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案内され、一悶着あって、疲れて

サブタイトルが難しくなってきた...。

入学式は、ほとんど日本のソレと変わらなかった。しゃべったのが、校長ではなく教頭ってだけだな。

入学式は教頭の演説のみで終わり、すぐに自分の教室に移動。俺とリュカとトリスは、偶然にも同じクラスだった。・・・偶然だよ?ご都合主義とかじゃないよ?これだけは。


クラスは1〜8まであり、1クラス50人ほどだ。なので、一学年大体400人ほどということになるな。五年で卒業だから、合計で2000人が在学してるってことだな。マンモス校だ。


「俺がお前たちの担任のラングだ!武術の授業を取る奴らとは、長い付き合いにあるな!これからよろしくな、ははははは!」


俺たちの担任は、ムキムキの熱血先生だった。体育会系は苦手なんだよなー...。ついていくのが大変だ。


「そんじゃ、授業の説明に移るぞー!まず、一年生は全員武術の授業は必修だ!基礎体力をつけんことには、どうしようもないからな!サバイバル訓練も同様だ!」


最初は武術もやんのか...。サバイバルはありそうだなとは思ってたけど、武術は予想してなかった。


「それ以外の授業は選択になる!どれを取るかはお前らの自由だが、単位が足りなければ容赦なく退学だ!気をつけるように!」


数学や歴史などの勉強系は、スキルじゃ分からないんだよな。努力次第でいくらでものびるって感じか?


「詳しいことは、このプリントを見ること!それじゃあ、学校を案内するぞ!」


扉を開けて出て行くラング先生の後を、子どもたちが我先にとついていく。なんか、一人だけ中学生の中に混じったみたいだな...。



「ここは訓練場だ!武術や魔法の実習はここでやるぞ!」

「ここは魔法研究室だ!マジックアイテムや魔法薬の研究も、ここでやってるぞ!よく爆発音が聞こえてくるな!」

「ここはただの原っぱだ!テイマーが魔獣で戦闘するときは、主にここでするぞ!訓練場だと、結界が張ってあって高さが足りないんだ!」

「ここは講堂だ!入学式で来たな!」

「ここは図書館だ!禁書があるところには、上級生になるまでは入れないぞ!」



「これで学校案内は終了だ!授業選択は三回目の鐘まで!時間厳守だぞ!」

『はーい!』


さて、今日の授業も終ったし、図書館で人化させる方法を探すか。魔法やテイム、スキル関係のことも知りたいし。






図書館に行って、司書さんに本の場所を聞く。勝手を知らない図書館なら、人に聞いたほうが早い。

とりあえず、調べたいことがのってそうな本を二つピックアップしてくる。持ってきた本はこれらだ。


『基礎から学ぶ魔法〜これ一冊で試験範囲はバッチリ!〜』

『HOW TO テイム』


最後の奴が妙に日本っぽいな...。何でHow to本が異世界にあるんだろう。どの世界でも、人間の考えることは同じってことなのか?

とりあえず、読みやすそうなテイムの本から読んでみるか。入門書だろうし。


一通り本を読んでみたところ、テイムについてはこんなことが分かった。


・テイムするには、弱らせてから魔獣を脅すのが一番簡単。自分より強い相手には、比較的魔獣は従う。

・全ての魔獣が人に敵対しているわけではなく、自分から仲間になる魔獣もいる。そんなに多くはないようだ。

・人にも言えることだが、生き物を殺すとそいつが持っている魔力のうちの何割かを得ることできる。魔獣の場合、魔力が一定量を超えると、姿を変えて強くなることがある。これをランクアップという。

・人語を理解する魔獣や、人に似た姿の魔獣も存在する。ランクアップにより人型になった例あり。


こんなところだろう。人型になった例があって、少し安心した。人型の魔獣は魔人とも呼ばれ、基本的にどいつも強いらしい。何で人型だと強いんだろう...。気になるけど、次は魔法の本を読んでみるか。


魔法の本の内容はこんな感じ。基本的なことがのってて良かった。


・魔力の元はこの世界のエネルギーである。世界に満ちるエネルギーを吸収し、体内で魔力に変換する。

・魔力量が多い人というのは、エネルギーを溜めれる量が多い人のことをいう。エネルギーの変換が早い人は、魔力の回復速度も早い。

・魔手のことも、何故かのっていた。魔手とは魔力を動かすスキルなので、自分の魔力を人や魔獣に移すことも出来る。魔力が多い奴が使えば、魔力タンクにもなれるみたいだ。

・それに関して。魔力っていうのは酒みたいなものらしく、適度な量なら身体を強化したり軽い恍惚状態になるけど、取り過ぎると身体の調子が悪くなったり、下手をすれば中毒とかなんとかで死んでしまうらしい。俺もルウの魔力を操作するときは、気をつけなきゃな...。


