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2966号、もとい...

あー、OVL落ちたー。やっぱり、文章力が足りませんね。評価も低めですし。

影さんから受け取った高級紙から、1枚符を切り取る。符の大きさにも結構気を使う、ここで失敗すると後になって色々面倒だからな。かなりの量切ってるから、もうすっかり手慣れた作業なんだけどね。


「ブルルゥ!」

「もうちょっと待ってくれ!攻撃は仕掛けないで、相手の気を引いて防御に徹して!」


ずっと魔術を使い続けていたリンの魔力がヤバい。ライムは毒霧を吸収できるので、果敢に攻めているけど...。蛇の口が掠っただけで、ライムの体は一気に削れる。普段なら肌を硬化させて受け流したりするんだけど・・・毒霧を吸収したライムは、かなりハイになっているみたいで、防御をほとんど考えていない。今はまだ大丈夫そうだけど、いずれボロが出るだろう。このままじゃ危なそうだ。

ルウは獅子相手に奮戦しているけど、ブレスで体力を奪われ辛そうだ。魔力も大分減っているので、あまり長い時間戦うのは無理だな。


筆をインクに浸し、符に紋様を描いていく。少し変えるとはいえ、ほとんどは既存の紋様を流用したもの。床を机にしているとはいえ失敗はしない、変えるといってもほぼ同じだしね。属性が違うだけだ。


「よし、符は完成。影さんは・・・帰ってきたな」


廊下に吹き飛んだ索敵機を回収した影さんが、俺の元へ戻ってくる。12機も体内に入ったのか・・・かなり容量が増えてるな。他にも色々入ってるんだろうし。


「金属の見分けはつく?なら、その機械虫と同じ素材の物、体にあるだけ出してくれ!」


影さんはまず、俺が吹き飛ばした索敵機たちを床へと投げ出していく。機能停止はしているけど、装甲にはあまり傷がないな...。あの爆発と一緒に、金属を飛ばしたりするのもいいかな。手榴弾とか地雷みたいに。

次に影さんが出したのは、脚を全てもぎ取られ目を潰され、腹にあった銃器を取り外された索敵機が3機。むこうの保管庫で待機していた奴らだな、見るも無残な姿だこと...。目を潰してから、脚をもぎ取ったらしい。保管庫の明かりがついてたら、危なかったな。

最後に影さんは、大量の銃器やらミサイルなどの武器類を、どんどん床へと積み上げていった。・・・こんなもの、どこにあったんだ...。


「俺がいかなかった部屋に大量に置いてあった!?・・・ああ、確かに見なかった部屋もあったね。それに保管庫?何て物を保管してるんだよ...」


地面へと積み上げられた兵器、こんなんが外に出たら軍事バランスが崩壊するぞ...。


「ま、まあいいや、今はキマイラを倒そう。影さんは、リンを手伝いに行ってくれ。そろそろ魔力が切れそうだ。あ、それと2966号の腕部ってなかった?」


影さんが兵器の山の隣に置いてある、3つのケースを指差す。そして無音で地面を滑って、リンの方を向いている山羊の側頭に黒い光線を放った。山羊の障壁とぶつかり、それを貫き胴体へ直撃した。どうやら山羊も、リンの突進を防ぐのは中々骨が折れるらしい。魔力をリンへと集中させていたから、横の障壁が薄くなっていたのだろう。命中したのが胴体だったのは残念だが、これで山羊は2人を相手にしなければいけない。倒すのは難しいだろうが、俺の用が終わるまでは大丈夫だろう。


あのケースに、2966号の腕部が入ってるんだな。確認は後ですればいい、まずは2966号の脚を作ってやろう。話はそれからだ。


索敵機に符を貼り付けて起動する。符が薄く光りだすと、周りにあった残骸や兵器が符へと引き付けられていった。

索敵機の残骸が変形していき、装甲板や骨組みが真っ直ぐに伸ばされる。その中に銃器類が次々に飛び込んでいく。その場にある金属類が変形合体し、1体の金属製の蛇が完成した。岩蛇の金属バージョン、金蛇かな?岩蛇とは違い、鱗がはっきりと現れ体も一回り小さい。地面にくっついていないから、移動も自由に出来そうだ。よし、上手くいった。後は...。


