第二十四話
白い砂浜とどこまでも続く水平線。戯れる女子達を見ながら男が二人立っていた。
「…おい、なんでお前がここにいるんだ?」
「目の保養になるからさ」
八月も中旬の八丈島に、真田一家と世松末吉は来ていた。
事は二日前にさかのぼる。東京渋谷のショッピングモール。
なんだか疲れた涼は女子たちを店に残し末吉とフードコートで時間をつぶしていた。
「真田涼よ、忘れてはいないか?」
「何をだ?メモってたのは全部買ったしあいつらの服も買ったぞ」
「夏といえば?」
「花火、海、スイカってとこだね」
「おいおい忘れてもらっちゃ困るぜ。そう、夏といえば…」
「言えば?」
「女と水着だッ!!」
末吉は今日一番大きな声で叫んでしまい、二人は書店に移動することになった。
「おい、これ見ろよ…」
末吉は観光雑誌を指さして言った。『みゃっぷる 大自然と活気の八丈島』とある。
「お前さ、そこまでして俺んちの女子の水着見たいのかよ。それなら市民プールでも十…」
「ダメだダメだダメなんだ。女ってのは背景に海があってこそ映えるものなんだぞ?更に旅館ではうまい海鮮料理を口移しで食べさ痛い痛い!」
涼の後頭部への一発はとても強力だった。
「確かに海はいいかもしれんがな…後者はどうしてもダメだろ」
「スマン、冗談だ」
とか言いながら二人はその場で立ち読みモードに入った。
一方その頃旅行代理店。
理沙以下いつもの女子全員が『八丈島 大海の楽園へ』『美しの八丈!』などのパンフレットを覗いていた。
彼女等のおかげでこの店は繁盛であるが、客寄せパンダと化している当の本人達はこれには気付いていない。
「ご自由にお持ちください、なら涼さんに見せてもいいんじゃないですか?」
「「「「そうだ。それが良い」」」」
肯定する彼女等の心にある思惑は簡単に見て取れる。
美百合が携帯を開き涼を呼び出す。
「何だ美百合。俺なら本屋だぞ」
「オッケ」
ブツンッ
3分後、女子達は驚愕する。
「なんで知ってるのよ、あなた…」
「見ていたんですか?」
「嗚呼、恐ろしや」
涼は八丈島の観光雑誌を購入済みだったのだ。
「お前らの言葉、そのまま返すぞ…」
女子の手にはさっきの八丈島のパンフレットが握られている。
「涼よ、はい金半分。これでちょうどだよな?」
「今言うなよぉ」
突然、女子達の目が輝いた。
「末吉さんも来てくれるんですか?」
「ワリカンだけで分かったとは!やるねぇ」
「ちょっ、まっ」
Mokaが涼の端末のスケジュールに[八月十三日~ 水着回!]と書き込んでいた。
結局、AI一人含む八人は八丈島への旅行手続を代理店で済ませてしまった。
この後、女子達の水着選びに男二人で四苦八苦することになるのだが、それはまた別の物語なので後で記しておこう。