この世界のエネルギーっていうけど、どんなものなんだろうな。まだよく分かってないみたいだ。俺に分かるわけがないし、気にしてもしょうがないか...。


1時間くらいで二冊を読み終える。要点をまとめたところだけを読んだから、そこまで時間はかからなかったな。最初は気に留めなかったけど、この国の製紙技術はけっこう発達してるんだよな。教科書も紙製だったし。よくある製紙商売は出来なさそうだな...。まだ夕食まで時間はあるし、ルウのところに行こうか。







魔獣舎に行って、ルウを外に出した時。数人の少年たちが俺の前に立ちふさがった。キラキラしてる装飾をいくつもつけてるので、多分貴族とかいう奴らだろう。


「貴様、その竜はお前の物か?」


一番前に立ってるデブが、俺に話しかけてくる。物って...。典型的なボンボンだな。


「そうだが、それがどうした?」

「お前にはこの竜はもったいない。この俺が買ってやろう。金はいくらでも出すぞ」


ああ、やっぱりそういう奴らか。面倒くさいなぁ、ホント。いつか来るとは思ってたけど。


「お断りだ。他を当たってくれ」

「なんだ、貴様!ピッグ様に使われたほうが、その竜ためだろうが!」

「生意気だぞ、お前!」

「ピッグ様のご好意で、金まで払ってもらえるんだぞ!つべこべ言わず、さっさと寄越せばいいんだよ!」


ルウを暴れさせて脅せば早いんだろうけど、後腐れが残るからな...。ここは逃げるが勝ちだな。


「言っただろ、お断りだ。どんなに金を積まれても、こいつは離さない。じゃあな」


ルウに飛び乗って、空に舞い上がる。下であいつらがギャアギャア言ってるけど、無視だ無視。あいつらとは、いつかケリをつけることになるな。貴族を相手取るのは面倒くさそうだけど、まあ何とかなるだろ。いざとなったら、外国に逃げるればいいしな。


「面倒なことになってきたな、ルウ。厄介ごとは勘弁したいよ」

「グルル」

「まったくだ。最低でも、もう一体仲間が欲しいよな。ルウも欲しいだろ?」

「グル!」

「だよな!ルウももっと強くなって、早く魔人になってくれよー」

「グル」


ルウも仲間が欲しいみたいだし、早くテイムの授業が始まって欲しい。まだ使役してない人もいるだろうしな。







「あ、ツチオ君おかえりー。ルウちゃんのとこに行ってたの?」

「そうだよ。ピッグって奴に絡まれたけどな」

「ピッグ?どんな人?」

「豚みたいな貴族だよ。ルウをよこせって、突っかかってきたんだ。自分のほうが、上手く使えるってな」

「なにそれ、ルウちゃんは物じゃないんだよ!おかしいよ!」

「ああ、そう言って断ってきた。もしかしたら、これから嫌がらせとか起きるかもしれない。ちょっと距離を置いたほうがいいかもしれないぞ」

「ツチオ君と?大丈夫だよ!エルフ一人に手を出したら、他のエルフも敵に回るからね。そう簡単には手を出せないよ。僕のルームメイトの、ツチオ君も同じ。いくら貴族でも、そう簡単には手を出せないはずだよ」

「エルフは仲間を大事にするんだな」

「昔エルフは、人間の奴隷狩りにあってたんだ。だから、皆で助け合わないと生きていけなかったんだよ...。エルフは皆、親からその話を聞くんだ」

「そうなのか...。・・・俺も人間だぞ?怖くはないのか?」

「ツチオ君は、僕が嫌なことをするの?」

「するわけないだろ」

「でしょ?だから、全然怖くないよ」

「そういうことじゃ...。まあ、俺がリュカをいじめることなんてあり得ないから、それでいいのか?」

「いいんだよ、全部の人間が、悪いんじゃないしね。もう授業は決めた?あまり時間がないよ」

「三回目の鐘までだったな。さっさと決めちゃわないと」


もらったプリントには、取る授業に◯を付けるように、と書かれていた。数学とかは取んなくてもいいか。歴史・・・はいいかな。テイマーと支援魔法は、みんなの授業と・・・あと外国についてかな。この国のことしか知らないし。