「なあ、2966号を拾得するにはどうすればいいんだ!?」

『一言、2966号を拾得すると宣言してください。なお、第2966号に関する責任は全て所有者へ帰属するので、ご注意ください』

「そんくらい分かってる!俺は2966号を拾得するぞ!」


俺がそう宣言すると、ディスプレイに大量の文字が流れだす。何をやってるかは分からないが、多分中の人に関係していることなのだろう。


『試験型機械人間第2966号、拾得を確認。所有者の名称を入力してください』


にゅ、入力?音声入力で大丈夫かな。


「ツチオだ」

『ツチオを第2966号の所有者として登録、第2966号に関する全責任は所有者ツチオに帰属する。第2966号への命令権は、ツチオのみが行使可能とする』


その台詞と共に、ディスプレイに数文字が表示された。古代語は読めないが、何と書いてあるのかは何となく分かる。「Ready」だ。


カプセル内の液体が排水され、徐々に水位が下がっていく。完全に排水が終わると、カプセルが開いた。2966号は目を開けない、とりあえず中に入ってみる。


俺がカプセル内に入ると、2966号がゆっくりと下りてくる。ユラユラと揺れるので、下で待っている俺はその動きに合わせてフラフラと、腕を伸ばしたまま動かざるを得ない。傍から見ると滑稽な絵面だろうが、皆はキマイラに専念しているので問題なし。早く応援に行かないといけないんだがな...。


何とか2966号をキャッチする。四肢がないので、肩とお尻に手を回して持ち上げた。背中やお腹についていたコードが外れたので、とりあえずカプセルから外に出る。しっかし、機械人間って言う割には全然機械っぽくないな。腕や脚の、機械部分だけだろ。骨格は金属らしいけど、そんなに重くないし。肩やお尻も柔っこいしね!


待たせていた金蛇の元へ戻る。さて、作ったばかりのところ悪いが、いっちょ2966号の脚となってもらおう!


地面に2966号を座らせる。全然起きないな・・・こいつ、故障してないよな?そう思って座り、目線を合わせて顔を見てみた時、パチッと2966号の瞼が開き俺とその金色の眼が合う。瞳の中に数度、電流が瞬く。


「・・・魔力波長確認、試験型機械人間第2966号の所有者、ツチオと確認。おはようございます、マスター」

「あ、ああ。おはよう、2966号でいいんだよな?」

「はい。私は汎用戦闘兵器として開発された、試験型機械人間第2966号です。腕部と脚部を換装することで、あらゆる状況に対応することが出来ます。ご命令の前に、腕部と脚部を装着してください」


おおっと、一気にまくし立てられてしまった。そうだな、まずは腕を装着してやろうか。あのケースの中にあるんだったな。


かなり大きな金属製のケースのところまで、2966号を運ぶ。先に脚をつければよかったかもしれない。まあ、まだ中に何が入ってるのか知らないし、先に確認しといたほうがいいか。


ケースには中に何が入っているか書いてあるのいだが、生憎古代語なので読めない。2966号なら読めるかな?


「なあ、2966号・・・戦闘中にわざわざこう呼ぶのは面倒だな。そうだな・・・よし、これからお前の名はニクロムだ」

「名前・・・個体別名称ということですか。了解しました、個体別名称をニクロムとして登録します」


2966号だからニクロム、ニッケルとクロムの合金じゃないよ?


「俺にはこの文字が読めん、それぞれに何が書いてあるか読んでくれないか」

「左から、非戦闘時用人腕・近距離戦闘用腕部篭手・遠距離戦闘用魔力機関銃です、マスター」


ふむ・・・キマイラ相手に近接戦闘は厳しいか。その遠距離戦闘用、魔力機関銃にしようかな。


腕部が入っているケースは左から段々大きくなっていて、機関銃が入っているケースは、1m以上の大きさで相当な重量だった。影さんの中に入っちまえば、重さなんて関係ないとはいえ...。よくこんな重さの物を、体の中に入れておけるよな...。


ケースを開けると、中には想像していた通りの重機関銃が入っていた。何口径なのかは分からないけど、かなり大きいに違いない。四角い箱に細長い筒がくっついている。筒の反対側には、腕に装着させる部分らしき出っ張りがあった。取っ手を持って持ち上げようとしたが、かなり重く両手で何とか持てるといった感じだ。こんなの、腕につけられるのか...?しかも、両腕につけるからか2つあるぞ。


「マスター、先に非戦闘用時人腕をつけてください。私が自分でつけます」

「あ、そうか...」


非戦闘用時の腕らしいが、これでも戦闘は出来るらしい。要は、非戦闘時にはこの腕をつけろってことらしい。まあ、篭手やら銃やらをつけるわけにもいかないしな。


ニクロムに腕をはめる。ピッタリと隙間なく装着され、ニクロムが動かして確認する。


「・・・両人腕、装着完了。オールグリーンです。マスター、魔力機関銃を。脚はないので、ここから実験体第2107号を狙い撃ちます」

「いや、脚は用意してあるんだ」

「どこにも脚部は見当たりません、隠しているのですか?」

「いや、この蛇なんだけど...」


ニクロムが、俺の側で佇んでいた金蛇を見上げる。しばらく見詰め合っていた1人と1匹、同じゴーレム的な存在同士、通じるものがあったのだろうか?


