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玉砕戦2691  作者: 小池すんた
第三章~真田一家~
33/34

第二十六話

ジリリリリリリリリ――――

午前5時35分。涼を起こしたのはけたたましい非常ベルの音だった。

「…にゃんだなんだぁ?」

寝ぼけ眼で着替えを始めると隣のベッドの上で末吉がパソコンを開いていた。

この男、すでに軍服。

「こら涼、ボケッとしてないで着替えろ。ミッションがもう出てるぞ」

画面から一度も目を離さずに言う。涼は跳ね起きて軍服に着替え始める。もし有事があったらとホテルには都宮軍の軍服がパジャマの如く置いてある。

階級のバッジを付けると末吉のパソコン画面を覗く。すると横から紙が出て来る。

「八丈島防衛ミッション№.0564…564って作戦全部の内の?」

「いや?八丈島防衛だけでだが?」

「…」

涼は絶句した。そしてハッと気づく。

「隣の部屋のあいつらは?」

「へ?軍人だろ?あの娘たちも」

実は元々軍人だったちさきと美夜はともかく、生活費を稼ぐために女子達も予備兵として軍に入っている。全員陸軍だ。

「ああ、そうかそうか!うん!」

明らかに空返事である。昨日の夜は遊び疲れているかと思いきや、夜11時ごろ、『リアルタイム海戦ゲーム』なるボードゲームを末吉と遊んでいたところ、いきなり泥酔した女子達が入ってきて(間違えて冷蔵庫の物を飲んだのだろう。いくらになるか心配な涼だった)、「…ねぇ…一緒に…寝ようよ…」やら「わたしはりょうさんがほしいんですぅ」などと言ってきて困っていた。

「まぁ、大丈夫か…」

だが、部屋を出るときに聞いた末吉の言葉が変に残った。

「八丈0564、通称…桜花霧散(デス・インビジブル)、か」

都宮軍の軍人で八丈島にいるのは、多くても300人程度だった。



《こちら湯布院。八丈島衛星管制センター、ロックオン完了です。旗艦淡路、どうぞ》

「五分後に発射シークエンスに入れ」

《了解。アウト》

徳野は椅子に腰かけると、遠方に見える八丈島に視線を向ける。

「今日で形勢逆転せよ…か。まぁ、この調子じゃ楽か」

そう言うとまた視線をミサイル飛翔艦湯布院に向けた。



[衛星センターがロックされた(泣) でも退却命令が出ないんだけどw そっちは?]

「どんだけ美百合は抜けてるんだよ…」

先ほど涼の家から魔導で空間転送を行った猛牙龍血を肩に乗せて端末を見る。

《涼…もとい真田中尉、旗艦は飛翔艦淡路だ。優先的に狙ってくれ。とはいえ陸軍に言っても意味ないか》

「迎撃可能な戦闘機は?」

《八丈島にはちょうど飛べる機体が無くてね、いま本土から応援を呼んでる。二時の方向に見えるはずだ。那須、中禅寺の二個空戦連か》

と末吉が言った瞬間、轟音と共に衛星センターが爆発する。

「美百合!」

途端にピロリンという着信音とともに端末が振動する。

[私とまわり数名以外は即死(笑)]

「笑じゃねぇぇぇぇぇ!!!」

とはいえ生きているなら良かった。自分たちの隊と合流するよう連絡する。

ふと海に目をやると水平線に涼は黒い影を見た。

「海軍艦?」

《ビッグニュースだ。お前が見たというその艦、西条の強襲揚陸艦、秋天と泉天だ。合計2000くらいが攻めてくるね、こりゃ》

味方兵がそれを聞いて迷彩服の迷彩レベルを最大まで上げる。2689年の科学は凄い。光学迷彩(インビジブル)というレベルである。皮膚を残してほぼ地面に等しい色になる。

《すぐ迷彩を解け!》

末吉の声が響く。

「え?なん――」

刹那、首から赤い液体が噴水のように吹き出す。彼は即死だった。迷彩を解く時間が無かったため、地面から血が染み出すように見える。

「ヘリ狙撃かッ!」

そして、いきなり空中で何かが爆発する。

「末吉、これって…」

《光学迷彩を施して少しでも油断したところを狙い撃ちするんだよ。ほんと、作戦名と同じだな…八丈0564…通称…》

二人の声が重なる。

「《桜花霧散(デス・インビジブル)》」

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