「これでいいかな。リュカはどんなのを取ったんだ?」

「攻撃魔法と回復魔法と数学、あと外国の授業だよ。ツチオ君は・・・三つだけか。外国の授業しか、一緒に受けれないね...」

「武術とサバイバルは一緒にやるか。そういえば、魔法ってどんな種類があるんだ?」

「えっと、攻撃と回復に支援と妨害かな。魔力の質によって変わるんだよ。ツチオ君は支援だったね」

「結界とか、防御のための魔法はないのか?」

「回復魔法に、確かあったような気がする。まだちょっとしか勉強してないから、あまり分からないんだ」

「そうか...。まあ、授業を受ければ分かるっしょ。出しに行こう」




「お前ら、ギリギリだぞ!今度からは、余裕をもって出すように!」

「すいません」

「ごめんなさい、ラング先生!」


俺たちが先生に授業選択の紙をだしたのは、ちょうど三回目の鐘が鳴り始めたころだった。ギリギリセーフだ。


「まあ、間に合ったからいいんだけどな!」

「そういえば先生。時間割って、どういうふうになるんですか?今日中に作らないといけませんよね」

「それは明日のお楽しみだ!もう晩飯の時間だぞ!さっさと戻った戻った!」


明日配られるってことなのか?ああ言ってるし、さっさと晩ご飯を食べに行こうか。


「そうだ!言い忘れるところだった!明日は動きやすい格好で来るように!分かったな!」


去り際に先生がそう言ってるのが聞こえてきた。武術の授業でもやるのかね。






そして翌日。いつものようにルウと朝の散歩をした後、トリスたちと一緒に教室に向かうと、黒板に『全員原っぱに集合!』と書かれていた。その通りに原っぱに向かうと、


「お、来たな!全員そろってるか!」

「えっと、あれで全部です」


全員揃うと、ラング先生がしゃべりだした。


「さて、これからお前らには武術を学んでもらうわけだが...。全員、まだまだ体力も筋肉もついてない!というわけで、まずは身体を鍛えるぞ!全員ついてこい!」


そう言って走り出すラング先生。え、何?一緒に走ればいいの?俺体力ないんだけど、大丈夫かな...。


「体力には自信があるでありますよ!ツチオ殿、行くであります!」

「どのくらい走るんだろうね。楽しみだなー!」

「そうか?何か嫌な予感がするんだけど...」


止まっていてもしょうがない。早くしないと見失いそうだ、走って追いかけよう。



それから二時間、俺たちはずっと走り続けさせられた。死ぬかと思った。


「ははは!情けないな!こんくらいでバテてたら、何も出来ないぞ!」

「ぜーぜーぜー」


息一つ乱さないなんて...。後ろから追いかけてくるから、止まるに止まれない。


「はあはあ...。つ、疲れたねー...」

「流石にずっと走り続けると、疲れるでありますなー」


リュカは座わってへたり込んでる。汗をかいて息を荒げているリュカは、妙に色っぽくてドキッとする。トリスはなんでそんなに、体力が多いんだよ...。ドワーフだからか?


「ランニングはこれくらいでいいだろ、次は素振りだ!剣以外を使う奴らは、俺と一緒に取りにこい!」


二十人ほど引き連れて、ラング先生は木剣を取りにいった。いや、もう膝が笑ってるんですけど...。これ以上は無理だって!


「これから素振り?体力の限界だよー...」

「まったくだ...。あれ、トリスどこだ?」


しばらくすると、大きな木箱を持って先生たちが戻ってきた。中には大量の剣や槍が入っている。え、金属製?木じゃないの?


「好きな奴を選んで構えろ!・・・脇をしめろ、手が逆だ!」


適当な重さの剣を取ってきて、軽く握ってみる。かなりずっしりくるな...。


「重心を落とせ!ぐらつくぞ!」


肩を叩かれ、腰を落とされる。慣れないことをやるのは、やっぱり難しいな...。


「それじゃあいくぞ!1、2、3!」


ラングさんと一緒に剣を振り始める。けっこう腕が重いし、足を踏ん張るとプルプルする...。また何時間もやらされるのか...。俺、吐かないかな...。



それから三時間、俺たちは素振りをし続けた。俺は三十分ほどで吐きそうになり、慌ててトイレに駆け込んだ。先生にも休んでろと言われたので、言葉に甘えて休んでおく。正直、もう立てそうにない。

最後まで振り続けられたのは、たった数人だった。その中には、トリスの姿もあった。


「すごいねー、トリスちゃん。あんな大きなハンマーを振り続けられるなんて。ツチオ君、気分は良くなった?」

「けっこういいよ。しかし、回復魔法ってすごいな。体力まで回復するなんて」

「まだまだあまり訓練してないから、そんなに効果は大きくないんだけどね。このくらいでいい?」

「ああ、ありがとうなリュカ」


リュカの回復魔法で、大分気分が良くなった。魔法って凄いなー。


「今日はこれまでだ!次の授業は五日後、自主練を怠らないように!」

『はーい...』

「あれ、先生。他に授業はないんですか?」

「ないぞ。あ、時間割を配らなきゃな!教室まで来てくれ!」


教室で配られた時間割には、一日一個の授業しかかかれていなかった。え、一日一個の授業だけ?


「そうだぞ!自分の取ってる授業を忘れるなよ!ほら、早くしないと飯を食えなくなっちまうぞ!」


授業は後で確認すればいいか。早く飯を食いに行こう。



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