「・・・素材鑑定、私の骨格に使われているものを同質と判断。体内にコアを確認、自立型ゴーレムと推定。中に大量の銃器、これが私の足ですか?」

「いや、聞いてみたら足として使えるなら、ニクロムが自分で体に合わせるって聞いたんだけど...。索敵機を使ったから、素材は合ってると思う。あれ、駄目だった?」


ほら、ラミアっているじゃん。半人半蛇の魔物、あんな感じになれるんじゃないかなーと思ったんだけど...。どうしよう、これが駄目ならもう足はないぞ。こうなったら、リンに乗せて駆け回らせるか?座らせて撃たせるよりは、全然マシだろうし。


「いえ、これで大丈夫です。コアとして使われてる符は、私の中枢と融合してしまいますが、よろしいでしょうか?」

「あ、ああ。問題ない、やってくれ」

「承知しました」


ニクロムの腰に金蛇が顔を横にして軽く噛み付き、頭にニクロムが手を当てる。腰の右端と左端を、蛇の上顎と下顎が咥えている感じだ。ニクロムの腰腿の付け根、機械の部分からコードが出てきて、蛇の体を調べている。

しばらくすると、コードが引っ込み蛇の頭に変化が起こり始めた。歯や目が消えていき、口の上下が横へと広がっていく。ニクロムの体にも変化が起きている、肌が泡立ち蛇の口だったものを覆っていった。そして、ニクロムと蛇とが一体化した。蛇の口が裂けているところ、ニクロムでいえば股辺りは肉のまま、腿辺りは完全に金属が覆っている。蛇の体は結構大きく、大体2mくらいはあるんじゃないだろうか。かなり太く、俺なら飲み込めるほどだろう。立ち上がると、俺の身長をちょっと越えるくらいの高さ。どこからどう見てもラミア、機械だからメカラミアか?


「融合、神経接続完了・・・マスター、篭手と魔力機関銃を取ってください」

「え、銃は分かるけど篭手はどうするの?」

「この蛇の体は、色々な物を格納出来るようになっているので、そこにしまっておきます。戦闘中に付け替えることで、汎用性がさらに向上します」


蛇の左肌が鱗に沿って切れ目が入り、下へスライドして開く。中を見ると、影さんの体のように真っ黒な空間が広がっていた。なるほど・・・影さんみたいになってるのか。とりあえず、篭手はケースごと突っ込んでおく。

俺から機関銃を受け取ったニクロムは、まず左腕を外し銃を装着する。外した腕ともう1つの銃をしまおうとすると、


「銃はしまわないでください、もう片腕に装着します」

「え、でもどうやって装着するの?」


今度は蛇の右肌が開いた。そこへ銃身を突っ込みちょうどよい高さで止め、腕にはめ込み装着する。はー・・・そんな使い方もあるんだね。


「でも、両腕につけて大丈夫なの?狙いとか」

「問題ありません」


右耳のセンサーからバイザーが出てきて、左耳のものと繋がる。二重円が現れてるから、あれで狙いをつけるのだろう。


「実験体第2107号は、体長3m以上。あの大きさならば、狙いが外れたとしてもどこかに当たります」

「そうか・・・そういや、あいつって攻撃しても再生しちゃうよな。そういう能力があるのか?」


そこまで大きな銃でも、さすがに速攻でキマイラを倒すのは難しいだろう。再生なんて能力、かなり強力なものだから何らかの代償があると思うんだけど...。


「実験体第2107号は、獅子・山羊・蛇のどれかが本体でコアがあります。それを潰さなければ、魔力の限り再生し続けます」

「本体か・・・どれか分かるか?」

「分かりません。本体のコアを壊せば、他の2体も自壊します」


どこにコアがあるか、それを見極める必要があるか...。考えろ、研究者ならコアの場所にだって、何か意味を持たせるはずだ。そこを、皆に集中攻撃させよう。




初めてアクセス解析ってやつを使ってみました。

PV数を見てみたところ、今までで1,715,637アクセスでした。

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