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玉砕戦2691  作者: 小池すんた
第三章~真田一家~
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第二十四話

白い砂浜とどこまでも続く水平線。戯れる女子達を見ながら男が二人立っていた。

「…おい、なんでお前がここにいるんだ?」

「目の保養になるからさ」

八月も中旬の八丈島に、真田一家と世松末吉は来ていた。


事は二日前にさかのぼる。東京渋谷のショッピングモール。

なんだか疲れた涼は女子たちを店に残し末吉とフードコートで時間をつぶしていた。

「真田涼よ、忘れてはいないか?」

「何をだ?メモってたのは全部買ったしあいつらの服も買ったぞ」

「夏といえば?」

「花火、海、スイカってとこだね」

「おいおい忘れてもらっちゃ困るぜ。そう、夏といえば…」

「言えば?」

「女と水着だッ!!」

末吉は今日一番大きな声で叫んでしまい、二人は書店に移動することになった。


「おい、これ見ろよ…」

末吉は観光雑誌を指さして言った。『みゃっぷる 大自然と活気の八丈島』とある。

「お前さ、そこまでして俺んちの女子の水着見たいのかよ。それなら市民プールでも十…」

「ダメだダメだダメなんだ。女ってのは背景に海があってこそ映えるものなんだぞ?更に旅館ではうまい海鮮料理を口移しで食べさ痛い痛い!」

涼の後頭部への一発はとても強力だった。

「確かに海はいいかもしれんがな…後者はどうしてもダメだろ」

「スマン、冗談だ」

とか言いながら二人はその場で立ち読みモードに入った。


一方その頃旅行代理店。

理沙以下いつもの女子全員が『八丈島 大海の楽園へ』『美しの八丈!』などのパンフレットを覗いていた。

彼女等のおかげでこの店は繁盛であるが、客寄せパンダと化している当の本人達はこれには気付いていない。

「ご自由にお持ちください、なら涼さんに見せてもいいんじゃないですか?」

「「「「そうだ。それが良い」」」」

肯定する彼女等の心にある思惑は簡単に見て取れる。

美百合が携帯を開き涼を呼び出す。

「何だ美百合。俺なら本屋だぞ」

「オッケ」

ブツンッ


3分後、女子達は驚愕する。

「なんで知ってるのよ、あなた…」

「見ていたんですか?」

「嗚呼、恐ろしや」

涼は八丈島の観光雑誌を購入済みだったのだ。

「お前らの言葉、そのまま返すぞ…」

女子の手にはさっきの八丈島のパンフレットが握られている。

「涼よ、はい金半分。これでちょうどだよな?」

「今言うなよぉ」

突然、女子達の目が輝いた。

「末吉さんも来てくれるんですか?」

「ワリカンだけで分かったとは!やるねぇ」

「ちょっ、まっ」

Mokaが涼の端末のスケジュールに[八月十三日~ 水着回!]と書き込んでいた。

結局、AI一人含む八人は八丈島への旅行手続を代理店で済ませてしまった。


この後、女子達の水着選びに男二人で四苦八苦することになるのだが、それはまた別の物語なので後で記しておこう。

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