを食らわす。まったく、こんの娘は!公衆の面前で、何てことを言おうとしやがる!


「あん!やっとお父様と子作り出来ると思ったら、興奮しちゃったんです、ごめんなさい」

「分かってるならいいけど...」

「こうやって周りに聞かせて、外堀から埋めようだなんて考えていませんよ?」

「そんなこと考えてたのか!?」


ライム、恐ろしい子!何て知能派、ルウとは真逆のタイプだな。ルウはガンガン押してくる肉食系、ライムは色々小細工を仕掛けてくる肉食系・・・どっちも肉食系ってことには、変わりないんだなー...。


「俺も帰ってくるのに疲れたし、ヤるのは夜にな」

「ええー・・・お父様のいけずー。もしかして、そういうのが好みなんじゃ...」

「何でもかんでも、嗜好に結びつけるのは止めなさい!」

「それじゃ、お父様はどっちなのですか?攻めたい方、攻められたい方?」


あーもう、この話題は俺にとってどれも地雷だよ!さっさとリュカたちんとこに逃げ込もう!


「そうだね・・・最初は遠慮しているのか、一方的にヤられっぱしなんだけど、遠慮がなくなったらすごく攻めてくるんだよ」

「何言ってるのルウ!?」

「ツチオの好みは、皆で共有しないとね!」

「全くその通りです、お姉様!お父様に関しては、悔しいですがまだお姉様に敵いません!」

「ブルゥ...!」


俺の嗜好の話題で盛り上がっているルウたちは放っておいて、影さんとニクロムの元に向かう。


「そんじゃ、学院を案内するよ。入っちゃいけないところとか、色々あるしね」

「お願いします。それと、現在この大陸に関する情報を収集したいのですが」

「うーん、図書館に行けば本とかあるんだけど、さすがにニクロムは入れないよな...。一応、歴史の教科書にも載ってるし、借りられる本もある。とりあえずは、それで我慢してもらうしかないな」

「構いません。ですが、人型脚部はあったほうが良いです。これだと目立ちますし」

「そうだな・・・確か、追加で索敵機を何機か入手できたんだろ?それで作れないかな」


素材はあっても、設計図がな・・・あ、研究所から盗ってきた書類の中にあるかも。でも、あれを読めるのはニクロムだけなんだよな・・・見た目で多少は絞れるだろうけど、それでも膨大な数あるからな...。


「そうですね、作られていなくても設計はされているかもしれません。探してみましょう」

「そうだな。影さん、書類を出来る範囲でいいから分類しといてくれ。同じことが書いてあるものなら、同じ大きさだろうし。そういう、簡単な分類でいいからね」


早速影さんは、自分の中にある書類を整理し始めたようだ。量が多いけど、頑張ってくれ。


「書類が分け終わったら、俺たちで設計図を探そうか。ルウたちじゃ、全く分からないだろうし」

「マスターも分かるのですか?」

「見てみないと分からないけど・・・まあ、ルウたちよりは使えると思うよ、きっと」


ようは、変な図とかそういうのが描いてあるものを探せばいいんでしょ?文章だけだと判断しようがないけど、図さえあれば何とか判断できるはず!


「それじゃ、行こうか。ルウ、ライム、リン!俺談議に花を咲かせているとこ悪いんだけど、話すんなら魔獣舎に戻って話せ!いつまでも、門に突っ立てると邪魔だぞ!」


すでにまとめの会は解散したのか、門にいるのは俺たちと他数人だけだ。俺たちもさっさと戻ろう。


「あ、分かった!このまま直接魔獣舎に行くね!」

「お姉様、早く話しの続きを!次が肝心なんです!ついに攻勢に出たお父様の様子を、詳しくお聞かせください!」

「ブルル!」


まだ俺の嗜好について話していたのか、しかも攻め受けについて。俺が攻勢に出たときって・・・ああ、あれだな。いっつもヤられっぱなしじゃ情けないと思って、ちょっと頑張ってみたんだよなー。いきなり攻めだしたからルウも後手後手に回って、結局ずっと攻めっぱなしだったっけ。そういや、それ以来たまに俺から攻めるようになったな...。


「自分から攻めるのも好きなペースで出来ていいけど、攻められるのはもっともっと気持ちがいいんだよー。いつ何をしてくるか全然分からないから、すっごくドキドキしてそれがシている間ずっと続くんだよ」

「もう、焦らさないでください、お姉様!早く話しの続きを!」

「ブル、ブルルルゥ!」


俺は焦らされるより、焦らすほうが好きだけどねー。真っ赤な顔で続きを促してくる女の子とか、すごくたまらないよね?


「あまりここで話してると、またツチオが怒っちゃうよ。まずは魔獣舎に行こう!」

「そうですね、魔獣舎でジックリとお話してもらいましょう!」

「ブル!」


まったく、何を話しているんだか...。ルウたちなら勝手に魔獣舎に行けるだろうし、俺はさっさとニクロムに学院を案内してやんないと。






 ニクロムに学院内を案内し、途中で会ったリュカたちに遺跡での話を聞かせていたら、あっという間に夜へなってしまった。とりあえず、ニクロムを個人寮に連れて行こうとしたのだが、影さんが魔獣舎へと連行していった。・・・ああ、ライムがいるんだったな。さて、どうするか・・・いや、別に悩むようなことでもないんだけど。素直に個人寮へと向かおう。


個人寮へ入ると、ライムがベッドの上に座って待っていた。玄関から入ってきた俺を見ると、三つ指をついてお辞儀をするライム。


「お待ちしておりました、お父様。今日は来ていただいて、本当にありがとうございます。とても嬉しく思います」

「・・・何やってんの?」

「こういう場合は、このように相手を出迎えると書いてあったのですが...。何かおかしいところがあったでしょうか?」

「いや、べつにおかしくはないけど...」


何時の初夜かと思ったぞ・・・プリシラ流ってのは、随分と奥ゆかしくて古風なんだな、性技なのに。


「何分初めてなので・・・お父様を満足させられないとは思いますが」

「そんなことはないよ。それでその確認したいんだけど・・・ライムがこんなことをしてくれるのは、従魔だからか?」

「・・・お父様。いくらお父様命の私でも、この気持ちを否定されると怒りますよ?」

「悪い・・・ずいぶんと慕ってくれるから、ちょっと不安になっちゃってな」


ここまでおおっぴろげに好かれると、どうしても裏がないか疑っちゃうんだよな...。人間の性ってやつだ。


「お姉様にも、そんなことを聞いたのですか?」

「・・・いや、聞いてないな。まあ、ルウはちょっと特別だからね」


ルウは始めての従魔だし、嫁と婿の関係だからな・・・そういや、自分を嫁だと公言してるのってルウだけだよね。


「お姉様は特別ですか・・・妬けちゃいますね」

「あ、ゴメン、今はライムだけを見ないとな」

「そうですよー・・・今は私だけを見て、私に溺れてください」


ライムの体を覆っていた、ワンピースが体の中へ溶けていく。そのままベッドへ背中から倒れこんだライムは、腕を広げて俺を誘う。


「お父様・・・来てください。私のすべてをもらって、清らかな私をお父様好みに汚してください...」

「・・・ああ」


据え膳食わぬは男の恥。それじゃ遠慮なく、頂くとしましょうか。


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